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巫女という呪
巫女という呪10
しおりを挟む「格好いいよ」
私はお世辞抜きにそう言った。
「藤原先生より?」
笑顔でそう尋ねる加茂君に、私は突然の名前を聞いてびくりとする。
「ごめんごめん、苛めないって決めたのに。
大丈夫。センセより、僕の方が遙かにイイ男だってわからせてあげる」
そう言って私の手を取ると、勢いよく引っ張って走り出した。
「あのバス乗らないと次が20分後なんだ!」
「それ早く言って!」
そうやって笑いかける加茂君に、私は心の中で沸き上がるものを必死に押さえながら笑顔を浮かべた。
バスと電車を乗り継ぎ、久しぶりに都心に出てきた。
そうだ、都心に来るのはあの葛木先生に車で皇居に連れてこられて以来。
ばっと、頭の中にあの日の事がよぎる。
私は目を瞑り、頭を振った。
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