童話のような魔法は無いけれど

ハナミツキ

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「あの子が悪いわけじゃないけど……息子と娘ってのはやっぱり違うわね」

 採寸のためにくるくると回されている私の事を見ながら、リウム様が感慨深そうに呟く。

「おこがましいかもしれないけれど、本当の親のように思ってくれていいのよ」

「……」

 リウム様に私の家庭事情を話してなどはいないのだが、様子を見て何か察してくれたのかもしれない。
 優しく微笑むリウム様の姿が、幼い頃に見たお母様の姿と重なって思わず涙があふれてきた。

「……あ、これは、その、すいま、せん」

 私が謝りながら涙をぬぐおうとするその前に、リウム様の指がそっと私の目尻に触れる。

「採寸はもう十分かい?」

「はい……」

「ばっちり……」

「完了しております……」

 三人メイドからの返答を聞くや否や、リウム様はすっと立ち上がり、

「……わっ」

 私の事をぎゅっと抱きしめた。

「私にしてあげられることは、このくらいしかないけれど」

 久しぶりに直で触れたぬくもりに、感情はどんどん高まっていくばかりで。
 気付けば私は我慢するのも忘れて、ひたすらに涙を流していた。

「……すいません」

「こういうときはね、謝らなくていいんだよ」

「……ありがとう、ございます」

 くしゃくしゃになっている顔を誤魔化すようにはにかんでみせると、それを見たリウム様が満足げに笑う。

「では……」

「仕上げに……」

「入ります……」

 それからまたくるくると回されたかと思うと化粧が施されていき、あっという間に衣装が変わっていった。

(……これが、私?)

 自分の事をそのように形容するのはなんだか気恥ずかしいが、姿形だけを見ればまるで絵本の中からそのまま引っ張り出されたような見た目になっている。

「うん、やはり私の見立てに間違いはなかったな」

「ぴったり……」

「ばっちり……」

「完璧です……」

「う、美しい……」

 それぞれが漏らす感嘆の声に、一つ気になる声が混じっていたので振り返ると、いつのまにいたのか音もなくドアを開けてこちらを見ていたユウリ様と目が合った。

「……ハッ」

 私に見つめられていることに気付き、思わず声が出るほどにはっと気を取り直したユウリ様が、そのまま真っ直ぐにこちらへと向かってくる。

「……似合って、いますか?」

 今までの私ならば絶対に有り得ないことだが、鏡に映る自分の姿に知らぬうちに感化されていたようで。
 絵本で見たことのある姿の見よう見まねで、スカートの端を指先でひっぱりあげながらぎこちなくポーズなどをとってみた。
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