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Vtuber邂逅編~その出会いは二度目の恋の始まり~

第十一話「普通はお互いを知った上で身を重ねるのだろうが、我々は何故か順序が逆だった」

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 皆様、毎度お世話になっております。
 前回に引き続き、毎度お馴染み七都巳大竜がお送り致します。

「はぁい♥ お疲れ様でした~♥」
「くっ♥ ふほおぉぉっ……♥」

 場面は前回終盤より直後……
 パル殿との実に素晴らしき至高にして極上の"洗いっこ"を経て、
 次はいよいよ湯に浸かるので御座いますが……


「……驚いたな。よもや短時間にしてここまで大量の湯を沸かして張り終えるとは……」
「施設用の超大型最新モデルだからねぇ。エニカヴァー全土でもごく一部の金持ち先進国にしかないヤツだよ」

 魔術機構を組み込んで全域が機械化されし最新鋭の大型湯船は湯沸かし・湯張りから保温や水温・水質調整に至る迄あらゆる動作を全自動でこなし、
 果ては入浴者の身体データを読み取り適切な入浴時間を計測、長時間の入浴や湯船の中での昏睡などの危機を察知しては念話テレパシー系魔術を応用したアラームで警告や指示を行う機能まで搭載された優れものに御座いました。

「ん、ふはぁぁぁ~……♥」
「っぉ、ほ……ぉぉ……っ!」

 掛け湯をし、タオルを外して湯に浸かり……入浴剤により微かに色の付いた湯へ身を沈めてみれば、パル殿のたわわに豊満なる大層ご立派な両のお胸様
  ――それはもう、何から"ナニ"迄敬意を払わずには居れぬ程の素晴らしさに御座います――
 が見事な迄に湯へ浮いておられたものですから、またしても自分めは劣情に苛まれてしまいましたが……

(……我乍らはしたないな全く。曝け出すべきではあるまい)
「ダイちゃ~ん、湯船デカいんだしリラックスしなよ~♪」
「ぬっ、ぉ……パル殿っ、勿論そのつもりですがねッ」
「じゃあ足ぐらい開いたっていいじゃんさぁ~♥ ホラホラ、ここは男らしく大胆に~」
「あっ、いえその――」
「……おっ、とぉ~♥ さっきあんなに大暴れした癖にもうガッチガチじゃん♥」
「……お恥かしい限りで。申し訳御座いませぬ……」
「なに謝ってんの? オスとして健康な証じゃんっ♥ 然しまさかこんなに早く持ち直すなんて……
 もしかしてダイちゃんって、ご両親のどっちかがケンタウロスとかオーガとか、さもなきゃオークかインキュバス辺りの血引いてたりする?」
「いえ、自分は先祖代々れっきとした人間の家系ですが……」

 ともあれ湯船で寄り添いリラックス状態の我々は、各々の苦境より解き放たれ一先ずの平穏を勝ち取るに至ったので御座います。

 そうして暫し後、パル殿は思い出したように話を切り出されました。

「……そういえばあたしら、ついさっき組もうって決めた癖にお互いのことあんま話してなくない?
 なんか思い返してみたらさ、あたしダイちゃんのこと全然知らないやって」
「確かに、言われてみれば……自分もパル殿がどのような方なのか、少ししか把握できておりませんでしたな……」
「だよねぇ~……よし、決めたっ。じゃあここからは改めて、お互いを詳しく知る為の自己紹介タイムにしよう」
「それは名案。ええ、是非ともそう致しましょう」
「おっけー、んじゃ先ずはあたしからね。
 あたしの名前はパルティータ・ピローペイン。フリーランスの便利屋で魔女、物心つく前からユアキクル市国の児童養護施設で育ったらしいんだ。
 らしい、なんて言い方をしたのは、あたし自身小さい頃の記憶とかがあんまないからなんだけど……とりあえずは天涯孤独ってワケ♪」
「それはまた……」

 『そんな明るい調子で軽々しく言っていいものなのだろうか』と思わずには居れません。

「まあ施設で暮らしてたのは本当に小さい頃でね、十歳の年明け頃に施設へ来たフィルミアーナ魔導国政府のマシロー大臣にスカウトされたのが切っ掛けで、
 春からは首都シムプレックスの国立魔術学院に入学して学生寮で暮らしてたんだけどね~」
「十歳にして寮生活……それは大変ですなァ」
「まーね。けど慣れればそんな苦でもなかったよ。学院や寮はいい人ばっかりだったからね。
 二十歳で学院を卒業してからは暫く一般企業で働いてたんだけど、これがまた色々あってさぁ~。
 どっかから流れてきた呪いで不老・不死・不妊・不改変の四拍子揃った不可殺者アンキラブルっていうそこそこ上位種の不死生物になっちゃったり、
 なんか顔が似てるとかで見ず知らずの犯罪者に間違われて投獄されちゃったりとか散々でね。
 気付けば実質フリーターのまま百歳超えちゃったんだよねぇ~。ちなあたし、これでも今年でジャスト百六十歳だよ」
「百六十歳、ですか……」

 只者ではない印象はありましたが、よもや何倍も歳が離れて居ようとは思いもよりませんでした。

「ジジババ通り越してフツーの人間ならくたばって土に還ってるような歳だよね。
 でまあ今はフリーランスの便利屋魔女、っていうかまぁ~ただの魔術が使えるだけの便利屋ってかフリーター? みたいな感じで結構稼がせて貰っててさ、
 今回この施設……新真玉《しんしんぎょく》グループの総本山にも、便利屋としての仕事で潜入しててね」
「そう言えばあの連中とパル殿は敵対関係でしたか。連中……新真玉グループとは一体何者なので御座いますか?」
「まぁ、そう焦りなさんな……あたしのおっぱいでも揉んで落ち着きなよ」

 などと口走りつつ自分と向き合いどどん、とお胸様を突き出すパル殿の表情と声のトーンは、実に信じ難い話ですがこれが冗談でも何でもなく、至極真剣そのもの……
 ともすれば自分としましても、有り難くお言葉に甘えさせて頂き……己が欲望の赴くまま堪能させて頂くのが筋なのかもしれませんが、とはいえ……

「……お言葉に甘えさせて頂きたいのは山々ですが、ここでそうしてしまうとお話どころでは無くなりそうですので、その件は少しばかり延期させて頂ければと……」

 もし本作がビジュアルノベルならば選択肢の一つでも出ていたでしょうが、生憎とそんな豪勢な代物では御座いませんので……

「ん、そっかそっか。ならいいや……じゃあ代わりにダイちゃんの睾丸《タマタマ》をマッサージしてあげよう」
「はっ!?」

 全く以て予想外の発言に、自分めは当然の如く困惑してしまいます。
 恐らく長く生きて来られたが故に経験豊富であらせられるので御座いましょう、パル殿の手捌きや指使いは最早神業の域である以上、その申し出は実に魅力的なので御座いますが……

「それも大変有り難く、また魅力的な御提案に御座いますが……やはりお話に集中できなさそうですし、延期で宜しゅう御座いますかパル殿……」
「ん、わかった~。ダイちゃんの望みならそうするよ。で、新真玉グループだっけね。奴らが何者かっていうと……
 ついさっき、ダイちゃんが大暴れする寸前までこのベイレイン帝国を実質乗っ取ってた、ヤバいカルトな変態集団さ」
「なんと……!」

 パル殿の口から出た衝撃の一言に、自分めは思わず耳を疑いました。

(国一つ、それもかなりの国土面積を誇るベイレイン帝国を、こともあろうに丸ごと乗っ取るカルト集団だと……!?)

 果たしてその実態とは……? 詳細はまた、次回……
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