ありふれた異能バトル~リレー式~

やすいケンタウロス

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後藤

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-5日目、午前1時45分-


「よし、住宅街で爆発を確認した」

「じゃあ、晴美ちゃん、3時になったら魔法陣で呼んでね」

「はい、お気をつけて…」

「大丈夫、マコトは私が守るよ」

 高層ビルの屋上、ここでハルミたちとは少しの間お別れだ。
 私たちは無差別に殺人を犯す後藤を殺すため、行動を開始する。
 正直怖いが、後藤自体の身体能力は70位、大したものじゃない、それに私の仕事は戦うことではない。
 近接戦闘行為はすべてマコトが行うことになっている…足を引っ張らないようにしないと…

「それじゃ、葵ちゃん、龍臣ちゃん、健太ちゃん、援護は頼んだわよ、ガンガン撃ってきていいからね」

 それに、今回限りだが、力を貸してくれる仲間もいる。

「おう、後藤本体をたたくのは任せるぜ」

 千里眼での偵察などを担当する、小鳥遊

「安心して、貴方ごと仕留める気で撃つ」

 放っておいたら墜ちていきそうなどこか危ない雰囲気の鷹遠

「え、えっと頑張ります!」

 たまたまビルの屋上にいた田中

 ~今日の田中~
 No.72ー自由落下ー

 鷹遠と同じ能力らしいので、二人には援護射撃をやってもらうことになってる。

「作戦はさっき言った通りよ、アタシと冥慈ちゃんが直接後藤を叩きに行くから、葵ちゃんと健太ちゃんは援護射撃、龍臣ちゃんは二人の狙撃の補佐と…万が一、アタシたちが危ないときに晴美ちゃんに呼んでもらうこと、いいわね」

 小鳥遊以外が頷く

「なあ、後藤の分身がこっちに来たらどうするんだ?こいつらは遠距離でしか真価を発揮できねえし、俺と久保はサポーターだ、いくら70位相手でもやられるぜ」

「それについては問題ないわ、ビルの入り口はアタシが封鎖したし、それに葵ちゃんをなめちゃだめよ、やると決めたオンナのコは強いんだから」



「…いい風ね」



「…本当に大丈夫なのか?」

「だいじょうぶよぉ、ねえ健太ちゃん、晴美ちゃん」

「が、頑張ります」

「もう私は信じるしかないので、皆さん頑張ってくださいね」

 そんなこんなで話し込んでたらもう1時55分、そろそろ私の能力が発動する。

「マコト、そろそろ時間だよ」

「あら、もうそんな時間かしら、冥慈ちゃん、覚悟はいい?」

「もちろんだよ、マコトと一緒ならどこへでもついていくさ、私はマコトを信頼してるからね」

「あら、うれしいわね、そんなこと言っても炒飯くらいしかでないわよぉ」

「マコトのチャーハンはおいしいからね、また作ってよ、終わったらみんなで食べよう、朝ごはんくらいは一緒にとれるだろう?」

「おいそれ死亡フラグ…」

「龍臣ちゃん、冥慈ちゃんの真心からの言葉に何てこと言うの。大丈夫よ、アタシがすべて守り切るわ」

「なんか阿武隈さんが言うと安心感がありますよね」

「ありがと健太ちゃん、さて、行ってくるわね」

「行ってくるよ」

 私はマコトの背に抱き着いた。







「あれで2位って、1位はどんな化け物なんだろうなぁ…」

 俺たちは20階を超える超高層ビルからなんの躊躇いもなく飛び降りた阿武隈を見つめていた。

「阿武隈さんですからね…とってもいい人なんですけど」

 久保は乾いた笑みで答える、そういやこいつはもう2日あいつらと一緒にいたのか…安全だが苦労しそうだな。

「小鳥遊さん、そろそろです」

「おうわかってらあ、あと2分で阿武隈がターゲットの集まってる住宅街に到着する、そういう田中、お前は大丈夫か?お前、たまたまここにいて巻き込まれただけだろ」

「大丈夫です、それに後藤を倒せれば僕にもポイントをもらえるんでしょう?ならやる気も十分です」

「小鳥遊、時間よ方向は?」

 おっと、遅れないようにしねえと、阿武隈は何も気にせんだろうが月夜見の目が怖い

「ここより5時の方向誤差左右上下5度、球はたっぷりある、殲滅戦開始だ」

「はい」

「わかった」

 阿武隈の用意した砲丸投げの砲丸が恐ろしい数飛んでいく、ビルの屋上の3割を占めるこの球は全部阿武隈が運んだものだが…

「正直やりすぎじゃねえか?」







 =住宅街=

 俺は謎の爆発を確認し、分身どもと一緒に住宅街へ来ていた。

「しかしどこにもいやがらねえ、どこにいる」

 爆発したってことは何かしらの戦闘がここであったはずなんだが、爆発は遠くからでも確認できるほどだった、直接的な攻撃としては最高のパーツだ。是非とも確保したい

「ん?」

 分身の一人がやられたな、やっと来たか、ククククク







「ぐあああ!!!」

「おい、数で囲んで叩け!敵は一人だ!」

 草木も眠る丑三つ時、住宅街では同じ声の断末魔が何度も続くという不可思議な現象が発生していた!
 大地に群れるは下種の極み後藤、その一方月夜に照らされ軽々と空を舞う大きな影が一つ!
 影はいったい何者だ!鳥か?飛行機か?いずれも違う!そう影の正体は!

