守らせて、俺の全てで

ゆきの(リンドウ)

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世界一の恋人、そして夫

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 さて、どうしようか。そう思っていると、陽が『じゃあ、ピクニックしない?』と言ってくれた。

『ピクニック?』
『んとね、広~い公園で作ったお弁当持って食べるんだよ』
 言うと、瞳をキラキラさせた。海は素直で可愛らしい。
 以来、今日のこの日を海は待ち遠しく思っていた。というのに、勇太は忘れていたのだから、合わせる顔がない。

 慌ててリビングに行く。と、既に二人は朝食を食べ始めていた。

「海がお腹空いたっていうから、食べ始めてたよ?」
「ああ、いいよ。ごめんな、寝坊助して」
「いいよ~勇太、昨日お仕事頑張ってたもんね」
 おつかれさま、と言われ、言葉が出ない。昨日、たしかに勇太は遅くまで仕事をしていたのだ。

 子どもはよく見ている。海が家に来てからすぐの頃、子育ての子の字くらいはわかるようにと受けたセミナーで、年配の講師が言っていたことを思い出した。

「はい、目覚めるよ」
「サンキュ」
 渡されたお椀には、熱々のスープが入っていた。陽お手製のわかめスープだ。
 一口啜ると、しょっぱさとわかめのうまみが身体に染みた。今日も陽の料理は上手い。
 その美味さに浸っていると、視線を感じた。見れば、陽が見ている。

「どうした?陽」
「…今日、大丈夫?勇太が辛いなら無理しなくてもいいよ?」

 心配してくれている。気付き、嬉しい気持ちと心配させてしまった気持ちで複雑になる。

 陽は勇太と海のことになると、とんでもない心配性を発揮する。
 元々、鬱で生きているか死んでいるかという毎日を過ごしていたのは大きかった。ただ、海に対しては勇太を心配する種類が違う気がする。

 この前も海が風邪をひいた時があった。といっても、発熱はなく、鼻水が少し出ている程度。

『念のために休ませた方がいいかも』
 これがまだ、海を引き取ったばかりの頃ならわかる。右も左もわからない二人が、子どもの風邪に翻弄されるのは仕方ない。だが、もう引き取って三年だった。海も何度も熱を出していたし、感染症にも罹ったこともあった。

 いつも人の気持ちを考え、行くべき道を示してくれる陽。しかし、この時ばかりはいい加減にしてくれよと思ったものだ。

『熱もないし、薬も飲んでる。何かあれば先生から電話がくるし、俺も家にいるから、大丈夫だ』
『でも…』
『今日、大事な会議あるんだろ?大丈夫だから行ってこい』

 優しい陽、気遣いのできる陽。そんな陽が勇太は死ぬほど大好きだ。
 だから、そんなことを言わせたくはない。と、勇太は
「これくらい大丈夫だよ、心配すんな」
 笑って言ってみせたのだった。
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