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第一章 出会い編(十歳)
8、落ちた悪役令息
大きなお邸の庭園に交流会の会場は作られていた。
色とりどりのお菓子が大きなテーブルいっぱいに所狭しと並んでいる。
その周りを取り囲むように子供達が集まっていて、お菓子を食べたりジュースを飲みながら楽しそうに笑っていた。
男の方が人口が多いらしいので、来ているのは男子がほとんどだが、ドレスを着た女子も少数だが参加していた。
その中に従姉妹のロティーナもいた。
今日は金色の髪をくるくるに丸めて、頭の上でお団子のようにして結んでいた。
「ロティ、久しぶりだな」
知り合いといえばロティーナしかいないので、会場に着いた俺は早速ロティーナの背中に声をかけた。
「あら、シリウス。来るって聞いていたけど、本当に来たのね」
くるっと一回転して、ロティーナはお気に入りなのか、得意げな顔でドレスを披露してきた。
可愛らしいピンクのドレスなので、ここは褒めてあげようかなと口を開こうとしたら、先にロティーナの方が大きな声を上げた。
「うっ……ええ!?」
「おいおい、ご令嬢がそんな大口開けていいのかよ」
「うるさいわね、シリウス。ちょっと、アスランのことよ! あれ、どうしたの!?」
アスランはまずは食べ物だと、皿を持って軽食コーナーで物色を始めていた。
俺はやっぱり驚いたなと思いながら、成長期なんだろうと言った。
「成長期って……、成長し過ぎじゃない! あの可愛らしくて、守ってあげたくなる細身の……、ええ? 嘘でしょう? なんであんなに逞しくなってるのよ! 顔は可愛いのに、ちょっとバランスが……」
「本人が鍛えたいって言うんだから、別にいいだろう。健康にもなったし、いいじゃないか」
「ま……まあ、いいけど、なんかショックだわ」
アスランは早速盛り付けた肉にかぶりついていた。以前は驚いていた光景だが、さすがにもう何とも思わなくなった。
ゲームの舞台にロティーナは出てこないので、このタイミングで失恋する設定だったのかなとふと思った。
いつもアスランを見ると飛びついていたのに、ロティーナは頭を手で押さえながら、静かにお茶を飲み始めた。
儚げな可愛さや美しさに魅了された者なら、確かに今の生気あふれる元気いっぱいのアスランに戸惑うしかないのだろうと思った。
その時、白い石造りの立派なお邸の中から、何人か子供が出てきて、周りのみんなの声が一斉に止んだ。
誰が出てきたのだろうと俺もそちらに視線を送った。
出てきたのは三人の男の子だった。
先頭を切って出てきたのは、目立つピンク色の髪をした男の子で、その後に黒髪の頭の良さそうな顔をした子と、アスランと同等の子供ながらに逞しい体をした男の子が続いた。
「きゃ、リカード様! 今日も素敵だわ。あの砂糖菓子のような髪に触れたいわぁ」
アスランのことはもう忘れたのか、ロティーナは胸に手をおいて頬を赤く染めうっとりと先頭の男の子を見つめていた。
リカード、ピンクの髪、そのワードを頭に思い浮かべたらピンとくるものがあった。
「もしかして……リカード・スレイマンか?」
「しっ、シリウス。なんで気軽に呼んでいるのよ! リカード様はこの交流会の主催者で、公爵家のご令息よ。今さら何を驚いているのよ」
そうだ。
俺はスレイマン邸で開かれると聞いていたが、すっかり頭から抜けていた。
特徴的なピンクの髪で、ゲームのセクシー担当、八方美人で誰からもモテモテの公爵家ご令息のリカードは登場キャラの一人だ。
ゲームには皇子のメインルート以外にも、他数名のキャラの個別ルートがある。
ただ、メインルートは恋愛ルートなのだが、他キャラは恋をほのめかす程度でハッピーエンドになるので、おまけみたいなものだろう。
リカードはその他ルート用のキャラだった。
「へぇ、リカード様か……、あの両隣にいるのは?」
