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16話 桃色の野望_2(リリアナ視点)
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「アストレイア公爵様、初めてお目にかかります。ルクレシア公爵家のリリアナと申しますわ。本日は、王国軍のご凱旋、心よりお祝い申し上げます」
顔を上げると、レイアスが無表情にこちらを見下ろしていた。その美貌を間近で見て、リリアナの頬が熱くなる。
レイアスは一瞬の沈黙のあと、最小限の動作で頭を下げた。
「…ああ」
低く、感情の籠もらない声。それだけだった。
(え?それだけ……?)
リリアナは内心で凍りつく。美しい容姿に見惚れていたからこそ、この素っ気なさがより一層堪えた。
(大丈夫、この方は女性に興味がないって有名だもの。きっと私だけじゃなく、誰に対してもこうなのよ)
気を取り直して、リリアナは明るい笑顔を保つ。
「北方でのご活躍、王都でも評判ですわ。公爵様のおかげで、多くの村が救われたと聞いております」
レイアスは無表情のまま彼女の方を向いていた。明らかに会話を早く終わらせたがっている雰囲気だったが、リリアナはそれに気づかない。
(…そうよ、アストレイア公爵は社交界を避けることで有名だわ。今日だって王命がなければ来なかったはず。きっと、こういう華やかな場所は苦手なのね)
令嬢たちが「冷徹」と言っていたけれど、それは単に人付き合いが不得手なだけかもしれない。リリアナはそう結論付け、話を続けた。
「ところで、久しぶりの王都はいかがですか?北方からはるばるお越しいただいて、さぞお疲れでしょう。王都の気候は北方とは随分違うと聞きますし――」
レイアスは何も答えなかった。
会場中の視線がリリアナに注がれているのを感じる。誰も近づけなかった公爵に、自分が話しかけているのだから当然だ。
(見られてる……みんなに見られてる……!)
リリアナは必死に会話を繋ごうとする。
「あの、公爵様。もしよろしければ、後ほど一曲、お相手していただけませんか?せっかくの凱旋パーティーですし――」
「失礼」
レイアスは最後まで聞かずに踵を返した。黒い礼服の裾が翻り、大股で歩き去っていく。
(あ……)
会場のあちこちから、ひそひそと囁き声が聞こえてくる。
リリアナは我に返ると背筋を伸ばし、優雅に微笑みながらその場に佇んだ。
(大丈夫……距離があるから会話の詳細は聞こえていないはず。堂々としていれば、きっと良い会話をしたように見えるわ)
深呼吸をして、リリアナは完璧な笑顔を作る。少し離れた場所にいる令嬢たちの元へ、優雅に――あくまで優雅に歩いて戻った。
「リリアナ様!すごいですわ!本当に公爵様とお話しされたのですね!誰も近づけなかったのに、さすが公爵家の令嬢は違いますわ」
「どうでしたの?公爵様は何とおっしゃって?やっぱり噂通り冷たい方だったのかしら、それとも意外と優しかったりして?」
令嬢たちは興奮していた。遠くから見ていただけの彼女たちには、会話の内容など分からない。
そんな彼女たちに、リリアナは微笑む。
「いいえ、とても紳士的でしたわ。少し無口な方のようですけれど」
「まあ!でも、公爵様はリリアナさまの方を向いていましたもの!他の方には目も合わせないって聞いていたのに」
(え?そうだったの?)
「そうそう!じっと見つめていらしたもの」
(まあ!やっぱり私の美しさに見惚れていたのね。あの素っ気ない態度は、きっと照れ隠しだったんだわ)
リリアナは瞬時に状況を理解し、この雰囲気の好機を逃さなかった。恥ずかしそうに頬を染めて見せる。
「実は……最後に微笑んでくださったの」
「きゃー!公爵様が!?信じられない!」
「あの冷徹な方が微笑まれるなんて!今まで聞いたことがないわ。どんな令嬢にも無表情だったって有名なのに」
令嬢たちが口々に驚きの声を上げる。
「さすがリリアナ様ですわ!やっぱり公爵家の令嬢は違いますのね。他の方とは格が違うんだわ」
「きっと一目で気に入られたんだわ。だって、リリアナ様ほど美しく気品のある方はいらっしゃらないもの」
「そんな、大げさですわ」
リリアナは優雅に扇子を広げて、頬の熱さを隠す。レイアスの態度に不満を抱きつつも、まだドキドキが止まらなかった。
「でも、公爵様はお忙しそうでしたから…」
「それでも、微笑まれたなんて素敵ですわ。他の令嬢なんて、挨拶すらできないのに、リリアナ様は会話までなさって、しかも微笑みまでいただいたなんて」
令嬢たちの称賛を聞きながら、リリアナは会場を見渡した。レイアスは窓際に立ち、一人でワインを飲んでいる。しかし、先ほどとは状況が変わっていた。
リリアナが話しかけたことで、他の貴族たちも勇気を得たようだ。年配の伯爵が恐る恐る近づき、頭を下げている。続いて別の貴族も。今日は彼の凱旋パーティーなのだから、挨拶をしないわけにはいかないのだろう。
(私が最初に話しかけたから、みんなも勇気が出たのね。臆病者ばかりなんだから)
レイアスは相変わらず最小限の対応しかしていないが、それでも人の輪ができ始めていた。年配の貴族たちには、一応頷いたり、短い返事をしたりしている。
(男性貴族には返事をしてる……やっぱり女性が苦手なだけだったんだわ)
リリアナは、窓辺に立つレイアスの美しい横顔から目が離せなかった。
(それにしてもなんて美しい人……。こんな完璧な男性は見たことがないわ)
リリアナは扇子を握りしめた。
(あの人の特別になりたい……。大丈夫よ、この王都に私以上の女性なんていないもの。それにこの気持ちは、きっと運命なんだから!)
