138 / 200
一輪の薔薇
一輪の薔薇35
しおりを挟むそしてまたパシャリと撮る。
「何で撮るの?!」
「誠太郎に送ってやろう」
「絶対やめて!」
スマートフォンを取ろうとしたら、ひょい、と交わされる。
ほれほれとスマートフォンを真上でちらつかせられるが、どんなに背伸びして頑張っても、身長差は埋められない。
「・・・・・・実咲が何かあれば股間を蹴れって言ってた」
「すまん、やめてくれ」
私がじと目でそう言うと、さっと真顔になった藤原がズボンのポケットにスマートフォンをしまった。
「で、参考に聞くが、どんなのが欲しい?」
「食べ物とかじゃなくて・・・・・・置物とかがいい」
「置物ねぇ」
藤原が私の頭からカチューシャを取り陳列棚に戻しながら聞いた。
好きな人からプレゼントをもらえるなら、本音を言えばアクセサリーとかが良い。
でもそんな事恥ずかしくて言える訳が無い。
なら、ずっと無くならずに見ていられる物がいい。
そんな私の思いもしらず、藤原は顎に手を当て、きょろきょろと店の中を見渡す。
「他にも店があるんだよな?じゃぁ他の店も見てで良いか?」
「うん。シンデレラ城のとこにも色々お店あるし」
「じゃぁそうするか。
とりあえずこれ買ってくるから出口の所にいろ」
私は頷いてお店の出口に行くと、ふと振り返り、レジにいる藤原を見る。
今日は学校に着てくるようなシャツ姿ではなく、Vネックの白Tシャツの上に薄手のジャケット、黒の細身のパンツ姿だった。
いつもセットしている髪をおろして、眼鏡もかけているせいか、遠くから見る藤原は、私には知らない人のように思えてしまった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
75
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる