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第三章 入学編(十八歳)
5、レディの置土産
「ずいぶんと遅い帰宅だね、シリウス。遊びに行くって手紙があったけど、ロティーナと一緒だったんだ……いくらなんでも、遅すぎるんじゃない?」
アスランが聞いたこともないような低い声を出して、燃えるような目で俺を見てきたので、体がビクッとして足が固まってしまった。
「ええと…あの、その……」
「アスランー久しぶり。ごめんね、シリウス借りちゃった。楽しくて遅くなっちゃったの。いいでしょうたまには」
「出かけるのはいいけど、誰も付けずにこんなに遅くなるなんて心配するよ」
「……ごめん」
父親は先週から仕事で地方へ行っているので、目立たないようにそっと帰れば大丈夫だと思っていた。
まさか、アスランがこんなに心配しているなんて考えていなかった。
ロティーナの後ろに隠れるように立っていたら、ツカツカ歩いてきたアスランは俺の手を掴んでぐっと引き寄せた。
「……んっ、変な匂い……。もしかしてシガー? どこにいたの?」
「カジノよ。別にいいでしょ、みんな十五になったら普通に遊びに行くところよ」
「ロティーナ、お願いだからシリウスを変なところへ連れまわさないでよ」
「違うんだ、アスラン! これはその……俺が興味があって、ロティーナに頼んだんだ」
ふーんと言いながら、アスランはロティーナの格好と俺の格好をじっと見てきた。
「……シリウスの服、全然似合ってない」
ムッとした顔になったアスランに、ロティーナがそっと近づいてにっこりと笑った。
「ねぇ、アスラン。シリウスだって、いつまでも子供じゃないのよ。あっ、そうだ。シリウスのお尻って柔らかくて、気持ちいいのね」
ロティーナが意味ありげに耳を寄せて囁いた言葉に、俺は飛び上がったし、アスランはさっきの怒りが再熱して瞳が火のように燃え上がった。
「やだ、お尻触ったの、私じゃないわよ。触った男がそう言ってたから。それじゃまた、元気でね」
ロティーナはとんでもない爆弾を落として、ニヤッと笑ってから馬車の中に戻ってしまった。
ガラガラと音を立ててロティーナの乗った馬車が去っていくのを俺は魂が抜けたような気持ちで見送った。
「シリウス、来て」
怖くて、振り返ることができない。アスランに怒られると思ったら、胸がキュッとして痛くなってしまった。
「動けないなら抱っこだよ」
「え……うわっ!」
アスランの得意な抱っこで、ひょいっと持ち上げられてしまった。
体が大きくて逞しいアスランは俺のことなんて簡単に持ち上げてしまう。
もたもたしていることの多い俺は、その度にアスランに軽く運ばれていた。
「それで? シリウスのお尻を触ったヤツの名前を教えてもらおうかな」
「え……なっ、なんで?」
「もちろん、決闘を申し込んで両腕ともバッサリと……」
「だぁーーーー! だめだめそんなの! その、しっ……知らない人で、ちょっと手が当たっただけだから……」
「本当に? 柔らかいとかどうとか言ってたけど?」
「ううぅ……それはっ……」
いつもよりやけに鋭い返しに、頭が追いついてこない。
俺が揉め事を起こすのはいいが、アスランが問題児みたいになってはまた話が違ってしまう。
ぐるぐる回る思考は、ここは素直に謝るしかないと結論付けた。
「心配かけてごめん。ちょっとした好奇心で夜遊びに行ってみたくて……。でも、もう懲りたよ。二度としないから……」
「約束して。もう、シリウスは時々、とんでもないことをするから、心臓がいくつあっても足りない」
アスランは息を乱すことなく、二階の俺の部屋までそのまま運んでくれた。
もう遅いので湯には入らずに、寝てしまおうとしたら、アスランは自分の部屋には戻らなかった。
「あれ、アスラン、今日もここで寝るのか?」
「うん。シリウス、早く、寝転んで」
アスランが俺のベッドに潜り込むのはよくあることなので、俺はアクセサリーだけ外して、何も考えずにごろんと横になった。
