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後編
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花火大会と言えども、出店はいくつかある。
「ちょっと買いすぎた?」
「いや、昌太郎なら食べれるよ」
「それ、俺が大食いだって言いたいのかぁ?」
ふざけてそう言うと、葛城がおもしろそうに笑った。
(なんだ、俺の気のせいか)
ほっと安心したようにこっそり息を吐いた。
「もうすぐ花火上がるな?そろそろ行くか?」
時刻は六時半。昌太郎たちの町の花火は七時から始まる。しかも、ここら辺では一番大きい花火らしく、人が山のように押し寄せてくるから場所取りが大変だった。
そのため、昌太郎はいつもとある場所をキープしている。といっても、場所取りをしているわけではない。いわゆる、地元民のみが知る穴場スポットだ。
「その前に俺、トイレ行ってもいい?」
葛城が言う。穴場スポットとは、小高い丘にある公園の駐車場で、近くには公園のトイレがある。
もちろん、と昌太郎が言うと葛城が「すぐ戻るから!」と珍しく慌て気味に言い、駆け出していく。
(場所だけでも取っておくか)
昌太郎は先に駐車場に向かう。穴場とは言えども地元民には知られているため、家族連れやカップルがそれなりに集まるのだ。
(せっかく告白するなら、花火が綺麗に見える場所で言いたい)
そう決心し、駐車場に向かう。昌太郎の中ではこの告白が、人生で初めての告白になる。人を好きになったことすらなかったのだ。緊張するし、逃げ出したい気持ちにもなるがそれでもやはり、初めては記憶に残るものでありたい。
着くと既に人がいた。町の中心部や橋には規制が張られているがここは規制されていないようで、車がびっしりと停まっている。
車が止まっている一番端、寄りかかれるような形で生えている木の側に行く。
「あれ?昌太郎くんだ」
木の側に行き、屋台で買ったお好み焼きやたこ焼きを根本に置こうとしたときだった。声を掛けられ振り向く。
「桜ちゃんに美月ちゃん?」
「昌太郎くんも花火見に来てたんだ!」
「うん」
「誰と来てるの?」
問われ、すぐに葛城と来てると言えなかった。
葛城はモテる。派手にモテているというわけではないが、ひっそりとモテている。どうやら葛城の立ち振る舞いやさり気なく優しいところが女子には好印象のようで、葛城のことを好きだと囁く声は昌太郎の耳にも届いている。
(どうする、このままじゃ告白どころじゃないぞ)
とはいえ、嘘は吐けないし、葛城はただ、トイレに行っているだけだ。そのうち、戻ってくれば嘘を吐いた理由を不審に思われるだろう。結局、「葛城と来てるよ」と言うしかなかった。
「じゃあ、私たちも一緒に見てもいいかな?」
「えっと~、葛城に聞いてみないとわからないなぁ」
苦し紛れにそう言うと、美月が目配せをするので桜から少し離れた場所にそそくさと移動する。
「こんなこと、昌太郎くんに頼むのも変かもだけどね?桜、多分、葛城くんと花火見たいんだと思うの」
「なんで…?」
「わかるよね?女子が男子と花火見たいって言う意味」
耳元で囁かれ、瞬間、心臓が嫌な鼓動を立てた。もちろん、わかるし、昌太郎は桜が葛城のことを熱の籠った視線で見つめていることも知っていた。
桜と美月は昌太郎たちと同じクラスだ。一つの教室にいれば意識しなくても視界に入ることはよくある。が、その中でも桜の視線の意味を知ってしまったのは、昌太郎も桜と同じ気持ちで葛城を見つめていたからなのだ。
(いつかはこんな日、来ると思ってたけど、今日じゃなくてもいいのに)
神様、俺、そんなに悪い行いばかりしましたか―?
