3 / 107
自然
第二話 【戻り山】
しおりを挟む
俺の実家がある地方には不思議な山がある。
その名も
『戻り山』
一体どう山かっていうと、その名の通り、“戻ってくる“んだ。
例えば、俺が小学生の時、友達と、その山で遊んでいたんだが、その時、飲んでいたジュースの空き缶を、その山に放って来ちゃったんだ。
そしたら、家に到着して鞄の中を見てみると……
その空き缶が、鞄の中に入ってて。
空き缶の中に残っていたジュースで、鞄の中はぐちゃぐちゃ。
そりゃぁもう、親に怒られたよ。
他にも、誰かがあの山に何かを忘れたり、何かを捨てても、必ず持ち主の所に戻って来るんだ。
だから、いつしか、地元の人たちの間では、『戻り山』っていう名前で呼ばれるようになった訳なんだけど……
この間、その山に、県外のナンバープレートをつけた車が一台入って行ったんだと。
しかも、咥え煙草で、窓を開けて。
俺の親父の友達が、中古車販売してるから、その地域では珍しく派手な外車に乗ってんなぁって思って見ていたらしいんだけど、あの山でその咥えた煙草の吸殻とか放っていかなきゃいいけどなぁ……とか思ってたらしい。
だって、吸い殻なんて捨てた日にゃぁ……火がついたまま、車の中に戻って来ちゃう訳だから、下手したら大惨事になっちまうだろ?
でも、うちの地元側から山に入ったって事は、そのまま進んで行けば、山を越えて隣の県に行っちまう訳だから、その後の事は、親父の友達もどうなったかなんて分かる訳もなく。
ただ、珍しい派手な車が、『戻り山』に入って行った事だけ、印象にあったんだと。
でもさ……
この間のニュース見たか?
ほら。
〇×県で、独身で、一人暮らしの男のマンションから、死体が発見されたってニュース!
あれ、マンションの一室から、女の死体が出たっていうのに、何故か「全裸で土が付着した状態で……」って、言ってただろ?
そのニュースの画面に、マンションの外の映像に映ってたんだと。
あの時の「派手な外車」がさ。
しかも、親父の友達が見たっていう県外のナンバープレート。
あれって、〇×県のナンバープレートだったんだよね……
うん。
きっと、そうだと思う。
あの男。
あの山の事知らずに、女の死体、埋めちゃったんだろうね。
「戻って来ちゃうのに」
その名も
『戻り山』
一体どう山かっていうと、その名の通り、“戻ってくる“んだ。
例えば、俺が小学生の時、友達と、その山で遊んでいたんだが、その時、飲んでいたジュースの空き缶を、その山に放って来ちゃったんだ。
そしたら、家に到着して鞄の中を見てみると……
その空き缶が、鞄の中に入ってて。
空き缶の中に残っていたジュースで、鞄の中はぐちゃぐちゃ。
そりゃぁもう、親に怒られたよ。
他にも、誰かがあの山に何かを忘れたり、何かを捨てても、必ず持ち主の所に戻って来るんだ。
だから、いつしか、地元の人たちの間では、『戻り山』っていう名前で呼ばれるようになった訳なんだけど……
この間、その山に、県外のナンバープレートをつけた車が一台入って行ったんだと。
しかも、咥え煙草で、窓を開けて。
俺の親父の友達が、中古車販売してるから、その地域では珍しく派手な外車に乗ってんなぁって思って見ていたらしいんだけど、あの山でその咥えた煙草の吸殻とか放っていかなきゃいいけどなぁ……とか思ってたらしい。
だって、吸い殻なんて捨てた日にゃぁ……火がついたまま、車の中に戻って来ちゃう訳だから、下手したら大惨事になっちまうだろ?
でも、うちの地元側から山に入ったって事は、そのまま進んで行けば、山を越えて隣の県に行っちまう訳だから、その後の事は、親父の友達もどうなったかなんて分かる訳もなく。
ただ、珍しい派手な車が、『戻り山』に入って行った事だけ、印象にあったんだと。
でもさ……
この間のニュース見たか?
ほら。
〇×県で、独身で、一人暮らしの男のマンションから、死体が発見されたってニュース!
あれ、マンションの一室から、女の死体が出たっていうのに、何故か「全裸で土が付着した状態で……」って、言ってただろ?
そのニュースの画面に、マンションの外の映像に映ってたんだと。
あの時の「派手な外車」がさ。
しかも、親父の友達が見たっていう県外のナンバープレート。
あれって、〇×県のナンバープレートだったんだよね……
うん。
きっと、そうだと思う。
あの男。
あの山の事知らずに、女の死体、埋めちゃったんだろうね。
「戻って来ちゃうのに」
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
石榴(ざくろ)の月~愛され求められ奪われて~
めぐみ
歴史・時代
お民は江戸は町外れ徳平店(とくべいだな)に夫源治と二人暮らし。
源治はお民より年下で、お民は再婚である。前の亭主との間には一人息子がいたが、川に落ちて夭折してしまった。その後、どれだけ望んでも、子どもは授からなかった。
長屋暮らしは慎ましいものだが、お民は夫に愛されて、女としても満ち足りた日々を過ごしている。
そんなある日、徳平店が近々、取り壊されるという話が持ちあがる。徳平店の土地をもっているのは大身旗本の石澤嘉門(いしざわかもん)だ。その嘉門、実はお民をふとしたことから見初め、お民を期間限定の側室として差し出すなら、長屋取り壊しの話も考え直しても良いという。
明らかにお民を手に入れんがための策略、しかし、お民は長屋に住む皆のことを考えて、殿様の取引に応じるのだった。
〝行くな!〟と懸命に止める夫に哀しく微笑み、〝約束の1年が過ぎたから、きっとお前さんの元に帰ってくるよ〟と残して―。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし
かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし
長屋シリーズ一作目。
第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。
十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。
頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。
一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる