多分、愛じゃない

ゆきの(リンドウ)

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恋と呼びたいだけだった

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 チャラそうできっとこういうところにも慣れているんだろうな、それが良樹の第一印象だった。

 実際、良樹の外見は俺が認識するチャラ男と一致するもので、髪は茶色に染めていたし服装は海でよく見かけるアロハシャツを着ていたし、何より決め手は顔の半分はあるサングラスだった。

 当時23歳、まだ廃れてもいなく純粋な恋愛に夢見ていた俺はそんなチャラ男を見て、まだ関わるべき人種ではないと思っていた。

 しかし、状況はいつでも突如として一変するということを知ったのはそれからすぐのことだ。

 若くて慣れていなさそうだとしつこい客に絡まれているところをさり気なく、良樹が助けてくれたのだ。

「君、可愛いけど可愛いから気をつけないと、俺みたいな怪しいおじさんに食べられちゃうからね」

 一見、口説き文句のようなそれ。だけどその時の俺は、トキメキとかそういう類のものではなく、憧れのような懐かしい感覚のようなものをしっかりと感じていた。

 類は友を呼ぶ、その言葉の通りに俺はどことなく俺に似た良樹をいつの間にか自分のテリトリーにすっぽりと入れていたのだ。

 その日のうちに連絡先を交換し、以来何かあってもなくても連絡を取り合う仲になっていた。

「愛じゃねぇよ。ただ、彼氏ってだけだ」

「またまた~あんたのが愛じゃないなら、僕なんて恋でもないから!」

 愛だの恋だの、成人したもうすぐおっさんが何を言っているんだか。

 リビングの馬鹿デカいテレビの前に同じくらいにデカいテーブル、その上にはかれこれ二時間前に開けたビールや酎ハイの缶が転がっている。

 良樹が言う恋じゃないとは、長年彼が片思いをしているノンケのことだ、と知ったのは知り合って一年が経った頃だ。

 ノンケの名を俺たちはパイナップルと呼んでいる。彼のイカしたヘアスタイルにちなんで。

「パイナップルなんてよ、いまだに僕のことベストフレンドとかって言うんだぜ?」

「それゃあ、酷い」

 いつのまにか話題は克巳の愚痴からパイナップルの愚痴になり、良樹は顔を赤らませている。
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