天に問う。が、もちろん答えなど帰ってくるはずがない。
諦めないと。諦めたくない。二つの気持ちがせめぎ合う。
けれど、もし、諦めないとしても彼女たちに理由を説明できない。これから葛城に告白するから、そう言ったとしたら桜はどう思うだろう。
(俺だったら嫌だな)
ふと、母の言葉を思い出す。自分がされて嫌なことは人にしないでね。
ズキン、と胸が痛む。
「わかった、俺はどうすればいい?」
「あのね、じゃあ」
と、美月が昌太郎の耳に口元を寄せたとき、「おい」と低い声が耳に響いた。
「葛城」
「昌太郎、お前、何してんだよ」
「あのさ、偶然、桜ちゃんと美月ちゃんに会って?一緒に花火見ないかって話しになってたんだ」
自然と早口になる。心にも思っていないことを言葉にすると人間、無意識に早口になるのかもしれない。
「いいよな?俺たち、二人だけだったし」
「はあ?お前、それ、本気で言ってんの」
「え?」
葛城、と呼んだ声が掠れた。葛城の声が低く、そしてわずかに震えている。
(怒ってる、よな。どうしよう)
よく考えれば怒っても仕方ない。元々、二人で見ようと一か月も前から約束していた。それを今日、突然、言われればテンションだって下がる。
やはり、断るしかないと美月の方を振り向こうとすると、葛城にきつく腕を握られる。
「葛城?ちょっと待って、今、断ってくるから」
「それって、お前の意志?」
問われている意味がわからない。思わず、口を閉ざしてしまう。
すると、握られている腕が更に力強くなる。その強さに葛城の顔を見る。
瞬間、呼吸が一瞬、止まったような錯覚を覚えた。葛城の目は赤く滲み、唇を歯で噛みしめ、まるで唇に血が滲んで広がっているようにも見える。
(そんな顔、なんで)
何を言えばいいのかわからない。戸惑っていると葛城が小さく呟いた。
「俺だけ?今日の花火、めっちゃ楽しみにしてたの」
「お、俺だって、めっちゃ楽しみだったよ?」
「なあ、俺たちって付き合ってんだよな?」
今度こそ問いかけられている意味がわからなかった。付き合ってる?誰と誰が?
「ごめん、葛城。誰と誰が付き合ってんの?」
「~ッ!俺と!お前が!」
叫ぶように言い、目を見つめられる。潤んだ目から零れ落ちる一筋の涙が切なくも愛おしい。
「なのにお前、ふらふらしやがって。俺、俺…」
「葛城?」
「俺は!お前のことが好きなんだよ!お前が誰かと笑ってたり、話したりしてるだけで死んじゃいそうなくらいお前のことが好きでたまんねーんだよ!」
花火はまだ上がっていない。叫ぶような告白はきっと、桜や美月にも聞こえてしまっている。
ああ、きっと桜は傷ついている。頭ではそうわかっているのに、その感情とは裏腹にむくむくと温かな気持ちが溢れ出してくる。
温かくて、けれど温かいだけじゃない。痛くて切なくて、まるでパンパンに膨らんだ水風船のようで。
(どうしよう、どうしよう…俺、葛城のこと―)
「お、俺…」
(伝えないと、自分の言葉で)
思うのに声が出ない。情けない。葛城はちゃんと声に出して届けてくれたのに。
言え、言うんだよ!心の中、そう決心してぎゅっと強く目を瞑った。瞬間、握る腕の力から解放され、けれど代わりに背中をきつく抱きしめられた。
「待つよ、俺。お前がお前の言葉で言えるまでちゃんと待つから。だから、聞かせて」
(ああ、なんでそんな格好いいんだよ)
自然と涙が目から溢れ出す。好きだ、好きだよ。伝えたい、伝わってほしい。
ぎゅっと背中を握り返した。美術部で運動が嫌いなはずなのに、逞しい肩に顔を埋める。
「俺、葛城が好きだ。誰よりもお前のこと、好きだっていう自信あるよ」
「誰よりも?」
「絶対、俺が一番好きだ」
「理由は?」
「そんなもんないよ。でも、自信だけはある」
バーカ。そう言った葛城の声が少し、くぐもって聞こえるのは葛城も昌太郎の肩に顔を埋めているせいだろうか。
「昌太郎」
「なに?」
「顔、見たい。見せて?」
お互いをきつく包んでいた温もりが離れていく。お互いの熱い手と手が絡み合う。
こつん、と額が優しい音を立ててぶつかり合った。視界の中には愛しい愛しい人の瞳だけが映り込む。