ロティーナに尋ねると、ロティーナはそれも知らないの? と言ってきた。
どうやらあの三人は同世代の貴族の中ではスター的存在になっているらしい。
「右の黒髪の方が、侯爵家ご令息のニールソン・クィンシー様、左のオレンジ色の髪の方が、子爵家のご令息で、カノア・ジークフリード様よ」
「へぇそうなんだ……」
やはりそうだった。
幼い頃から友人同士だったという設定を読んだので覚えていた。
ニールソンもカノアも、ゲームの世界の登場キャラで、その他ルートが作られている主要キャラだった。
このタイミングでゲームの登場人物を見ることになるとはと一気に緊張が走った。
同世代の貴族の子供が集まるなら、当然そういうこともあるだろう。
すっかり失念していたので、バカだったと頭に手を当てた。
「三方ともすごく優秀なのよ。リカード様は素晴らしい家柄ですでに事業を手伝っているらしいわ。ニールソン様は皇宮の特別学術生に選ばれているし、カノア様は最年少で少年剣士大会で優勝したのよ」
ロティーナの情報量にも驚きだ。
三人がいかに素晴らしいかを聞いてもいないのにペラペラと喋り始めた。
みんなの憧れの人だというのは本当らしく、三人の周りにはあっという間に人が集まった。
ロティーナはそれを見て、こうしてはいられないと、慌ててドレスを掴んで輪の中に飛び込んで行ってしまった。
「やっぱり、ここはゲームの世界なんだな……」
そんなこと分かりきっていたが、最近俺は自分がシリウスだということに慣れてきていた。
前の世界で健だったことも忘れて、まるでずっとシリウスとして生きてきたみたいな感覚でいた。
もしかしたらこのまま、ゲームのシナリオなんかなくて、シリウスとして生きていけるかもしれない。
そんな淡い期待を抱いていたが、すべて儚い希望だということが三人を見たらよく分かってしまった。
メインルートで三人は皇子の信頼している友人という立ち位置だった。
三人ともアスランに出会うとすぐに好意を寄せる。
皇子との恋愛を選択しなければ、それぞれ個別ルートが開いて、おまけ程度のストーリーを見ることができるらしい。
悪役令息のシリウスは、三人と個別に絡むことはない。
断罪シーンでシリウスを取り囲む連中の中に三人がいるイラストが載っていたので、接点があるとすれば、最後の最後だ。
となれば別に警戒することなど何もない。
リカードは主催者なので挨拶くらいはするかもしれないが、向こうにとっては大勢いる参加者の一人なので記憶にも残らないだろう。
ただアスランだけは、目に留まるかもしれないなと思いながらアスランを探すと、相変わらずバクバクと料理を食べていて、周りの連中が不思議そうな顔で遠巻きに眺めていた。
話せる相手もいないし適当に庭でも散策させてもらおうかなと、俺は一人で散策用の小道に入ることにした。
こういった立派な家の庭には、自慢も兼ねて観賞用に歩いて回れるように道が作られている。
ブラッドフォード家にももちろん小規模だが用意されている。
草花の鑑賞なんてお子様は全然関心がないのだろう、小道に入ったら人はすっかりいなくなった。
散策用の道はぐるっと一周回って戻れるようになっているはずなので、適当に歩いていれば元の場所に戻れように造られているはずだ。
よその庭に入るなんて初めてなので、俺はちょっとドキドキしながら、公爵家自慢の庭を歩いてみることにした。
遠くで子供達のキラキラした笑い声が聞こえてくる中、俺はのんびり花を鑑賞して歩いていた。
庭いじりが趣味なわけではないが、虹色に光る花を見つけて、あまりの綺麗さに種がもらえないか後で頼んでみようかと思うほどだった。
ずいぶんと奥まで来たかなと思いながら進んでいくと、赤い粉のようなもので地面に丸い印が付けられた場所を発見した。
小道からは外れて少し庭園の中に入った場所にあった。
整理整頓された庭園には不釣り合いな印に、何だろうとどうしても気になって先に行けなくなってしまった。