もう何だか色々あって早く寝たかったが、アスランは俺の服を脱がし始めた。
「明日でいいって……も、眠いから……」
「このシャツ、ロティーナに貰ったやつだ。透けてるし、悪趣味だって言ったのに、まさかこれ着るとはね。捨てておけばよかった」
「んっ……アスラン、い……いって……」
「それで? カジノに行って、知らない男にお尻を触られて? どうやって逃げたの?」
「ロティ……が、助けて……れた」
「へぇ、少しは役に立つんだね。てもだめ、ロティーナとはしばらく遊ばないように。悪いことばかり教えるんだから……」
昔は他人には冷たいところが目立ったアスランだが、年を経て揉まれたのか、今は周囲とそれなりに上手くやっている。
だが、時々こうやって二人きりになると、俺以外の人間に対しては、たとえ幼馴染であってもひどく冷たい考えを披露することがある。
そんな時、俺だけ特別だという気持ちになって、少し嬉しくなってしまう自分に気がついていた。
今だってロティーナのことを冷たく言い放つアスランに、勝手な優越感に浸ってしまい、最低だなと心の奥で笑った。
俺は寝たまま、アスランに寝巻きの服に着替えさせられた。
結局迷惑ばかりかけている。何もできない自分に腹が立って悲しくなってしまった。
「アスラン……ごめんな。俺……何やっても、上手くできな……」
アスランは失敗ばかりの俺に、こんなにも優しくしてくれる。
俺がしっかりしないばかりに全然上手くいかなくて、ゲームの中みたいにアスランが幸せなエンドを迎えられないかもしれない。
今日失敗してしまったことの数々に、胸が痛くなって気持ちはすっかり弱くなってしまった。
ほろりと涙が溢れていくのを感じた。
俺の横に寝転んできたアスランは、すっぽりと包み込むように俺を抱きしめてくれた。
いつの間にかすっかり大きくなったアスラン。
しっかりとした力を感じると、揺れていた気持ちが楽になっていくような気がした。
頬にざらりとした感触があって目を開けると、アスランが舌を出していて、俺の頬をペロリと舐めてきた。
「しょっぱい」
「ばっ……涙を、舐めたのか!?」
「だって、もったいないし。すごく綺麗だから」
そんな理由で舐めるものなのかと思っていたら、俺の戸惑いなんて気にせずに、アスランはどんどん俺の顔を舐めたきた。
まるで犬か猫に舐められているみたいで、驚きを通り越して、くすぐったくなってきてしまった。
「ははっ、も、いいって。止まったから、本当、びっくりするから、やめろって」
やめろと言ってもやめないのでアスランの口を手で押さえたら、アスランは今度は俺の指をペロペロと舐めてきた。
「ばっ……なんだよっ、指なんて、変なところ舐めて」
「どう? どんな気持ち?」
「どんな気持ちって……、くすぐったい……」
俺の手を掴んだアスランは、大きく舌を出してベロンと俺の指を舐めた後、ちゅうっと吸って指を口の中に入れてしまった。
「やめっ、なにすんだって」
「嫌でたまらない? ロティーナみたいな胸の大きな女の子にされた方が嬉しい?」
何を聞いてくるんだと頭が混乱してしまった。
驚いたが、嫌かと言われたら嫌な気持ちはしなかった。
同じことをロティーナにされたらと想像したら、ぶるっと震えて怖いという気持ちになった。
「何だよそれっ、ロティとは……こんなこと……」
「じゃあ、俺ならいいの? こんな風に舌を使って、シリウスのお口の中を舐めたい。してもいい?」
「えっ……」
なんてことを言われたのか、信じられなくて頭が一瞬真っ白になった。
さっきみたいにアスランの長い舌がぐるぐると動いて俺の口を……
想像したら真っ赤になって、心臓がドクドクと激しく動き出した。
アスランが何をしたいのか、さすがに俺でも分かる。
過去にあった、しばらくのお別れの時のキスではない。
それ以上のもっと大人のキスをしたいと言っているのだろう。
「不安なんだ……俺……」