「好きだよ、昌太郎。俺と付き合ってくれますか?」
「うん、俺も好きだ。俺と付き合ってください」
ドン、と音がして、見ると今年一発目の花火が漆黒の夜空に浮かび上がった。
「綺麗だ」
「うん、めっちゃ綺麗」
「本当、綺麗…」
「語彙力低めかよ」
「悪かったな、馬鹿で」
「そんなとこも可愛くて好きだよ」
二発目の花火が上がる。黒のキャンパスにカラフルな色が舞う。
触れた唇は熱くて、けれど思ったようなチェリーの味はしない。
初めての告白は思う通りにはいかなかったけれど、きっと昌太郎の記憶にはいつになっても鮮明に残るだろう。
触れた唇の熱を感じながら、二人、指を絡めたまま、打ち上げる花火を見つめていた。
「ちょっと買いすぎた?」
「いや、昌太郎なら食べれるよ」
「それ、俺が大食いだって言いたいのかぁ?」
ふざけてそう言うと、葛城がおもしろそうに笑った。
(なんだ、俺の気のせいか)
ほっと安心したようにこっそり息を吐いた。
「もうすぐ花火上がるな?そろそろ行くか?」
時刻は六時半。昌太郎たちの町の花火は七時から始まる。しかも、ここら辺では一番大きい花火らしく、人が山のように押し寄せてくるから場所取りが大変だった。
そのため、昌太郎はいつもとある場所をキープしている。といっても、場所取りをしているわけではない。いわゆる、地元民のみが知る穴場スポットだ。
「その前に俺、トイレ行ってもいい?」
葛城が言う。穴場スポットとは、小高い丘にある公園の駐車場で、近くには公園のトイレがある。
もちろん、と昌太郎が言うと葛城が「すぐ戻るから!」と珍しく慌て気味に言い、駆け出していく。
(場所だけでも取っておくか)
昌太郎は先に駐車場に向かう。穴場とは言えども地元民には知られているため、家族連れやカップルがそれなりに集まるのだ。
(せっかく告白するなら、花火が綺麗に見える場所で言いたい)
そう決心し、駐車場に向かう。昌太郎の中ではこの告白が、人生で初めての告白になる。人を好きになったことすらなかったのだ。緊張するし、逃げ出したい気持ちにもなるがそれでもやはり、初めては記憶に残るものでありたい。
着くと既に人がいた。町の中心部や橋には規制が張られているがここは規制されていないようで、車がびっしりと停まっている。
車が止まっている一番端、寄りかかれるような形で生えている木の側に行く。
「あれ?昌太郎くんだ」
木の側に行き、屋台で買ったお好み焼きやたこ焼きを根本に置こうとしたときだった。声を掛けられ振り向く。
「桜ちゃんに美月ちゃん?」
「昌太郎くんも花火見に来てたんだ!」
「うん」
「誰と来てるの?」
問われ、すぐに葛城と来てると言えなかった。
葛城はモテる。派手にモテているというわけではないが、ひっそりとモテている。どうやら葛城の立ち振る舞いやさり気なく優しいところが女子には好印象のようで、葛城のことを好きだと囁く声は昌太郎の耳にも届いている。
(どうする、このままじゃ告白どころじゃないぞ)
とはいえ、嘘は吐けないし、葛城はただ、トイレに行っているだけだ。そのうち、戻ってくれば嘘を吐いた理由を不審に思われるだろう。結局、「葛城と来てるよ」と言うしかなかった。
「じゃあ、私たちも一緒に見てもいいかな?」
「えっと~、葛城に聞いてみないとわからないなぁ」
苦し紛れにそう言うと、美月が目配せをするので桜から少し離れた場所にそそくさと移動する。
「こんなこと、昌太郎くんに頼むのも変かもだけどね?桜、多分、葛城くんと花火見たいんだと思うの」
「なんで…?」
「わかるよね?女子が男子と花火見たいって言う意味」
耳元で囁かれ、瞬間、心臓が嫌な鼓動を立てた。もちろん、わかるし、昌太郎は桜が葛城のことを熱の籠った視線で見つめていることも知っていた。
桜と美月は昌太郎たちと同じクラスだ。一つの教室にいれば意識しなくても視界に入ることはよくある。が、その中でも桜の視線の意味を知ってしまったのは、昌太郎も桜と同じ気持ちで葛城を見つめていたからなのだ。
(いつかはこんな日、来ると思ってたけど、今日じゃなくてもいいのに)
神様、俺、そんなに悪い行いばかりしましたか―?
