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第四節 有償で絵師様を募集してみよう
のぶ様編 ~1枚の挿絵が仕上がるまでに~
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◆ 悪役令嬢と十三霊の神々「第28話 サイファ ~嵐の夜~」
挿絵編の手始めに、こちらの挿絵が仕上がるまでの大冒険をお話しましょう。
この作品の1枚目の挿絵となりますが、実は、先に表紙を描いて頂きました。
表紙や挿絵の依頼ではあるあるなんですが、1枚目というのは往々にして、残念なことになりがちです。
(え? この表紙が残念とか何言ってんのって? のぶ様の実力こんなもんじゃないんです。リラックスして描いたらスゴイ神絵を描ける神絵師様なんです)
気心も知れない、はじめましてのお客様に満足して頂ける作品を!
悪役令嬢の挿絵をお願いしたのぶ様は、緊張して、リキんでしまうタイプでした。
表紙はまったく、のぶ様らしくなかったのです。
ギャラリーに神絵が並んでいますから、上手な絵師様であることはわかっています。
さて、どうやって、リラックスしてもらったものか。
いつも通りに描けば、素晴らしい挿絵を描けるはずなんだけど、見知らぬお客様を相手にいつも通りに自由にのびのび、これは、なかなか難しいミッションです。
よし、決めた。
趣味に走ってもいいから、1枚目はのぶ様が描きたいシーンを、肩慣らしに描いてもらおう!
どこのシーンを描きたいか、自由に選んで頂きました。
そして、ラフチェック。
ユリシーズを描きたいとのことで、『第64話 隻眼の魔女は闇の皇子が恋しくてならない』の挿絵かと思いきや。
初登場シーンきました!
うわ、難しいシーンを!
嵐の中を逃げてきたユリシーズ、ずぶ濡れ。
フルカラーでずぶ濡れの表現ってどうやるの!?
自分では絶対に描かない、もとい、描けないシーンが選ばれてビックリ。
描けるの!? 描けてしまうのですか!?
ていうか、え、これジャイロ?
ゴリラに見えねぇ。リテイクその1。
「すみません、ジャイロ、ゴリラでお願いします」
これ、作り話じゃないからね。
大真面目な修正依頼です!
「ジャイアンではない小学生のゴリラってどんな感じなのでしょうか」
途惑うのぶ様。
ネットからテキトーに、私のイメージのゴリラなお子様の絵を拾ってきて「こんな感じで。将来は銀魂の近藤さんになれそうな感じでお願いします」
あ、衣装の季節感、間違ってる。リテイクその2。
「すみません、夏の夕暮れ、直前まで自宅で夕飯をつくっていた闇落ち前のユリシーズが漆黒のドレスはNGなので、軽めのサマードレスでお願いします。ジャイロの家はお父さんが将校さんで裕福なので、ジャイロも、そこそこいい服でお願いします。色は――」
このページでは、まだ語られない家庭の事情まで出てきて、やたらコトこまかな修正を依頼する――
依頼人にもいろいろなタイプがいると思うのですが、私は、かなり面倒な依頼人に違いありません。
だからこそ、怒涛の修正依頼に耐えた絵師様は皆様、神絵を仕上げて下さるのです。
人気作家だった頃には、「れいさんばっかり神絵を描いてもらえてずるい」などと妬まれることも多かったのですが、一発でイメージ通りの絵を描ける神絵師様ばかりが私のもとにつどうなんて、そんな奇跡、あるわけがないです。
私が『悪役令嬢と十三霊の神々』の挿絵に本採用した絵師様もまた、お二方とも、SKIMAでの採用実績はまだなかったレギュラーランク。
他の人だって注文できたのに、神絵師を選ぶ目が皆さんないんです。
1枚目の失敗にこりて、絵師様を選んだ自分の目を信じられず、絵師様の才能を信じてどんまいと声をかけることができず、依頼を継続する道を選べない依頼人ばかりなんです。
自分で描かない人ほど、最初の1枚、イメージ違いで1万円金ドブに耐えられない。
自分でも描く人ならわかるよね、自分で描いてさえ、最初の1枚なんて時間ドブ。
なんか違う、なんか違う、こだわっていると話が先に進まない。
1枚目と10枚目のクオリティが同じなわけないんだから、表紙には最終的に2万円かけるつもりで依頼するのです。
最初の1枚と最後の1枚。