様々な感情が渦巻いて俺の中でぐちゃぐちゃになっていたが、その言葉で水をかけられたみたいに視界がクリアになった。
そうか、アスランは初めてのことに不安なんだ。
剣術一筋で今まで生きてきた男だ。
いわゆる思春期の性的なことは、体を動かすことで発散してきたのかもしれない。
こうやって学生として落ち着いて生活を送るようになって、有り余る性欲に戸惑っているのではないかと悟った。
ゲームの展開として、オズワルドに惹かれてはいるが、あまりに何も知らなすぎる自分が不安、ということなのではないだろうか。
「アスランは、その……こういうことは、初めて……なのか?」
「あっ……当たり前だろ! シリウスとしかキスしたことない」
やはりそうだ、何をやっても規格外にできてしまうアスランだが、慣れていなければ、確かに不安にもなるだろうなと考えてしまった。
ならば、さっさとオズワルドとくっ付いてしまえば解決する話だが、これがまた色々とイベントを乗り越えないと二人の愛は深まらない設定なのだ。
心配なのは不安が高まって、教えてくれるなら誰でも構わないと色々な人に手を出してしまうことだ。
もしそんなことになったら、オズワルドとの恋どころの話ではなくなってしまう。
薄幸の美人から、バキバキの剣豪になってしまった弊害がここにも出てきてしまった。
きっとゲーム内のアスランは、それなりに経験済みという設定だったに違いない。
「……知りたい、のか? 大人のキス」
こうなったら仕方ないという思いと、それにしては沸き立つような気持ちと、やけにうるさい心臓の音が俺を支配していた。
「え……シリウス。それって……」
他のやつなんてどんな噂を立てられるか分からない。
それなら、俺だったら、何もなかったように口を閉ざすことができる。
「いいよ……」
俺なら、アスランのために……
俺じゃなきゃ……
目をつぶって震える唇をアスランの方へ近づけたら、すぐに柔らかくて温かいものが重なってきた。
ああ、これだ。
あの、一度だけ軽く触れたキス。
忘れようと思っても、忘れることが出来なかった。
懐かしい温もりだったが、その時とは違う、身を焦がすような熱が自分の中に生まれたのを感じた。
□□□
アスランが聞いたこともないような低い声を出して、燃えるような目で俺を見てきたので、体がビクッとして足が固まってしまった。
「ええと…あの、その……」
「アスランー久しぶり。ごめんね、シリウス借りちゃった。楽しくて遅くなっちゃったの。いいでしょうたまには」
「出かけるのはいいけど、誰も付けずにこんなに遅くなるなんて心配するよ」
「……ごめん」
父親は先週から仕事で地方へ行っているので、目立たないようにそっと帰れば大丈夫だと思っていた。
まさか、アスランがこんなに心配しているなんて考えていなかった。
ロティーナの後ろに隠れるように立っていたら、ツカツカ歩いてきたアスランは俺の手を掴んでぐっと引き寄せた。
「……んっ、変な匂い……。もしかしてシガー? どこにいたの?」
「カジノよ。別にいいでしょ、みんな十五になったら普通に遊びに行くところよ」
「ロティーナ、お願いだからシリウスを変なところへ連れまわさないでよ」
「違うんだ、アスラン! これはその……俺が興味があって、ロティーナに頼んだんだ」
ふーんと言いながら、アスランはロティーナの格好と俺の格好をじっと見てきた。
「……シリウスの服、全然似合ってない」
ムッとした顔になったアスランに、ロティーナがそっと近づいてにっこりと笑った。
「ねぇ、アスラン。シリウスだって、いつまでも子供じゃないのよ。あっ、そうだ。シリウスのお尻って柔らかくて、気持ちいいのね」
ロティーナが意味ありげに耳を寄せて囁いた言葉に、俺は飛び上がったし、アスランはさっきの怒りが再熱して瞳が火のように燃え上がった。
「やだ、お尻触ったの、私じゃないわよ。触った男がそう言ってたから。それじゃまた、元気でね」
ロティーナはとんでもない爆弾を落として、ニヤッと笑ってから馬車の中に戻ってしまった。
