多分、愛じゃない

ゆきの(リンドウ)

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あるべき恋の姿

(1)

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 良樹との暮らしはやはり、居心地が良い。

 それはきっと俺も良樹も互いに似ている性格が良かったのだろう。

 洗濯、料理、洗い物、掃除。時間がある人がやるというルール。

 他人と住む、それが友人とでもよく揉める原因となると聞くがそれがないのは、互いの生活リズムを分かり尽くしているせいもあると思う。

「良樹~今日の夕飯はどうする?」

「ああ~じゃあがっつり肉がいい!」

「了解。じゃあスタミナ丼でな」

 相変わらずガッツリ飯が好きな良樹に、今日の帰りのスーパーはセール品の牛肉を買おうと決めた。

 良樹の家と俺が住んでいた家は、徒歩20分ほどの距離にある。

 生活圏としてはそれなりに離れてはいるが、近所の激安で人気なスーパーはその中間地点にあり、大抵の人はそこに求めて行く。

 …いないとは、思うけど。

 というのは、克巳の性格が故だ。

 休日ならまだしも平日のしかも教職という職業柄、残業がついて回る仕事をしながら、わざわざスーパーに行くとは考えにくい。

 それに克巳は、掃除や洗濯はともかく、料理はからっきし駄目なのだ。

「おつかれさまです~」

 部活終わりの午後6時半。日暮れが長くなってきたせいでまだ夕暮れが綺麗に映える空を見ながら、俺は激安スーパーに向かって歩いていた。

「あ、すみません」

「…いえ、こちらこそ」

 途中、背の高い男性にぶつかったようで、肩に衝撃が走った。

 決して前を見ていなかった訳ではないが最近、よくこういうことがあるのは自分でもわかっていた。

 ホテル生活をしていた時と比べれば今の環境は、充分すぎるほどに恵まれている。

 しかし、気づかぬ内にぼーっとしていたり、今みたいに背の高い男性を見ると無意識に怯みそうになる。

 …結局、意気地のない自分のせいなんだよな。

 克巳宛のメールを何度も何度も打ち掛けては消していた自分を思い出し、また自己嫌悪に陥る。

 ー連絡しなくてごめん。話したいことがあるから時間取れるか?

 ーとりあえず荷物を取りに行く。

 たった一言、難しくもなんともない一言を打つだけだというのに、とてつもなく難しい言葉を打つかのようだ。
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