月曜日の巫女

桜居かのん

文字の大きさ
上 下
196 / 200
Holy Night

14

しおりを挟む





ホテルを出て、少し走ると高速に乗る。

走っていて違和感を感じた。

本来北に行くはずが、南に行ってないだろうか。



「ねぇ、この道って寮の方?」



「まぁ少し付き合え」



前を向いたままの藤原をきょとんと見た。

走っていると美しいレインボーブリッジを越え、ライトアップされた色とりどりの明かりを携えた観覧車や白く光る多くの建物が見えてきた。



「綺麗・・・・・・」



思わず呟く。

そうか、この夜景を見せたかったんだ。

私には思いがけないサプライズにただ嬉しかった。



車はそのまま地下のトンネルに入る。

こんなとこは通ったことが無くて、オレンジ色に光るトンネルがとても綺麗だ。

だけどだいぶ走っている気がする。



「どこに行くの?これから戻るの?」



「もう少ししたらわかる」



急にトンネルを抜けたと思ったら、突然大きな建物が正面に現れた。

ウィンカーを出してその建物に入るスロープを上がれば『海ほたるPA』という看板があり、その建物の中に入るとずらっと駐車場があった。

沢山の車が停まっていて空いているスペースなんて無いと思ったが、ちょうど出た車の場所に入ることが出来た。



「ほら、行くぞ」



降りてみると、思った以上に人で賑わっている。

ぽかんとして車の横に立っていたら、再度行くぞと声をかけられ、私は慌てて歩き出した藤原についていった。


エレベーターに乗り一番上につくと突然真っ黒な空が広がった。

屋上みたいな場所に出て、レストランとかが左右にずらりと並んでいる。

クリスマスイブのせいなのかカップルも多い。

そのまままっすぐ進むと、今度は目の前が一気に開けた。







「わぁ!」




思わず声が出てしまう。

そこには黒い海の先に、キラキラ光る東京の夜景が広がっていた。

良く見ると、赤い東京タワーや色々な色に変わるスカイツリーまで見える。

私達はもっと海に近い広場へ行く階段を降り、左右に人の居ない場所まで行くと柵にもたれかかりながら、対岸の夜景を見た。

すぐ下には黒い海が時々光を反射して広がっている。



「ここは初めてか?」



「うん!」



「そうか」



「藤原は来たことあるの?」



「あー・・・・・・」



「ふぅん」



ばつが悪そうに視線をずらした様子からして、デートで来たことがあるというのはしっかりわかった。




しおりを挟む

処理中です...