ケルベロスの籠

夏生青波(なついあおば)

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(14)始まり

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 光は紫之の上掛けを剥ぐと、尻を持ち上げパジャマのズボンと下着を一気に脱がせた。
「光っ?」
 怯えた声の紫之に光は晴れやかに笑う。
「大丈夫、俺に任せて」
 何の欲望も見せていない紫之のくったりしたものを光は右手に包んだ。
「怖い。なんでこんなことしようとするの?」
「怖いんだね。でも、こういうことの方が案外嫌なことを忘れられるよ。俺がいるから大丈夫だ」
 少し被った皮から頭を露出させ、それを口に含んだ。
「んっ」
 紫之がのけぞった。光は紫之の形を確かめるようになめながら、ゆっくりと上下に手を動かした。
 薬の副作用もあり性欲の減退しているはずの紫之のそれにわずかに芯ができる。それを大事に大事に育てると先端からとろりと液があふれ出した。
「ああ……」
 枕の上で頭を左右に振り、上半身を身もだえさせる紫之の可憐さが、光の股間を張り詰めさせる。
 それをあくまでも紫之には見せず、ひたすら舌を絡め、吸い、しごく。
 粘り強い光の巧みな手の動きと舌づかいに、ついに紫之は上り詰めた。とても濃いそれを光は笑みながら飲み下す。
「は、ずかしい」
 両手を顔の前で交差させる紫之の手首を片手ずつ下ろさせた。
「怖くなかっただろう」
 こくっと紫之が頷く。
「気持ちよかった?」
 顔を赤くして、紫之はまたこくりと頷く。
 その時、カーペットに落ちていた紫之のスマートフォンが鳴った。
「メール……」
 光は拾い上げてパスコードを入力し、メールアプリを開いた。
 送り主は鋭人。深夜に言っていた断りのメールだ。
 光はそのメールを削除し、ゴミ箱からも消した。
「何だった?」
「スパムメール」
 紫之が首をひねっている。
「僕、パスコード教えてたっけ?」
 光は笑った。
「今まで何度も俺の前で入力していただろう? いい加減覚えるよ」
「ああ、そうか」
 それだけで納得してしまうほどに、光を信頼しきっている。

 紫之が泣きそうな顔で両腕を伸ばしてきた。
「光、怖いよ」
 光は優しく微笑みながらその腕に抱かれ、背に手を回して撫でてやる。
「大丈夫。俺がここにいるよ。俺が一番しののことをわかってる。しのの体も心も一番愛しているのは俺だよ。他人はしののことを平気で見捨てるけど、俺はしのが病気でも見捨てないよ」
「うん、うん……見捨てないで、光……」
 紫之がかじりついた。
「僕には光しかいない。光以外はみんな怖い」
「そうだよ。紫之のことは俺だけがわかってる。さ、朝食にしよう」 

 朝食後 紫之がダイニングにカッティングマットとカッター、家中に掛けてあった切り絵作品のフレームを持ってきた。
「これ、捨てる」
 光は驚いたように目を見張る。
「やめるのか、切り絵」
「うん」
 とても寂しげだった。
「SNSもやめる。アプリ消して」
「やめられる?」
 急に紫之が涙をこぼした。
「怖いんだもん。もう嫌だ」
 光は紫之を胸に抱いた。
「やっておくよ」
 その顔は残酷な笑みを浮かべていたが、紫之が気づくことはなかった。



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