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一輪の薔薇
一輪の薔薇7
しおりを挟む「先生は、ずるい」
「・・・・・・・はい」
「わかっててやってるんだからタチが悪いと思います」
「その通りです」
私の言葉に答えつつも、未だに先生は頭を上げない。
私はため息をついた。
「会いに行くと言わない限り、頭を上げない気ですか?
土下座しろと言われたらやるんですか?」
「えぇ。それで良いのならいくらでも」
頭を下げたままの先生が膝を折ろうとしたのを、私は先生の腕を掴んで止めた。
「やめて下さい。先生はずるい。
そうやって、私が断れないってわかってやってる」
先生がやっと頭を上げ、私の方を向く。
私は先生の腕を掴んだまま、見上げた。
「本当に藤原が大切なら、ひっぱたいてでも止めるべきだったんじゃないですか?
酷くなるまで放置して、それで私しか出来ないなんておかしいですよ。
先生は私に嫌われるのはなんとも思って無くても、藤原に嫌われるのが怖くて逃げたんでしょ?」
自分で口にして内心笑ってしまう。
だって藤原に嫌われたくなくて逃げたのは、まさに自分だったから。
だからこそ、逃げてしまった葛木先生の気持ちがわかってしまう。
私の内心など押し殺した言葉に、葛木先生は項垂れた。
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