ありふれた異能バトル~リレー式~

やすいケンタウロス

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正体不明No.3

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 野球部陣営はショッピングモール内でバラけて食糧調達をしていた。

「おい、叢雨。ニンニクがあるぜ?それにあっちにはウナギが……。色々揃えてあるなぁ!!」

「何が言いたい?嵐山。まぁ永久に女のできないお前の人生にそういう食材は必要ないかもな……。」

 ボッカァァァン!!

 軽口を叩いていた2人の耳に突然爆発音が飛び込む。

「おいっ、さっきの音満達の方じゃないか!?行ってみるぞ!!」

「豊島さんを名前呼びとは……。 ボソッ(リア充爆発しろっ)」

「なんか言ったか?」




 ー豊島サイドー

「ダメっすレール様~。女、2匹とも息してないっす~。」

 No.12 大木 直哉
 ー爆音ロードー
 走る音全てが爆音に変わる。
 ↓
 ー爆音ロードー
 足からあらゆる種類の爆音を自在に出せる
 *右足のみ


「だからお前はやり過ぎなんだよ……。蹴りだけで人殺すってどういう事だよ?」

 早川すばる

「いや~やっぱり耳のすぐ横での大音量は相当効くみたいっすね~。皆ぶっ倒れやがんの。そっからはまぁ、ね?俺安全靴履いてるし……。」

「レール様、どうやらこいつらは6人のグループみたいネ。残る4人は全員上位ランカーアル!」

 No.16 練 白
 ー頭脳調査官ー
 相手の頭の良さが数値で分かる
 ↓
 ー頭脳調査官ー
 人の頭部に触れると記憶を抜き出して知る事が出来る
 *1人1つの事柄のみ

「おぉ、なら少しは期待できるなぁ?さっさと4人とも捉えて堂之内のところに持ってくぞ……。上位ランカーなら仲間になってくれるかもなぁ~。」

 その後4人は抵抗も虚しく簡単に捉えられ、レール陣営の本拠地へと連れて行かれたのだった。

 ◇

 喫茶店に来て最初の夜、もうゲームも4日目、僕は暖かい布団入ってうとうとしながらこれからの事を考えていた。
 どうやら僕はあのがたいのいい3位のオジサン"篠宮さん"と同じ食料を調達する仕事を任されるらしい。
 忙しくなりそうだ。今日はもう寝よう。


「ぐっ!あっな…んで…」

 息苦しさに目を冷ます、何でか解らないけど僕は自分で僕の首を絞めていた。
 誰かからの襲撃?解らない…だめだ…意識が…








 誰もいない深夜の喫茶店のカウンター、一人の男が優雅に珈琲を啜っていた。
 突然店の奥の戸が開き、老婆が現れる
「やっぱりあんたかい…まあ薄々こんなことになるんじゃないかと思ってたけどね」