最初の1枚は間に合わせ。お互いの姿勢の探り合いとでも言いましょうか。
脱線しました。
そんなわけで、テイク2。
「ユリシーズのサマードレス、ワンピースでお願いします(上下の色を統一して下さい)」
まだまだ、テイク3。
「ユリシーズのサマードレス、やっぱり青でお願いします」
「ジャイロの手首が細すぎるので、もう少し太く」
「それと、ちょっと画面が暗すぎるので、家の中は明かりがあるので、照り返しお願いします」
さらに、テイク4。
「ユリシーズの衣装の濡れ方、白の時の方がよかったな…」
もうこれ、ぶち切れないのぶ様すごいと思いませんか。
ファンアート1000円なのに、挿絵5000円なのはこういうわけなんですが、5倍の依頼料でも私の作品の挿絵なんて、やりたくないよね。
やっぱりってなんだよ、やっぱりって。
青がいいなら最初から青でお願いしろよ。
絵師様も人間ならば、依頼人も人間でして。
あっちにフラフラ、こっちにフラフラ、冒険の初期には、まだ、息が合っていませんから、頼りないのです。
テイク5。
「うわぁああ、なんてことしてくれてるんですか、NG! NG! ぱんつ透けちゃ駄目!」
テイク6
「ジャイロもユリシーズも肌色透けなくていいんで! スカートは安物でも透けないように裏地ついてますよ!」
のぶ様「裏地Σ( ゚Д゚)」
濡れた表現で肌色を透かすなどという高等技術をお持ちののぶ様。
だがスカートには裏地がついていることを忘れているのぶ様。
テイク7でようやく完成! 見て下さい、この神がかった仕上がりを!
素晴らしいです、さすが、私が見込んだ神絵師様✨
大迫力で、ユリシーズの表情とかすごく印象的です! のぶ様ありがとう✨✨
たった1枚の挿絵を仕上げるのに、テイク7とかプロの人達からしたら狂気の沙汰です。割に合わないにも程があります。
これが、趣味で書いたり描いたりしているアマチュアの世界。
冒険は、本気で遊んでこそ面白いのです。
絵師様が本気なら依頼人も本気。
おたがいの本気をぶつけあう、真剣な遊び。
言葉選びは慎重に。
リテイクは絵師様のモチベを低下させますので、依頼人は言葉で勝負する者としての誇りをもって、絶妙なタイミングで、気の利いた誉め言葉や激励を入れるように心掛けましょう。
言うはやすし。
実際のトコ、そんなの理想論で、思うように、こちらの感謝や応援の気持ちを伝えるのは難しいけど。
心掛けないよりは、成功率が上がります! 格段に!(`・ω・)9
挿絵編の手始めに、こちらの挿絵が仕上がるまでの大冒険をお話しましょう。
この作品の1枚目の挿絵となりますが、実は、先に表紙を描いて頂きました。
表紙や挿絵の依頼ではあるあるなんですが、1枚目というのは往々にして、残念なことになりがちです。
(え? この表紙が残念とか何言ってんのって? のぶ様の実力こんなもんじゃないんです。リラックスして描いたらスゴイ神絵を描ける神絵師様なんです)
気心も知れない、はじめましてのお客様に満足して頂ける作品を!
悪役令嬢の挿絵をお願いしたのぶ様は、緊張して、リキんでしまうタイプでした。
表紙はまったく、のぶ様らしくなかったのです。
ギャラリーに神絵が並んでいますから、上手な絵師様であることはわかっています。
さて、どうやって、リラックスしてもらったものか。
いつも通りに描けば、素晴らしい挿絵を描けるはずなんだけど、見知らぬお客様を相手にいつも通りに自由にのびのび、これは、なかなか難しいミッションです。
よし、決めた。
趣味に走ってもいいから、1枚目はのぶ様が描きたいシーンを、肩慣らしに描いてもらおう!
どこのシーンを描きたいか、自由に選んで頂きました。
そして、ラフチェック。
ユリシーズを描きたいとのことで、『第64話 隻眼の魔女は闇の皇子が恋しくてならない』の挿絵かと思いきや。
初登場シーンきました!
うわ、難しいシーンを!
嵐の中を逃げてきたユリシーズ、ずぶ濡れ。
フルカラーでずぶ濡れの表現ってどうやるの!?
自分では絶対に描かない、もとい、描けないシーンが選ばれてビックリ。
描けるの!? 描けてしまうのですか!?
ていうか、え、これジャイロ?
ゴリラに見えねぇ。リテイクその1。
「すみません、ジャイロ、ゴリラでお願いします」
これ、作り話じゃないからね。
大真面目な修正依頼です!