「ほらほらほらほらぁ!どうしたの!オトコのコが情けない!」

 阿武隈だぁ!!!!

「おい、もっと分身を集めてこい!」

「もう本体も含めて全部ここ周辺ににきてるんだよ!」

「あんまり集まりすぎると、こいつにやられるだけだ!」

 地を這う後藤の群れを蹂躙していく阿武隈!その背には小さな少女が乗っている!

「マコト、私は役に立ててるのかな?」

「あら、冥慈ちゃん、貴女のおかげでアタシ大助かりよ。だって久しぶりだもの、背中を誰かに預けて戦うなんて!」

「そっか…えへへ///」

「それよりも大丈夫?こんな状況気絶してもおかしくないわよ、もしもの時は晴美ちゃんに冥慈ちゃんを呼んでもらうつもりだったんだけど」

「大丈夫さ、私にはマコトがいるからね///」

「あらあら、頼りにされちゃったわね、アタシがんばっちゃうわよ!」

 蹂躙!踏破!縦横無尽!後藤の群れを鎧袖一触で倒していく阿武隈であったが如何せん数が多い!
 数で押されてしまうのか阿武隈!

「それに、冥慈ちゃんがいてくれてよかったって本当に思うのは今からね」

 しかし!阿武隈には仲間がいる!
 増え続ける後藤の群れ!そこに無慈悲な鋼鉄の流星が飛来する!

「がっ!」
「ごっ!」
「あばふっ!」

「ほらね♪」

「うん、私がいてよかったね」

「本当にありがとう冥慈ちゃん♪」

「礼には及ばないさ///」

 次々とミンチになっていく後藤!なすすべなく散っていく後藤の分身!このまま、後藤殲滅なるか!?

「ちっやっぱ分身ごときじゃ上位ランカーは相手にならねえか…」

 現れるは後藤本体!しかし阿武隈!まだそれに気づかない!

「こいつで終わりだっ。」

 右手人差し指・No.78
 ー毒キノコガス弾ー

 ああ!数多の参加者を屠ってきた猛毒の爆弾が炸裂する!このとき後藤がガス弾に込めた血液はなんと1L!自身の分身ごと屠る最悪の手!後藤、まさに外道!
 辺りが紫色の煙に包まれる!

「ふんっ、これでシメーだろ…」

 勝利を確信し口元を歪ませる後藤!しかし次の瞬間!その顔は驚愕に染まる!
 突如煙の中から飛び出てくる筋肉!

「アタシは海女さんやってたこともあるのよ!」

「マコトが前に進んでくれる限り私には何も届かないよ!」

 阿武隈だぁ!なんと阿武隈、海女だった経験を活かし、100m以上ある距離を無呼吸で突破した!

「チィッ、いいぜ!戦いを楽しもうじゃあねえか!」

 左二の腕・No.51
 ーザ・バズーカー

 後藤の腕から大砲が放たれる!しかし阿武隈はそれを何事もなかったかのように腕で弾き飛ばす!

「ん~、葵ちゃんと健太ちゃんの弾のほうがまだ早いわね」

「化け物かよ!」

 左手(指除く)・No.43
 ー衝撃波インパクト
 衝撃波を打つ事ができる。距離が離れるほど威力が落ちる

 接近する阿武隈に、後藤は衝撃波を放ち距離を取った!さすがの阿武隈でも見えない攻撃を防ぐことはできない!

「痛いわね!冥慈ちゃんが恐がったらどうするの!」

 しかしダメージは皆無!
(あの衝撃波で無傷、しかしガスを使っても無駄、バズーカすら通じねえ!武器の類は効きそうにねえ、となると…)
 何かを考える後藤に阿武隈の豪腕が振るわれる!しかし後藤!左の手のひらでこぶしを受け止め、右腕を阿武隈の腕に添えた!

「どんな化けもんでも所詮はタンパク質だ!」

 右腕・No.35
 ー燻る右腕ー
 左腕・No.36
 ー凍てつく左腕ー
 左腕が凍る*本人的には涼しい

 瞬間!阿武隈の拳が凍り付き!腕が燃え上がる!しかし!

「ぐっ!」

 振るわれた腕は止まるわけではない!後藤は吹っ飛ばされる!

「へへへ…少しは効いたろ…なっ!?」

「知ってるかしら?炒飯を作ってるときに気づいたんだけど、熱々の中華鍋でも一瞬なら熱くないのよね、それと…」

 凍り付いた阿武隈の拳が後藤の顔面をとらえる!

「プレゼントありがとう、氷のメリケンサックなんて洒落てるわね♪」

「ぐあああ!!」

 阿武隈の豪腕は確かに後藤の顔面を叩き潰した!
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