ガラガラと音を立ててロティーナの乗った馬車が去っていくのを俺は魂が抜けたような気持ちで見送った。
「シリウス、来て」
怖くて、振り返ることができない。アスランに怒られると思ったら、胸がキュッとして痛くなってしまった。
「動けないなら抱っこだよ」
「え……うわっ!」
アスランの得意な抱っこで、ひょいっと持ち上げられてしまった。
体が大きくて逞しいアスランは俺のことなんて簡単に持ち上げてしまう。
もたもたしていることの多い俺は、その度にアスランに軽く運ばれていた。
「それで? シリウスのお尻を触ったヤツの名前を教えてもらおうかな」
「え……なっ、なんで?」
「もちろん、決闘を申し込んで両腕ともバッサリと……」
「だぁーーーー! だめだめそんなの! その、しっ……知らない人で、ちょっと手が当たっただけだから……」
「本当に? 柔らかいとかどうとか言ってたけど?」
「ううぅ……それはっ……」
いつもよりやけに鋭い返しに、頭が追いついてこない。
俺が揉め事を起こすのはいいが、アスランが問題児みたいになってはまた話が違ってしまう。
ぐるぐる回る思考は、ここは素直に謝るしかないと結論付けた。
「心配かけてごめん。ちょっとした好奇心で夜遊びに行ってみたくて……。でも、もう懲りたよ。二度としないから……」
「約束して。もう、シリウスは時々、とんでもないことをするから、心臓がいくつあっても足りない」
アスランは息を乱すことなく、二階の俺の部屋までそのまま運んでくれた。
もう遅いので湯には入らずに、寝てしまおうとしたら、アスランは自分の部屋には戻らなかった。
「あれ、アスラン、今日もここで寝るのか?」
「うん。シリウス、早く、寝転んで」
アスランが俺のベッドに潜り込むのはよくあることなので、俺はアクセサリーだけ外して、何も考えずにごろんと横になった。
もう何だか色々あって早く寝たかったが、アスランは俺の服を脱がし始めた。
「明日でいいって……も、眠いから……」
「このシャツ、ロティーナに貰ったやつだ。透けてるし、悪趣味だって言ったのに、まさかこれ着るとはね。捨てておけばよかった」
「んっ……アスラン、い……いって……」
「それで? カジノに行って、知らない男にお尻を触られて? どうやって逃げたの?」
「ロティ……が、助けて……れた」
「へぇ、少しは役に立つんだね。てもだめ、ロティーナとはしばらく遊ばないように。悪いことばかり教えるんだから……」
昔は他人には冷たいところが目立ったアスランだが、年を経て揉まれたのか、今は周囲とそれなりに上手くやっている。
だが、時々こうやって二人きりになると、俺以外の人間に対しては、たとえ幼馴染であってもひどく冷たい考えを披露することがある。
そんな時、俺だけ特別だという気持ちになって、少し嬉しくなってしまう自分に気がついていた。
今だってロティーナのことを冷たく言い放つアスランに、勝手な優越感に浸ってしまい、最低だなと心の奥で笑った。
俺は寝たまま、アスランに寝巻きの服に着替えさせられた。
結局迷惑ばかりかけている。何もできない自分に腹が立って悲しくなってしまった。
「アスラン……ごめんな。俺……何やっても、上手くできな……」
アスランは失敗ばかりの俺に、こんなにも優しくしてくれる。
俺がしっかりしないばかりに全然上手くいかなくて、ゲームの中みたいにアスランが幸せなエンドを迎えられないかもしれない。
今日失敗してしまったことの数々に、胸が痛くなって気持ちはすっかり弱くなってしまった。
ほろりと涙が溢れていくのを感じた。
俺の横に寝転んできたアスランは、すっぽりと包み込むように俺を抱きしめてくれた。
いつの間にかすっかり大きくなったアスラン。
しっかりとした力を感じると、揺れていた気持ちが楽になっていくような気がした。
頬にざらりとした感触があって目を開けると、アスランが舌を出していて、俺の頬をペロリと舐めてきた。
「しょっぱい」
「ばっ……涙を、舐めたのか!?」
