憧れのスローライフは計画的に

朝顔

文字の大きさ
6 / 8

しおりを挟む
◇◇◇





「神のご加護がありますように」

 最後の村人にそう声をかけて、手を振って送り出した。
 午前礼拝はこれで終わり、午後からは隣村の結婚式が入っている。
 予定を確認しようと思いながら教会のドアを閉めたところで、後ろから抱きしめられた。

「こらっ……オランジュ、ダメだよ。今日は忙しいのに……」

「支度は終わっているじゃないか。隣村に行くだけだし、まだ時間はある」

 誰もいなくなったとはいえ、まだ真っ昼間だ。
 しかも聖域と呼ばれる場所で、この男は毎日の様にベタベタと触れてくるので困ってしまう。

「祈りの最中も、エロい尻で歩き回って……、何人が涎を垂らして見ていたか……」

「はぁ? そんな変態はオランジュだけだよ。本当にそんなエロ頭で神父様なの? ……って、あっ……ちょっ……だめっ」

 オランジュは遠慮なく俺のズボンに手を入れてしまい、尻をぎゅうぎゅうと揉んできた。
 ソコから朝の残りがトロリと漏れてきてしまい、変な声が出てしまった。

「尻に俺の種をたっぷり蓄えて、行儀良くしてるなんてエロ過ぎだろう。たまらないな……また注いでやるよ」

 祭壇の机に押された俺は手をついたが、あっという間に下着を下ろされて、昂りを押し付けられてしまった。
 いつも思うが、この早業はいったい何なんだ。下着を剥くスキルが備わっているとしか思えない。

「あっ……ああっ、もう……勝手に、デカいの……挿入れるなっ……」

「ここは、喜んでるぞ。ほら……簡単に飲み込んだ。朝たっぷり出したやつが溢れてきた」

 灼熱の杭を打ち込まれたが、すぐに俺の中に馴染んでしまい、オランジュは容赦なく中をかき回すように抽送を始めた。

「へ……へんた、エロ神父……あっ、ぁぁぁっ、んん、あっあっ、アッ……」

「その変態に突かれて、締め付けてアンアン感じまくってるクセに。認めろよ、気持ちいいんだろう?」

「うっ、んーぁっっ、んんっ、……バカぁ、ドエロ変態神父っっ」

「フッ……、本当は神父じゃないって言ったら?」

「あ……あんなに、流れるように……聖書を見ずに……読める人が……、何言って……んんっああっ! そこぉ、やぁっっ」

「頑張って覚えたんだ……っっ、はぁ……お前に……嫌われたく……なくてな」

 俺の良いところを熟知しているクセに、オランジュはいじわるく、わざと外して突いてくるので、ソコを擦って欲しくてたまらなくて俺は頭を振ってやだやだと喘いだ。

「嫌われたくない……なら、ちゃんと……擦って、きもちい……の、ほし……」

「欲しいのか? なら、このエロ尻を振って、可愛くお願いしてみろ」

 普段ならムカついて叩いてやることも、こうなったら従順に求めてしまう。
 すっかり飼い慣らされていることも、また快感に思えてしまうのだ。

 俺は後ろから攻めてくるオランジュを、振り返って見つめながら、言われた通りにお尻をねっとりと動かした。

「オランジュ……好きなの」

 オランジュの喉仏が上下して、ごくりと唾を飲み込んだ音がした。
 尻の奥に挿入ったオランジュの硬いモノがぶるりと震えた。じんわりと熱いものが広がったので、どうやらイッてしまったようだ。

「くっっ、ばっ……、ランめ……」

「フフッ、イッちゃったの? かわいいー」

「……クソっ、可愛いのはお前だ! 覚悟しろ! 抱きつぶしてやる!