しかもその印のすぐ先に、さっき気になった虹色に光る花があって、地面に種らしきものが落ちているのを発見してしまった。
少しだけ、何個か種を貰いたい。
自分の部屋の前に植えたら、窓を開けるとあの花が見えるなんて最高の暮らしに思えた。
小道からは外れて奥に入り、花の種を取ろうと手を伸ばした。
ちょうど赤い印の上辺りに足を乗せた瞬間、突然地面が崩れて何故か落下してしまった。
「くっっ……たっ………アタタ……なに? なんだ?」
気がついたら周りが泥で埋め尽くされていて、見上げると天井にぽっかり穴が空いていた。
「う、嘘、これ……落とし……穴?」
どうやら庭に掘られていた落とし穴に落ちてしまったらしい。お尻を強く打ったが、他に怪我はなさそうだった。
そこまで高くはなさそうなので、小動物を獲るためのものかもしれない。
あの赤い印はそういう訳だったのかと今さら気がついた。
大人なら立ち上がれば、穴から上半身が出そうだが、俺が立ち上がってもギリギリ手が届くかという高さだった。
「あっ、見てみろよ。狸用の罠に人が入ってるぞ」
「本当だ、子供? もしかして、参加者の子?」
「おい、大丈夫か? 手を伸ばせよ。引き上げてやるから」
声が聞こえてきて、俺はハッとして顔を上げた。
怒られるかもしれないが、こんなところにずっといたくはない。
早々に誰か来てくれたのだと安堵した。
逆光でよく見えなかったが、伸びてきた手に掴まったら、物凄い力で引っ張り上げられた。
地面の上まで出たら、他の手も伸びてきて引いてもらい完全に抜け出すことができた。
「大丈夫? 怪我はしていない?」
柔らかくて甘ったるい声がして顔を上げたら、飛び込んできた光景に驚いて声を上げそうになった。
そこには先ほど遠目に見た、ゲームの主要キャラである、リカードと、ニールソン、カノアの三人が俺を囲むように座っていた。
もしかしたらマズイ状況のような気がして、冷たい汗がたらりと背中を流れていった。
□□□
色とりどりのお菓子が大きなテーブルいっぱいに所狭しと並んでいる。
その周りを取り囲むように子供達が集まっていて、お菓子を食べたりジュースを飲みながら楽しそうに笑っていた。
男の方が人口が多いらしいので、来ているのは男子がほとんどだが、ドレスを着た女子も少数だが参加していた。
その中に従姉妹のロティーナもいた。
今日は金色の髪をくるくるに丸めて、頭の上でお団子のようにして結んでいた。
「ロティ、久しぶりだな」
知り合いといえばロティーナしかいないので、会場に着いた俺は早速ロティーナの背中に声をかけた。
「あら、シリウス。来るって聞いていたけど、本当に来たのね」
くるっと一回転して、ロティーナはお気に入りなのか、得意げな顔でドレスを披露してきた。
可愛らしいピンクのドレスなので、ここは褒めてあげようかなと口を開こうとしたら、先にロティーナの方が大きな声を上げた。
「うっ……ええ!?」
「おいおい、ご令嬢がそんな大口開けていいのかよ」
「うるさいわね、シリウス。ちょっと、アスランのことよ! あれ、どうしたの!?」
アスランはまずは食べ物だと、皿を持って軽食コーナーで物色を始めていた。
俺はやっぱり驚いたなと思いながら、成長期なんだろうと言った。
「成長期って……、成長し過ぎじゃない! あの可愛らしくて、守ってあげたくなる細身の……、ええ? 嘘でしょう? なんであんなに逞しくなってるのよ! 顔は可愛いのに、ちょっとバランスが……」
「本人が鍛えたいって言うんだから、別にいいだろう。健康にもなったし、いいじゃないか」
「ま……まあ、いいけど、なんかショックだわ」
アスランは早速盛り付けた肉にかぶりついていた。以前は驚いていた光景だが、さすがにもう何とも思わなくなった。
ゲームの舞台にロティーナは出てこないので、このタイミングで失恋する設定だったのかなとふと思った。
