勇者「その武器重くねぇの？」

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魔物「ｷﾞｬｷﾞｬ……ｹﾞｷﾞｬｷﾞｬｷﾞｬ！」

村人「ひ、ひいっ！魔物だ！」

氷女王「ちぃ……」

魔物「ｷﾞｬｷﾞｬｷﾞｬｷﾞｨ！」ﾊﾞｯ

魔法使い「はっ！」

魔物「ｷﾞｷﾞｯ！？」

魔法使い「さっきまで大人しかったのに、なんなんだよもう！」

僧侶「……戦う？」

氷女王（やはり……こうなってしまうか）


勇者「お前が弱くなったのがバレた感じか？」

氷女王「そうであろうな……」

氷女王「低級の魔物は基本的に破壊衝動の塊、こうなるのは必然よ」

勇者「てことはやっぱお前が抑えてたわけな」

氷女王「……わらわは知性の欠片も感じぬ争いが好かんだけじゃ」

魔物「ｸﾞｹﾞｹﾞｹﾞｹﾞ！」ｶﾞｷﾞﾝ　ｺﾞｷﾞﾝ

魔法使い「ええぃやぁ！」ｽﾞｶﾞﾝ

僧侶「……はっ！」ｻﾞｼｭ

魔物「ｸﾞｷﾞｬｷﾞｬｷﾞｬｷﾞｬ！」ﾌﾞｩﾝ

僧侶「……キリが、ない」

魔法使い「弱ったなぁ、こんなところでボクの魔法使うわけにも……」

僧侶「……まずい」

魔物「ｸﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞ」ｷｭｲｰﾝ

魔法使い「多重詠唱……」


氷女王「おい、勇者よ」

勇者「……お前に掛けた呪文を解けって？」

氷女王「察しがよくて助かるぞ」

氷女王「あの娘、凄まじい魔力を秘めておるようじゃが……それで町はどうなるかのう」

勇者「……しかたねぇ、か」

氷女王「……！」


氷女王「きさまらっ！やめんかぁ！」

魔物「ｹﾞ……ｷﾞｬ、ｷﾞｬ？………ｷﾞｬ」

魔法使い「す、すごい……氷に強い雪山の魔物が氷漬けに……」

僧侶「……さむ」

氷女王「ふん……下衆どもが」

勇者「お前、本当は人間の味方なんじゃないか？」

氷女王「……わらわは、わらわの生きたいように生きておるだけじゃ」


村長「……氷の女王が、村を守ったというのか……？」

村人Ａ「ど、どういうことなんだ……」

村人Ｂ「まさか、本当に害は……？」

ざわ　ざわ

氷女王「……ふん、別に貴様らを助けたわけではない。勘違いをするでないぞ」

勇者（素直じゃねーのな）


氷女王「さて、と……」

勇者「おーおー、怖い顔」

魔法使い「むむっ……」

僧侶「……じぃ」

氷女王「……はぁ……もうよい」

氷女王「付いて行ってやろうではないか、貴様の旅とやらに」

氷女王「これ以上無駄な徒労もうたくさんじゃ」

勇者「おお、本当か！」


魔法使い「でもさ、さっきの様子見る感じ。あなたが離れたら魔物たちがまた暴れちゃうんじゃないの？」

氷女王「ふむ……それもそうじゃな」

氷女王「ではこれをこうして……こうじゃ」ﾊﾟｷﾝｯ

勇者「これは……」

魔法使い「氷の、像？」

氷女王「さっき釘を挿しておいたからの。わらわの魔力を込めたこれがあれば大人しくしとるじゃろう」

僧侶「……ほんとに、大丈夫？」

氷女王「お前らが思っておるほど低級魔物は賢くない。力に従順なだけじゃ」


氷女王（しかしわらわが人間と旅、か……）

氷女王（不思議な人間がいたもんじゃな……クク）

勇者「あー……しかし、今回はマジで生きた心地がしなかったぜ」

魔法使い「本当だよ……何があったのか全部話してもらうからね！」

勇者「分かった分かった。お前らが何してたのかも話してくれよ？」

僧侶「……」ｺｸｺｸ

勇者「さて、今日はもう遅いし出発は明日にするか」



宿主「い、いらっしゃ、いませ、え……」

勇者「めちゃくちゃ警戒されてるな、こりゃ」

氷女王「まぁ、当然と言えば当然であろう……」

魔法使い「今まで恐れてた人が急にいい人って言われても、ねぇ」

僧侶「……仕方ない」

氷女王「別に気にしとらんし、構わん」

勇者「じゃ、4人でお願いします」


魔法使い「さて……それじゃ早速」

僧侶「……お風呂」

氷女王「お風呂……？」

勇者「なんだ、風呂を知らないのか？」

氷女王「聞いたこともないし見たこともないな」

魔法使い「だったら入ってみなよ！気持ちいいよ」

氷女王「ほう、そこまで言うのなら試してみるかのう」



魔法使い「……んしょ」ﾊﾟｻ

僧侶「……ん」ﾇｷﾞﾇｷﾞ

氷女王「む、風呂とは服を脱いで入るものなのか」ﾊﾞｻｯ

魔法使い（うおお、これは……僧侶ちゃんよりもあるかも？）

僧侶（……大きい）

氷女王「なんじゃ、わらわの顔に何か付いておるか？」

魔法使い「……別に」

僧侶「……別に」


氷女王「な、なんじゃこれは！」

魔法使い「え？なにって……お風呂？」

僧侶「……あ」

氷女王「おぬしら、頭がおかしいのか！？わらわの能力を見なかったのか！」

魔法使い「あー……そういえばそうだっけ」

氷女王「あぅ……熱気が……あ、あつい……」ｸﾗｸﾗ

魔法使い「あ……そっちは……」　

僧侶「……湯船」



ｻﾞﾊﾟｰﾝ



氷幼女「はうあうあー……」ﾌﾟｶｰ

魔法使い「……えーと」

僧侶「……」ゆさゆさ

魔法使い「ちっちゃく、なっちゃった？」

僧侶「……そう、みたい」

魔法使い（なーんだ、あの胸は氷で出来てたのか、ははは……）

魔法使い「……」

魔法使い「じゃなくて！」