「あららららら、そういえばそうでした、あなたの能力であなたを殺せるなんて上手くいかなくても当然でしたね」

「ふん!あたしを殺さなくても3000ポイント集まるだろうに、ひどい男だね、四条…」

 独り珈琲を啜る男の名は四条、現在2050ポイント所持

「ぼくは用心深いので…にしてもトメさん、貴女も共犯みたいなものでしょう、あんな条件を許すなんて…」

「…あたしも老いたんだろうねぇ、20年此処で安全に暮らすなんておおぼら信じちまった。おかげで若い命を散らしちまった」

「ふふふ、後悔はできましたか?それではそろそろお別れと行きましょうか」

 四条は懐からナイフを取り出す。当然ながら今井に勝ち目は無い。しかし今井は全く動じていなかった。

「あたしも馬鹿だったけど、あんたも大概だね…」

「何を言って?がはっ!」

 勝利を確信し油断しきっていた四条の腹に重い衝撃が走る。

「あなたは…"牧園さん"何故あなたが生きて?」

「某から一つ言わせて貰おう…」

「?」

「Meは最初からこのbarにいたわ…そして残念ですがさようならでござる四条殿」

 "牧園"は四条からナイフを奪いその胸に突き刺した。









 満月の照らす喫茶店の屋上、”私”とトメおばあちゃんはそこで話していた、いや説得しようとしていた。

「ねえ、おばあちゃん。一緒に町から出ようよ、私頑張ってポイント集めるからさ」

「あんた、また人を殺す気かい?」

「そ、そんなこと無いよ!気絶とか…手段はいろいろ…」

 とは言ってみるが、正直怖い、というかなぜ”私”みたいなのが3位なのだろうか

「はぁ…あんたが優しい子なのは知ってる。みんなを裏切って殺した四条を悲しむくらいにね…それにあたしは四条と同罪さ、どうせ老い先短いんだ。この町で暮らすさ」

「でも…」

「でももへちまもあるかい!!!あんたはこの町から出なきゃ誰にも分かってもらえないんだよ!あたしと契約できたのが奇跡みたいなもんさ」

「おばあちゃんがいるもん!」

「あぁもう泣くんじゃあない。きれいな顔が台無しじゃないか」

 おばあちゃんと一緒にいられなくなるのは嫌だ、おばあちゃん以外”私”を”私”としてみてくれない、独りは怖い…

「うぅ…ぐすっ…うぇ…」

「…千歳ちゃん、老い先短いババアからのお願いだ…あんたみたいな優しい娘はこんな町にいちゃいけない…もうポイントは貯まったんだ、すぐに町をでるんだ。」

「おばあちゃ…おいて…ぐすっ…いけないよぉ…ひぐっ」

「ばあちゃんはね、若い者にぐちゃぐちゃ言われるのが嫌いなんだ、でもそれ以上に嫌いなことがあってね…何かわかるかい?」

「えぅ…わかんない…」

「それはね若い者の足を引っ張る事だよ。」

「…別に…迷惑じゃない…」

 嘘だ、心は否定しても、理性はおばあちゃんを見捨てたほうが生き残れるってわかってる。それを自覚すると、途端に”私”の心は冷えてきてしまった。冷たくて凍るようで痛い…

「あんたにとってはそうでもね、ばあちゃんにとっては迷惑かけてるんだ、そうそういい子、涙引っ込んだね、冷静になれたかい?あたしなんて気にかけてたら死んじまうよ」

「でも千歳ちゃんは寂しがり屋だからね…」

「?」

 おばあちゃんは自分の髪から漆塗りの釵を引き抜いて、”私”の長い髪を器用に纏め釵でとめた。

「ほうら、もっと美人になった。ばあちゃんはあんたをいつも見てるからね、どうかこれで我慢して行っておくれよ、じゃないと今度はばあちゃんが泣いちまうよ」

「おばあちゃん…」

「笑っておくれ、あんたの笑顔がばあちゃんは大好きさ」

「…うん!」

「うん、いい笑顔だ!ほらお行き!さっさと家に帰るんだ!気を付けるんだよ!」

「おばあちゃん…行ってきます!」

 きっと、おばあちゃんは帰れない、もしかしたら親切な人に助けてもらえるかもしれないというのに、”私”は薄情にもそんな確信があった。
 私は笑顔でおばあちゃんにさよならした。
 涙はさっきおばあちゃんが全部受け止めてくれた。
 短い間だし、誰一人”私”を見つけられなかったけど、雲架ちゃん、遠藤くん、喜島くん、夢露さん、そして四条さんも…みんなの思い出はここにある、おばあちゃんも釵にいる、寂しくなんかないよ…さびしくなんか…

「うう…うわぁーーん!!!」






「本当いい娘だねぇ…私達もあんな娘がいたら良かったのに、ねぇじいさん、あたしも今そっちに行くよ」

 喫茶店の屋上で、満月が一人の老婆の亡骸を明るく照らしていた。まるで天国へ導くように…

 ―契約―
 対象・漆の釵
 ・釵を着けている者が死ぬ時、代わりに砕け、全回復させる。
 ・釵は能力が発動するまてで装備者から離れない
 代償・『契約』能力者の全ポイントと命


 No.3 佐伯 千歳
 ―夢幻夢現―
 自身のランキングの順位以外の情報(容姿、言動、能力、etc.)が全て誤って認識される、スマホの情報すらも。また誤って伝わった情報は常に変化し続ける。

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