「うわぁっ、えっ……あっあっ……あああっーーー!」

 火をつけてしまった俺は、この後連続でイカされ続けて立てなくなり、午後の予定は俺だけ休むことになった。
 ヤリまくってスッキリした顔で、隣村に行ってきますと出かけて行ったオランジュに、掠れた声でバカと言ったが、嬉しそうな笑顔が返ってきて気が抜けた俺はベッドに倒れ込んだ。


 両思いになってから、オランジュは俺の家で一緒に暮らすことになった。
 さすがにこうなったらどう見ても恋人同士なので、周りからはおめでとうと言われている。
 結婚すればいいのにと言われるが、罪人は結婚できないという決まりなので、夫婦にはなれない。
 だが、異世界の結婚の決まりとかはどうでもいいし、オランジュも俺と一緒にいられるだけでいいと言ってくれるので寂しく思う気持ちはない。

 オランジュは、今までむっつりだったのが開花したように、ところ構わず盛ってきて、とんでもなくエロい男になってしまった。
 だが、他のやつには今まで通り無表情の無愛想なので、俺は困った顔をしながらその実、喜んでいる。

 薄々勘付いてはいるが、ただの神父ではなさそうだし、生まれも含めて色々と事情がありそうだ。
 でも、無理に聞き出そうとは思わないし、どんな事情があっても俺はオランジュと一緒にいると決めている。

 ヤリ過ぎて足腰が立たなくなっていたが、夕刻には動けるようになり、夕飯の支度を始めた。
 今日はオランジュが好きなスープをたくさん作った。蓋を開けて喜ぶときの顔を想像して、嬉しくて笑ってしまった。

 その時、外でガタンと音がした。
 続いてガタガタとうるさく音がしたが、オランジュは物の扱いが荒いので、外の椅子でも倒したのだろうと思った。
 パタパタと玄関に走ってドアを開けると、予想通りオランジュが立っていた。

「おかえりなさい」

「ただいま」

「隣村の結婚式は? 何事もなく終わった?」

「ああ、若い夫婦だった。感謝されたよ。泊まっていけと言われたけど断った。家に可愛い恋人が待っているからな」

 大きな鞄を床に置いた後、近づいてきたオランジュは俺のおでこにキスをしてきた。
 走って帰ってきたのだろうか、少しだけ汗の香りがした。

「貰ってきたぞ。ランの好物だろう」

 机の上に包みが置かれて、中からコロンと丸いカラフルなお菓子が飛び出してきた。

「あー! ボンボン! これ、結婚式でしか食べられないんだよねぇ。やっぱり俺のこと分かってる。オランジュ最高ー」

「出かける時は、バカだと言ったクセに」

「んんーーー、バカじゃなくて、好き、大好き」

 小さく頬を膨らませているオランジュに抱きついた俺は、ぷっくりした頬に鳥が啄むようにキスをした。
 オランジュも嬉しそうに笑って、俺の頭をふわりと撫でてくれた。

 その時、胸に込み上げてくるものに気がついて、俺は自分の胸に手を当てた。
 トクトクと心臓の音がして、たくさんの温かさで満たされている気がした。

「どうした? 苦しいのか?」

 突然動きが止まってしまった俺を、オランジュが心配そうな目で見つめてきた。

「ううん、幸せだなって思って……」

 オランジュの心配そうな目が、今度は優しく細められた。

「そうか。俺もだ」

 胸にぽっかりと空いた穴。
 風が吹き抜けて凍えそうだった心は、いつしか温かいもので満たされていた。

 この温かさが幸せなんだと分かった。

 そして同じ幸せを一緒に感じられる人がいること。
 もっと温かい気持ちで満たされて、二人で笑い合った後、とびきり甘くて幸せなキスをした。









 終

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

アプリで都合のいい男になろうとした結果、彼氏がバグりました

あと
BL
「目指せ!都合のいい男!」 穏やか完璧モテ男(理性で執着を押さえつけてる)×親しみやすい人たらし可愛い系イケメン 攻めの両親からの別れろと圧力をかけられた受け。関係は秘密なので、友達に相談もできない。悩んでいる中、どうしても別れたくないため、愛人として、「都合のいい男」になることを決意。人生相談アプリを手に入れ、努力することにする。しかし、攻めに約束を破ったと言われ……?   攻め:深海霧矢 受け:清水奏 前にアンケート取ったら、すれ違い・勘違いものが1位だったのでそれ系です。 ハピエンです。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。 自己判断で消しますので、悪しからず。

ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました

あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」 完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け 可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…? 攻め:ヴィクター・ローレンツ 受け:リアム・グレイソン 弟:リチャード・グレイソン  pixivにも投稿しています。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。

批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。

異世界に勇者として召喚された俺、ラスボスの魔王に敗北したら城に囚われ執着と独占欲まみれの甘い生活が始まりました

水凪しおん
BL
ごく普通の日本人だった俺、ハルキは、事故であっけなく死んだ――と思ったら、剣と魔法の異世界で『勇者』として目覚めた。 世界の命運を背負い、魔王討伐へと向かった俺を待っていたのは、圧倒的な力を持つ美しき魔王ゼノン。 「見つけた、俺の運命」 敗北した俺に彼が告げたのは、死の宣告ではなく、甘い所有宣言だった。 冷徹なはずの魔王は、俺を城に囚え、身も心も蕩けるほどに溺愛し始める。 食事も、着替えも、眠る時でさえ彼の腕の中。 その執着と独占欲に戸惑いながらも、時折見せる彼の孤独な瞳に、俺の心は抗いがたく惹かれていく。 敵同士から始まる、歪で甘い主従関係。 世界を敵に回しても手に入れたい、唯一の愛の物語。

婚約破棄を提案したら優しかった婚約者に手篭めにされました

多崎リクト
BL
ケイは物心着く前からユキと婚約していたが、優しくて綺麗で人気者のユキと平凡な自分では釣り合わないのではないかとずっと考えていた。 ついに婚約破棄を申し出たところ、ユキに手篭めにされてしまう。 ケイはまだ、ユキがどれだけ自分に執着しているのか知らなかった。 攻め ユキ(23) 会社員。綺麗で性格も良くて完璧だと崇められていた人。ファンクラブも存在するらしい。 受け ケイ(18) 高校生。平凡でユキと自分は釣り合わないとずっと気にしていた。ユキのことが大好き。 pixiv、ムーンライトノベルズにも掲載中

悪役の運命から逃げたいのに、独占欲騎士様が離してくれません

ちとせ
BL
執着バリバリなクールイケメン騎士×一生懸命な元悪役美貌転生者 地味に生きたい転生悪役と、全力で囲い込む氷の騎士。 乙女ゲームの断罪予定悪役に転生してしまった春野奏。 新しい人生では断罪を回避して穏やかに暮らしたい——そう決意した奏ことカイ・フォン・リヒテンベルクは、善行を積み、目立たず生きることを目標にする。 だが、唯一の誤算は護衛騎士・ゼクスの存在だった。 冷静で用心深く、厳格な彼が護衛としてそばにいるということはやり直し人生前途多難だ… そう思っていたのに─── 「ご自身を大事にしない分、私が守ります」 「あなたは、すべて私のものです。 上書きが……必要ですね」 断罪回避のはずが、護衛騎士に執着されて逃げ道ゼロ!? 護られてるはずなのに、なんだか囚われている気がするのは気のせい? 警戒から始まる、甘く切なく、そしてどこまでも執着深い恋。 一生懸命な転生悪役と、独占欲モンスターな護衛騎士の、主従ラブストーリー!

気絶したと思ったら闇落ち神様にお持ち帰りされていた

ミクリ21 (新)
BL
闇落ち神様に攫われた主人公の話。

失恋したと思ってたのになぜか失恋相手にプロポーズされた

胡桃めめこ
BL
俺が片思いしていた幼なじみ、セオドアが結婚するらしい。 失恋には新しい恋で解決!有休をとってハッテン場に行ったエレンは、隣に座ったランスロットに酒を飲みながら事情を全て話していた。すると、エレンの片思い相手であり、失恋相手でもあるセオドアがやってきて……? 「俺たち付き合ってたないだろ」 「……本気で言ってるのか?」 不器用すぎてアプローチしても気づかれなかった攻め×叶わない恋を諦めようと他の男抱かれようとした受け ※受けが酔っ払ってるシーンではひらがな表記や子供のような発言をします

(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。

キノア9g
BL
※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。 気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。 木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。 色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。 ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。 捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。 彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。 少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──? 騎士×妖精

処理中です...