いつもアスランを見ると飛びついていたのに、ロティーナは頭を手で押さえながら、静かにお茶を飲み始めた。
儚げな可愛さや美しさに魅了された者なら、確かに今の生気あふれる元気いっぱいのアスランに戸惑うしかないのだろうと思った。
その時、白い石造りの立派なお邸の中から、何人か子供が出てきて、周りのみんなの声が一斉に止んだ。
誰が出てきたのだろうと俺もそちらに視線を送った。
出てきたのは三人の男の子だった。
先頭を切って出てきたのは、目立つピンク色の髪をした男の子で、その後に黒髪の頭の良さそうな顔をした子と、アスランと同等の子供ながらに逞しい体をした男の子が続いた。
「きゃ、リカード様! 今日も素敵だわ。あの砂糖菓子のような髪に触れたいわぁ」
アスランのことはもう忘れたのか、ロティーナは胸に手をおいて頬を赤く染めうっとりと先頭の男の子を見つめていた。
リカード、ピンクの髪、そのワードを頭に思い浮かべたらピンとくるものがあった。
「もしかして……リカード・スレイマンか?」
「しっ、シリウス。なんで気軽に呼んでいるのよ! リカード様はこの交流会の主催者で、公爵家のご令息よ。今さら何を驚いているのよ」
そうだ。
俺はスレイマン邸で開かれると聞いていたが、すっかり頭から抜けていた。
特徴的なピンクの髪で、ゲームのセクシー担当、八方美人で誰からもモテモテの公爵家ご令息のリカードは登場キャラの一人だ。
ゲームには皇子のメインルート以外にも、他数名のキャラの個別ルートがある。
ただ、メインルートは恋愛ルートなのだが、他キャラは恋をほのめかす程度でハッピーエンドになるので、おまけみたいなものだろう。
リカードはその他ルート用のキャラだった。
「へぇ、リカード様か……、あの両隣にいるのは?」
ロティーナに尋ねると、ロティーナはそれも知らないの? と言ってきた。
どうやらあの三人は同世代の貴族の中ではスター的存在になっているらしい。
「右の黒髪の方が、侯爵家ご令息のニールソン・クィンシー様、左のオレンジ色の髪の方が、子爵家のご令息で、カノア・ジークフリード様よ」
「へぇそうなんだ……」
やはりそうだった。
幼い頃から友人同士だったという設定を読んだので覚えていた。
ニールソンもカノアも、ゲームの世界の登場キャラで、その他ルートが作られている主要キャラだった。
このタイミングでゲームの登場人物を見ることになるとはと一気に緊張が走った。
同世代の貴族の子供が集まるなら、当然そういうこともあるだろう。
すっかり失念していたので、バカだったと頭に手を当てた。
「三方ともすごく優秀なのよ。リカード様は素晴らしい家柄ですでに事業を手伝っているらしいわ。ニールソン様は皇宮の特別学術生に選ばれているし、カノア様は最年少で少年剣士大会で優勝したのよ」
ロティーナの情報量にも驚きだ。
三人がいかに素晴らしいかを聞いてもいないのにペラペラと喋り始めた。
みんなの憧れの人だというのは本当らしく、三人の周りにはあっという間に人が集まった。
ロティーナはそれを見て、こうしてはいられないと、慌ててドレスを掴んで輪の中に飛び込んで行ってしまった。
「やっぱり、ここはゲームの世界なんだな……」
そんなこと分かりきっていたが、最近俺は自分がシリウスだということに慣れてきていた。
前の世界で健だったことも忘れて、まるでずっとシリウスとして生きてきたみたいな感覚でいた。
もしかしたらこのまま、ゲームのシナリオなんかなくて、シリウスとして生きていけるかもしれない。
そんな淡い期待を抱いていたが、すべて儚い希望だということが三人を見たらよく分かってしまった。
メインルートで三人は皇子の信頼している友人という立ち位置だった。
三人ともアスランに出会うとすぐに好意を寄せる。
皇子との恋愛を選択しなければ、それぞれ個別ルートが開いて、おまけ程度のストーリーを見ることができるらしい。
悪役令息のシリウスは、三人と個別に絡むことはない。
断罪シーンでシリウスを取り囲む連中の中に三人がいるイラストが載っていたので、接点があるとすれば、最後の最後だ。
となれば別に警戒することなど何もない。
リカードは主催者なので挨拶くらいはするかもしれないが、向こうにとっては大勢いる参加者の一人なので記憶にも残らないだろう。
ただアスランだけは、目に留まるかもしれないなと思いながらアスランを探すと、相変わらずバクバクと料理を食べていて、周りの連中が不思議そうな顔で遠巻きに眺めていた。
話せる相手もいないし適当に庭でも散策させてもらおうかなと、俺は一人で散策用の小道に入ることにした。
こういった立派な家の庭には、自慢も兼ねて観賞用に歩いて回れるように道が作られている。
ブラッドフォード家にももちろん小規模だが用意されている。
草花の鑑賞なんてお子様は全然関心がないのだろう、小道に入ったら人はすっかりいなくなった。
散策用の道はぐるっと一周回って戻れるようになっているはずなので、適当に歩いていれば元の場所に戻れように造られているはずだ。
よその庭に入るなんて初めてなので、俺はちょっとドキドキしながら、公爵家自慢の庭を歩いてみることにした。
遠くで子供達のキラキラした笑い声が聞こえてくる中、俺はのんびり花を鑑賞して歩いていた。
庭いじりが趣味なわけではないが、虹色に光る花を見つけて、あまりの綺麗さに種がもらえないか後で頼んでみようかと思うほどだった。
ずいぶんと奥まで来たかなと思いながら進んでいくと、赤い粉のようなもので地面に丸い印が付けられた場所を発見した。
小道からは外れて少し庭園の中に入った場所にあった。
整理整頓された庭園には不釣り合いな印に、何だろうとどうしても気になって先に行けなくなってしまった。
しかもその印のすぐ先に、さっき気になった虹色に光る花があって、地面に種らしきものが落ちているのを発見してしまった。
少しだけ、何個か種を貰いたい。
自分の部屋の前に植えたら、窓を開けるとあの花が見えるなんて最高の暮らしに思えた。
小道からは外れて奥に入り、花の種を取ろうと手を伸ばした。
ちょうど赤い印の上辺りに足を乗せた瞬間、突然地面が崩れて何故か落下してしまった。
「くっっ……たっ………アタタ……なに? なんだ?」
気がついたら周りが泥で埋め尽くされていて、見上げると天井にぽっかり穴が空いていた。
「う、嘘、これ……落とし……穴?」
どうやら庭に掘られていた落とし穴に落ちてしまったらしい。お尻を強く打ったが、他に怪我はなさそうだった。
そこまで高くはなさそうなので、小動物を獲るためのものかもしれない。
あの赤い印はそういう訳だったのかと今さら気がついた。
大人なら立ち上がれば、穴から上半身が出そうだが、俺が立ち上がってもギリギリ手が届くかという高さだった。
「あっ、見てみろよ。狸用の罠に人が入ってるぞ」
「本当だ、子供? もしかして、参加者の子?」
「おい、大丈夫か? 手を伸ばせよ。引き上げてやるから」
声が聞こえてきて、俺はハッとして顔を上げた。
怒られるかもしれないが、こんなところにずっといたくはない。
早々に誰か来てくれたのだと安堵した。
逆光でよく見えなかったが、伸びてきた手に掴まったら、物凄い力で引っ張り上げられた。
地面の上まで出たら、他の手も伸びてきて引いてもらい完全に抜け出すことができた。
「大丈夫? 怪我はしていない?」
柔らかくて甘ったるい声がして顔を上げたら、飛び込んできた光景に驚いて声を上げそうになった。
そこには先ほど遠目に見た、ゲームの主要キャラである、リカードと、ニールソン、カノアの三人が俺を囲むように座っていた。
もしかしたらマズイ状況のような気がして、冷たい汗がたらりと背中を流れていった。
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