「だって、もったいないし。すごく綺麗だから」
そんな理由で舐めるものなのかと思っていたら、俺の戸惑いなんて気にせずに、アスランはどんどん俺の顔を舐めたきた。
まるで犬か猫に舐められているみたいで、驚きを通り越して、くすぐったくなってきてしまった。
「ははっ、も、いいって。止まったから、本当、びっくりするから、やめろって」
やめろと言ってもやめないのでアスランの口を手で押さえたら、アスランは今度は俺の指をペロペロと舐めてきた。
「ばっ……なんだよっ、指なんて、変なところ舐めて」
「どう? どんな気持ち?」
「どんな気持ちって……、くすぐったい……」
俺の手を掴んだアスランは、大きく舌を出してベロンと俺の指を舐めた後、ちゅうっと吸って指を口の中に入れてしまった。
「やめっ、なにすんだって」
「嫌でたまらない? ロティーナみたいな胸の大きな女の子にされた方が嬉しい?」
何を聞いてくるんだと頭が混乱してしまった。
驚いたが、嫌かと言われたら嫌な気持ちはしなかった。
同じことをロティーナにされたらと想像したら、ぶるっと震えて怖いという気持ちになった。
「何だよそれっ、ロティとは……こんなこと……」
「じゃあ、俺ならいいの? こんな風に舌を使って、シリウスのお口の中を舐めたい。してもいい?」
「えっ……」
なんてことを言われたのか、信じられなくて頭が一瞬真っ白になった。
さっきみたいにアスランの長い舌がぐるぐると動いて俺の口を……
想像したら真っ赤になって、心臓がドクドクと激しく動き出した。
アスランが何をしたいのか、さすがに俺でも分かる。
過去にあった、しばらくのお別れの時のキスではない。
それ以上のもっと大人のキスをしたいと言っているのだろう。
「不安なんだ……俺……」
様々な感情が渦巻いて俺の中でぐちゃぐちゃになっていたが、その言葉で水をかけられたみたいに視界がクリアになった。
そうか、アスランは初めてのことに不安なんだ。
剣術一筋で今まで生きてきた男だ。
いわゆる思春期の性的なことは、体を動かすことで発散してきたのかもしれない。
こうやって学生として落ち着いて生活を送るようになって、有り余る性欲に戸惑っているのではないかと悟った。
ゲームの展開として、オズワルドに惹かれてはいるが、あまりに何も知らなすぎる自分が不安、ということなのではないだろうか。
「アスランは、その……こういうことは、初めて……なのか?」
「あっ……当たり前だろ! シリウスとしかキスしたことない」
やはりそうだ、何をやっても規格外にできてしまうアスランだが、慣れていなければ、確かに不安にもなるだろうなと考えてしまった。
ならば、さっさとオズワルドとくっ付いてしまえば解決する話だが、これがまた色々とイベントを乗り越えないと二人の愛は深まらない設定なのだ。
心配なのは不安が高まって、教えてくれるなら誰でも構わないと色々な人に手を出してしまうことだ。
もしそんなことになったら、オズワルドとの恋どころの話ではなくなってしまう。
薄幸の美人から、バキバキの剣豪になってしまった弊害がここにも出てきてしまった。
きっとゲーム内のアスランは、それなりに経験済みという設定だったに違いない。
「……知りたい、のか? 大人のキス」
こうなったら仕方ないという思いと、それにしては沸き立つような気持ちと、やけにうるさい心臓の音が俺を支配していた。
「え……シリウス。それって……」
他のやつなんてどんな噂を立てられるか分からない。
それなら、俺だったら、何もなかったように口を閉ざすことができる。
「いいよ……」
俺なら、アスランのために……
俺じゃなきゃ……
目をつぶって震える唇をアスランの方へ近づけたら、すぐに柔らかくて温かいものが重なってきた。
ああ、これだ。
あの、一度だけ軽く触れたキス。
忘れようと思っても、忘れることが出来なかった。
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