天に問う。が、もちろん答えなど帰ってくるはずがない。
諦めないと。諦めたくない。二つの気持ちがせめぎ合う。
けれど、もし、諦めないとしても彼女たちに理由を説明できない。これから葛城に告白するから、そう言ったとしたら桜はどう思うだろう。
(俺だったら嫌だな)
ふと、母の言葉を思い出す。自分がされて嫌なことは人にしないでね。
ズキン、と胸が痛む。
「わかった、俺はどうすればいい?」
「あのね、じゃあ」
と、美月が昌太郎の耳に口元を寄せたとき、「おい」と低い声が耳に響いた。
「葛城」
「昌太郎、お前、何してんだよ」
「あのさ、偶然、桜ちゃんと美月ちゃんに会って?一緒に花火見ないかって話しになってたんだ」
自然と早口になる。心にも思っていないことを言葉にすると人間、無意識に早口になるのかもしれない。
「いいよな?俺たち、二人だけだったし」
「はあ?お前、それ、本気で言ってんの」
「え?」
葛城、と呼んだ声が掠れた。葛城の声が低く、そしてわずかに震えている。
(怒ってる、よな。どうしよう)
よく考えれば怒っても仕方ない。元々、二人で見ようと一か月も前から約束していた。それを今日、突然、言われればテンションだって下がる。
やはり、断るしかないと美月の方を振り向こうとすると、葛城にきつく腕を握られる。
「葛城?ちょっと待って、今、断ってくるから」
「それって、お前の意志?」
問われている意味がわからない。思わず、口を閉ざしてしまう。
すると、握られている腕が更に力強くなる。その強さに葛城の顔を見る。
瞬間、呼吸が一瞬、止まったような錯覚を覚えた。葛城の目は赤く滲み、唇を歯で噛みしめ、まるで唇に血が滲んで広がっているようにも見える。
(そんな顔、なんで)
何を言えばいいのかわからない。戸惑っていると葛城が小さく呟いた。
「俺だけ?今日の花火、めっちゃ楽しみにしてたの」
「お、俺だって、めっちゃ楽しみだったよ?」
「なあ、俺たちって付き合ってんだよな?」
今度こそ問いかけられている意味がわからなかった。付き合ってる?誰と誰が?
「ごめん、葛城。誰と誰が付き合ってんの?」
「~ッ!俺と!お前が!」
叫ぶように言い、目を見つめられる。潤んだ目から零れ落ちる一筋の涙が切なくも愛おしい。
「なのにお前、ふらふらしやがって。俺、俺…」
「葛城?」
「俺は!お前のことが好きなんだよ!お前が誰かと笑ってたり、話したりしてるだけで死んじゃいそうなくらいお前のことが好きでたまんねーんだよ!」
花火はまだ上がっていない。叫ぶような告白はきっと、桜や美月にも聞こえてしまっている。
ああ、きっと桜は傷ついている。頭ではそうわかっているのに、その感情とは裏腹にむくむくと温かな気持ちが溢れ出してくる。
温かくて、けれど温かいだけじゃない。痛くて切なくて、まるでパンパンに膨らんだ水風船のようで。
(どうしよう、どうしよう…俺、葛城のこと―)
「お、俺…」
(伝えないと、自分の言葉で)
思うのに声が出ない。情けない。葛城はちゃんと声に出して届けてくれたのに。
言え、言うんだよ!心の中、そう決心してぎゅっと強く目を瞑った。瞬間、握る腕の力から解放され、けれど代わりに背中をきつく抱きしめられた。
「待つよ、俺。お前がお前の言葉で言えるまでちゃんと待つから。だから、聞かせて」
(ああ、なんでそんな格好いいんだよ)
自然と涙が目から溢れ出す。好きだ、好きだよ。伝えたい、伝わってほしい。
ぎゅっと背中を握り返した。美術部で運動が嫌いなはずなのに、逞しい肩に顔を埋める。
「俺、葛城が好きだ。誰よりもお前のこと、好きだっていう自信あるよ」
「誰よりも?」
「絶対、俺が一番好きだ」
「理由は?」
「そんなもんないよ。でも、自信だけはある」
バーカ。そう言った葛城の声が少し、くぐもって聞こえるのは葛城も昌太郎の肩に顔を埋めているせいだろうか。
「昌太郎」
「なに?」
「顔、見たい。見せて?」
お互いをきつく包んでいた温もりが離れていく。お互いの熱い手と手が絡み合う。
こつん、と額が優しい音を立ててぶつかり合った。視界の中には愛しい愛しい人の瞳だけが映り込む。
「好きだよ、昌太郎。俺と付き合ってくれますか?」
「うん、俺も好きだ。俺と付き合ってください」
ドン、と音がして、見ると今年一発目の花火が漆黒の夜空に浮かび上がった。
「綺麗だ」
「うん、めっちゃ綺麗」
「本当、綺麗…」
「語彙力低めかよ」
「悪かったな、馬鹿で」
「そんなとこも可愛くて好きだよ」
二発目の花火が上がる。黒のキャンパスにカラフルな色が舞う。
触れた唇は熱くて、けれど思ったようなチェリーの味はしない。
初めての告白は思う通りにはいかなかったけれど、きっと昌太郎の記憶にはいつになっても鮮明に残るだろう。
触れた唇の熱を感じながら、二人、指を絡めたまま、打ち上げる花火を見つめていた。
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