月曜日の巫女

桜居かのん

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一輪の薔薇

一輪の薔薇35

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そしてまたパシャリと撮る。


「何で撮るの?!」


「誠太郎に送ってやろう」


「絶対やめて!」


スマートフォンを取ろうとしたら、ひょい、と交わされる。

ほれほれとスマートフォンを真上でちらつかせられるが、どんなに背伸びして頑張っても、身長差は埋められない。



「・・・・・・実咲が何かあれば股間を蹴れって言ってた」


「すまん、やめてくれ」


私がじと目でそう言うと、さっと真顔になった藤原がズボンのポケットにスマートフォンをしまった。




「で、参考に聞くが、どんなのが欲しい?」


「食べ物とかじゃなくて・・・・・・置物とかがいい」


「置物ねぇ」


藤原が私の頭からカチューシャを取り陳列棚に戻しながら聞いた。

好きな人からプレゼントをもらえるなら、本音を言えばアクセサリーとかが良い。

でもそんな事恥ずかしくて言える訳が無い。

なら、ずっと無くならずに見ていられる物がいい。

そんな私の思いもしらず、藤原は顎に手を当て、きょろきょろと店の中を見渡す。



「他にも店があるんだよな?じゃぁ他の店も見てで良いか?」


「うん。シンデレラ城のとこにも色々お店あるし」


「じゃぁそうするか。

とりあえずこれ買ってくるから出口の所にいろ」


私は頷いてお店の出口に行くと、ふと振り返り、レジにいる藤原を見る。

今日は学校に着てくるようなシャツ姿ではなく、Vネックの白Tシャツの上に薄手のジャケット、黒の細身のパンツ姿だった。

いつもセットしている髪をおろして、眼鏡もかけているせいか、遠くから見る藤原は、私には知らない人のように思えてしまった。

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