「ジャイアンではない小学生のゴリラってどんな感じなのでしょうか」
途惑うのぶ様。
ネットからテキトーに、私のイメージのゴリラなお子様の絵を拾ってきて「こんな感じで。将来は銀魂の近藤さんになれそうな感じでお願いします」
あ、衣装の季節感、間違ってる。リテイクその2。
「すみません、夏の夕暮れ、直前まで自宅で夕飯をつくっていた闇落ち前のユリシーズが漆黒のドレスはNGなので、軽めのサマードレスでお願いします。ジャイロの家はお父さんが将校さんで裕福なので、ジャイロも、そこそこいい服でお願いします。色は――」
このページでは、まだ語られない家庭の事情まで出てきて、やたらコトこまかな修正を依頼する――
依頼人にもいろいろなタイプがいると思うのですが、私は、かなり面倒な依頼人に違いありません。
だからこそ、怒涛の修正依頼に耐えた絵師様は皆様、神絵を仕上げて下さるのです。
人気作家だった頃には、「れいさんばっかり神絵を描いてもらえてずるい」などと妬まれることも多かったのですが、一発でイメージ通りの絵を描ける神絵師様ばかりが私のもとにつどうなんて、そんな奇跡、あるわけがないです。
私が『悪役令嬢と十三霊の神々』の挿絵に本採用した絵師様もまた、お二方とも、SKIMAでの採用実績はまだなかったレギュラーランク。
他の人だって注文できたのに、神絵師を選ぶ目が皆さんないんです。
1枚目の失敗にこりて、絵師様を選んだ自分の目を信じられず、絵師様の才能を信じてどんまいと声をかけることができず、依頼を継続する道を選べない依頼人ばかりなんです。
自分で描かない人ほど、最初の1枚、イメージ違いで1万円金ドブに耐えられない。
自分でも描く人ならわかるよね、自分で描いてさえ、最初の1枚なんて時間ドブ。
なんか違う、なんか違う、こだわっていると話が先に進まない。
1枚目と10枚目のクオリティが同じなわけないんだから、表紙には最終的に2万円かけるつもりで依頼するのです。
最初の1枚と最後の1枚。
最初の1枚は間に合わせ。お互いの姿勢の探り合いとでも言いましょうか。
脱線しました。
そんなわけで、テイク2。
「ユリシーズのサマードレス、ワンピースでお願いします(上下の色を統一して下さい)」
まだまだ、テイク3。
「ユリシーズのサマードレス、やっぱり青でお願いします」
「ジャイロの手首が細すぎるので、もう少し太く」
「それと、ちょっと画面が暗すぎるので、家の中は明かりがあるので、照り返しお願いします」
さらに、テイク4。
「ユリシーズの衣装の濡れ方、白の時の方がよかったな…」
もうこれ、ぶち切れないのぶ様すごいと思いませんか。
ファンアート1000円なのに、挿絵5000円なのはこういうわけなんですが、5倍の依頼料でも私の作品の挿絵なんて、やりたくないよね。
やっぱりってなんだよ、やっぱりって。
青がいいなら最初から青でお願いしろよ。
絵師様も人間ならば、依頼人も人間でして。
あっちにフラフラ、こっちにフラフラ、冒険の初期には、まだ、息が合っていませんから、頼りないのです。
テイク5。
「うわぁああ、なんてことしてくれてるんですか、NG! NG! ぱんつ透けちゃ駄目!」
テイク6
「ジャイロもユリシーズも肌色透けなくていいんで! スカートは安物でも透けないように裏地ついてますよ!」
のぶ様「裏地Σ( ゚Д゚)」
濡れた表現で肌色を透かすなどという高等技術をお持ちののぶ様。
だがスカートには裏地がついていることを忘れているのぶ様。
テイク7でようやく完成! 見て下さい、この神がかった仕上がりを!
素晴らしいです、さすが、私が見込んだ神絵師様✨
大迫力で、ユリシーズの表情とかすごく印象的です! のぶ様ありがとう✨✨
たった1枚の挿絵を仕上げるのに、テイク7とかプロの人達からしたら狂気の沙汰です。割に合わないにも程があります。
これが、趣味で書いたり描いたりしているアマチュアの世界。
冒険は、本気で遊んでこそ面白いのです。
絵師様が本気なら依頼人も本気。
おたがいの本気をぶつけあう、真剣な遊び。
言葉選びは慎重に。
リテイクは絵師様のモチベを低下させますので、依頼人は言葉で勝負する者としての誇りをもって、絶妙なタイミングで、気の利いた誉め言葉や激励を入れるように心掛けましょう。
言うはやすし。
実際のトコ、そんなの理想論で、思うように、こちらの感謝や応援の気持ちを伝えるのは難しいけど。
心掛けないよりは、成功率が上がります! 格段に!(`・ω・)9
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