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第一章 ライゼール領
1-3a. 夜会
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「ねぇ、シルフィス。夜会とか、たまには一緒にどうかな? わからないことは、私が教えてあげる。ずっと、私の傍にいていいよ」
「まあ、羨ましいわ♪ でも素敵! 行きましょうよ、シルフィス。ゼルダ様に贈って頂いたドレスで着飾るの、アデリが、髪を結ってあげますね。アデリ、上手なのよ、ゼルダ様の髪もアデリが結うんだもん♪」
アデリシアはヴァン・ガーディナと趣味が合うのか、ゼルダが髪をジゼルに結い上げたのを見て以来、やたら、それにしたがった。ゼルダとしては、これだけが、ちょっと気に入らない。
ライゼールに移って夜会巡りをするようになってから、アデリシアは自分がモテまくること、ゼルダがどこの貴公子と比べても、抜群に魅力的だと知ったことで、それは、ご機嫌が麗しい。白い結婚の捉え方も変わってきていた。
ゼルダが夜会の度、アデリシアをこよなく褒めて私の正妃ですと紹介してくれるので、アデリシアはもう、白い結婚に不安を覚えてはいない。
白い結婚は本当に彼女のためで、ゼルダの方からこの結婚をなかったことにする気はないのだと、夜会で紹介される度、アデリシアは安心したし、初対面の殿方に告白される度、ときめいて嬉しくて有頂天になった。
侯爵令嬢としての自信がついて、余裕の出て来たアデリシアは、シルフィスにもますます優しくなって、夜会が大好きなカレンの気持ちが、よくわかるようになった。
若い身空で既にゼルダに縛られているシルフィスが、いつもおとなしく二人の帰りを待っていて、笑顔で迎えてくれることにも、アデリシアは胸打たれるのだ。
シルフィスの健気さと慎ましさたるや、ゼルダが可愛がるのも無理からぬもので、アデリシアは腕いっぱいに抱えた、ゼルダならぬ殿方からの花束だの贈り物だの恋文だのが後ろめたかったりして。
それでも「ゼルダ様がアデリを抱いてくれないのがいけないんですよ?」と彼女自身に言い訳して、ほくほくと恋文を読むのがアデリシアのお楽しみだ。
嬉しい恋文を贈られると、ゼルダにはさすがに話しにくいので、アデリシアは侍女よりもシルフィスに話しに行ったりした。
シルフィスは口が堅そうだったし、嫌な顔をしないし、何を話しても困ったことにならなかったので、アデリシアは段々とシルフィスが好きになって、ゼルダが側室を何人迎えても、きっと、後宮が楽しくて賑やかな居場所になるだけだと思った。
こんなに優しくて綺麗なシルフィスがいても、アデリシアをないがしろにしないゼルダのことだ。どんなに綺麗なコを迎えても、アデリシアのことも正妃として、きっと、大切にしてくれるに違いない。
だから、初めて夜会に誘われて、途惑うシルフィスをゼルダが強引に引っ張り込もうとするのも、アデリシアは微笑ましい気持ちで応援したのだ。
そうすると、ゼルダが魅惑的なウィンクで応えてくれたりしたので、アデリシアはますます張り切った。
ゼルダと一緒にシルフィスをずりずり、夜会まで引き摺ってでも連れて行こうと、シルフィスにも楽しいことを教えてあげようと、元気いっぱいに朗らかなアデリシアなのだった。
「まあ、羨ましいわ♪ でも素敵! 行きましょうよ、シルフィス。ゼルダ様に贈って頂いたドレスで着飾るの、アデリが、髪を結ってあげますね。アデリ、上手なのよ、ゼルダ様の髪もアデリが結うんだもん♪」
アデリシアはヴァン・ガーディナと趣味が合うのか、ゼルダが髪をジゼルに結い上げたのを見て以来、やたら、それにしたがった。ゼルダとしては、これだけが、ちょっと気に入らない。
ライゼールに移って夜会巡りをするようになってから、アデリシアは自分がモテまくること、ゼルダがどこの貴公子と比べても、抜群に魅力的だと知ったことで、それは、ご機嫌が麗しい。白い結婚の捉え方も変わってきていた。
ゼルダが夜会の度、アデリシアをこよなく褒めて私の正妃ですと紹介してくれるので、アデリシアはもう、白い結婚に不安を覚えてはいない。
白い結婚は本当に彼女のためで、ゼルダの方からこの結婚をなかったことにする気はないのだと、夜会で紹介される度、アデリシアは安心したし、初対面の殿方に告白される度、ときめいて嬉しくて有頂天になった。
侯爵令嬢としての自信がついて、余裕の出て来たアデリシアは、シルフィスにもますます優しくなって、夜会が大好きなカレンの気持ちが、よくわかるようになった。
若い身空で既にゼルダに縛られているシルフィスが、いつもおとなしく二人の帰りを待っていて、笑顔で迎えてくれることにも、アデリシアは胸打たれるのだ。
シルフィスの健気さと慎ましさたるや、ゼルダが可愛がるのも無理からぬもので、アデリシアは腕いっぱいに抱えた、ゼルダならぬ殿方からの花束だの贈り物だの恋文だのが後ろめたかったりして。
それでも「ゼルダ様がアデリを抱いてくれないのがいけないんですよ?」と彼女自身に言い訳して、ほくほくと恋文を読むのがアデリシアのお楽しみだ。
嬉しい恋文を贈られると、ゼルダにはさすがに話しにくいので、アデリシアは侍女よりもシルフィスに話しに行ったりした。
シルフィスは口が堅そうだったし、嫌な顔をしないし、何を話しても困ったことにならなかったので、アデリシアは段々とシルフィスが好きになって、ゼルダが側室を何人迎えても、きっと、後宮が楽しくて賑やかな居場所になるだけだと思った。
こんなに優しくて綺麗なシルフィスがいても、アデリシアをないがしろにしないゼルダのことだ。どんなに綺麗なコを迎えても、アデリシアのことも正妃として、きっと、大切にしてくれるに違いない。
だから、初めて夜会に誘われて、途惑うシルフィスをゼルダが強引に引っ張り込もうとするのも、アデリシアは微笑ましい気持ちで応援したのだ。
そうすると、ゼルダが魅惑的なウィンクで応えてくれたりしたので、アデリシアはますます張り切った。
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