そんな期待を抱きながら、リリアナは明るい笑顔を浮かべる。
その時、会場がざわめき始めた。
アメリアが扇子を閉じて、首を傾げる。
「どうしたのでしょう?入り口の方が急に騒がしくなりましたわ」
人々が振り返り、視線を向ける先には――
「まあ……」
「どちらの令嬢かしら…?」
リリアナの隣で、アメリアが息を呑んだ。
リリアナも言葉を失う。
そこに立っていたのは、確かに姉のリゼナだった。
ソフィアは、うっとりとした声で呟く。
「し、信じられない……なんて美しい方なの。まるで物語から抜け出してきた姫君のようだわ……」
リゼナの金色の髪は、まるで月光を纏っているかのように輝いていた。紫の瞳は神秘的な光を宿し、肌は陶器のように滑らかだった。そして何より、その佇まい――堂々として、気品に満ちている。
しかし誰かが小声で指摘する。
「でも、ドレスが黒色よ」
「ええ、確かに黒だわ……普通なら絶対に選ばない色なのに」
「本当ね。黒なんて、かつての魔王を思い出させる色じゃない?だから忌み嫌われているというのに」
そんな困惑の声が上がる中、アメリアが不思議そうに首を傾げた。
「そう……ね。でも、どうしてかしら。黒なんて不吉な色のはずなのに……今まで見たどんなドレスより美しく見えるわ。まるで夜空を纏っているみたい」
アメリアの言葉にソフィアが興奮気味に同調した。
「分かるわっ!深い夜空に星を散りばめたような、神秘的な輝きを持つ黒。こんなに黒が高貴に見えるなんて!」
「ええ。アストレイア公爵に続いて、黒という色の概念が変わってしまいそうね」
アメリアとソフィアの言葉を聞いた令嬢たちも、改めてリゼナを見つめ直した。黒髪の公爵、黒いドレスの令嬢。忌み色とされていた黒が、今宵は特別な輝きを放っていた。
会場中がざわめく中、バトラーが慌てたように声を上げる。
「リゼナ・ルクレシア様のご到着です!」
その名前を聞いた瞬間、リリアナの周りにいた令嬢たちが一斉に振り返った。
「え?リゼナ様って……まさか、リリアナ様のお姉様のことですか!?」
「あの方が、いつも体調を崩されているという?お身体が弱くて社交界にも出られないと聞いていましたが……こんなにお美しい方だったのですね」
令嬢たちの驚愕の声が重なる。
(お姉様……どうして……!?)
リリアナは愕然としていた。あの古ぼけた黒いドレスが、まるで最高級の宝石のように輝いている。朝渡した時とは、まるで別物だった。
アメリアが困惑した様子でリリアナを見た。
「リリアナ様、本当にあの方がお姉様なのですか?さっきまでのお話とは、随分印象が違いますけれど……」
「体調が悪くて、あの……人前が苦手だと仰っていましたけど…とてもそうは見えませんわ……」
リリアナは答えられなかった。ただ、呆然と姉の姿を見つめるばかり。
そして気づいた。会場の誰もが、リゼナから目を離せずにいる。その中には――
(まさか……)
窓際で貴族たちの挨拶を受けていたはずのレイアス・アストレイアも含まれていた。
顔を上げると、レイアスが無表情にこちらを見下ろしていた。その美貌を間近で見て、リリアナの頬が熱くなる。
レイアスは一瞬の沈黙のあと、最小限の動作で頭を下げた。
「…ああ」
低く、感情の籠もらない声。それだけだった。
(え?それだけ……?)
