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恋じゃなくて、多分、愛じゃない
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「もしかして、逃げようとか思ってる?」
「い、いや、全くそんなことは」
「逃げられるわけないじゃない」
バルコニーに目配せしたのが悪かったのだろうか。彼女はそう言うと、コンロに置きっぱなしになっていたフライパンを手にした。
咄嗟にまずいと思った。この状況で武器になるものを手にすれば、十中八九攻撃されるだろう。
すると案の定、彼女は俺に向かってフライパンを振り回し始めた。
女性といえども、火事場の馬鹿力は侮れない。彼女は力の限りフライパンを振り回しながら、確実に俺を狙っていた。
壁に当たったり床に当たったり。確実に素早い動きのはずが何故かスローモーションに見えた。
当たった箇所を見ればベコっとへこんでいる。もしあれが当たれば俺はー。
ぞっとし、必死に逃げ惑う。とは言いつつも、2LDKの狭いリビング。しかもソファやらテーブルやらのせいで、逃げるには都合が悪かった。
ガンッ!と鈍い音が聞こえ、同時に頭と足にとてつもない痛みを覚えながら俺はそのまま、意識を失っていた。
「奏!奏ッ‼︎」
遠くで何故だか、克巳の声が聞こえた気がした。
「い、いや、全くそんなことは」
「逃げられるわけないじゃない」
バルコニーに目配せしたのが悪かったのだろうか。彼女はそう言うと、コンロに置きっぱなしになっていたフライパンを手にした。
咄嗟にまずいと思った。この状況で武器になるものを手にすれば、十中八九攻撃されるだろう。
すると案の定、彼女は俺に向かってフライパンを振り回し始めた。
女性といえども、火事場の馬鹿力は侮れない。彼女は力の限りフライパンを振り回しながら、確実に俺を狙っていた。
壁に当たったり床に当たったり。確実に素早い動きのはずが何故かスローモーションに見えた。
当たった箇所を見ればベコっとへこんでいる。もしあれが当たれば俺はー。
ぞっとし、必死に逃げ惑う。とは言いつつも、2LDKの狭いリビング。しかもソファやらテーブルやらのせいで、逃げるには都合が悪かった。
ガンッ!と鈍い音が聞こえ、同時に頭と足にとてつもない痛みを覚えながら俺はそのまま、意識を失っていた。
「奏!奏ッ‼︎」
遠くで何故だか、克巳の声が聞こえた気がした。
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