リリアナは内心で凍りつく。美しい容姿に見惚れていたからこそ、この素っ気なさがより一層堪えた。
(大丈夫、この方は女性に興味がないって有名だもの。きっと私だけじゃなく、誰に対してもこうなのよ)
気を取り直して、リリアナは明るい笑顔を保つ。
「北方でのご活躍、王都でも評判ですわ。公爵様のおかげで、多くの村が救われたと聞いております」
レイアスは無表情のまま彼女の方を向いていた。明らかに会話を早く終わらせたがっている雰囲気だったが、リリアナはそれに気づかない。
(…そうよ、アストレイア公爵は社交界を避けることで有名だわ。今日だって王命がなければ来なかったはず。きっと、こういう華やかな場所は苦手なのね)
令嬢たちが「冷徹」と言っていたけれど、それは単に人付き合いが不得手なだけかもしれない。リリアナはそう結論付け、話を続けた。
「ところで、久しぶりの王都はいかがですか?北方からはるばるお越しいただいて、さぞお疲れでしょう。王都の気候は北方とは随分違うと聞きますし――」
レイアスは何も答えなかった。
会場中の視線がリリアナに注がれているのを感じる。誰も近づけなかった公爵に、自分が話しかけているのだから当然だ。
(見られてる……みんなに見られてる……!)
リリアナは必死に会話を繋ごうとする。
「あの、公爵様。もしよろしければ、後ほど一曲、お相手していただけませんか?せっかくの凱旋パーティーですし――」
「失礼」
レイアスは最後まで聞かずに踵を返した。黒い礼服の裾が翻り、大股で歩き去っていく。
(あ……)
会場のあちこちから、ひそひそと囁き声が聞こえてくる。
リリアナは我に返ると背筋を伸ばし、優雅に微笑みながらその場に佇んだ。
(大丈夫……距離があるから会話の詳細は聞こえていないはず。堂々としていれば、きっと良い会話をしたように見えるわ)
深呼吸をして、リリアナは完璧な笑顔を作る。少し離れた場所にいる令嬢たちの元へ、優雅に――あくまで優雅に歩いて戻った。
「リリアナ様!すごいですわ!本当に公爵様とお話しされたのですね!誰も近づけなかったのに、さすが公爵家の令嬢は違いますわ」
「どうでしたの?公爵様は何とおっしゃって?やっぱり噂通り冷たい方だったのかしら、それとも意外と優しかったりして?」
令嬢たちは興奮していた。遠くから見ていただけの彼女たちには、会話の内容など分からない。
そんな彼女たちに、リリアナは微笑む。
「いいえ、とても紳士的でしたわ。少し無口な方のようですけれど」
「まあ!でも、公爵様はリリアナさまの方を向いていましたもの!他の方には目も合わせないって聞いていたのに」
(え?そうだったの?)
「そうそう!じっと見つめていらしたもの」
(まあ!やっぱり私の美しさに見惚れていたのね。あの素っ気ない態度は、きっと照れ隠しだったんだわ)
リリアナは瞬時に状況を理解し、この雰囲気の好機を逃さなかった。恥ずかしそうに頬を染めて見せる。
「実は……最後に微笑んでくださったの」
「きゃー!公爵様が!?信じられない!」
「あの冷徹な方が微笑まれるなんて!今まで聞いたことがないわ。どんな令嬢にも無表情だったって有名なのに」
令嬢たちが口々に驚きの声を上げる。
「さすがリリアナ様ですわ!やっぱり公爵家の令嬢は違いますのね。他の方とは格が違うんだわ」
「きっと一目で気に入られたんだわ。だって、リリアナ様ほど美しく気品のある方はいらっしゃらないもの」
「そんな、大げさですわ」
リリアナは優雅に扇子を広げて、頬の熱さを隠す。レイアスの態度に不満を抱きつつも、まだドキドキが止まらなかった。
「でも、公爵様はお忙しそうでしたから…」
「それでも、微笑まれたなんて素敵ですわ。他の令嬢なんて、挨拶すらできないのに、リリアナ様は会話までなさって、しかも微笑みまでいただいたなんて」
令嬢たちの称賛を聞きながら、リリアナは会場を見渡した。レイアスは窓際に立ち、一人でワインを飲んでいる。しかし、先ほどとは状況が変わっていた。
リリアナが話しかけたことで、他の貴族たちも勇気を得たようだ。年配の伯爵が恐る恐る近づき、頭を下げている。続いて別の貴族も。今日は彼の凱旋パーティーなのだから、挨拶をしないわけにはいかないのだろう。
(私が最初に話しかけたから、みんなも勇気が出たのね。臆病者ばかりなんだから)
レイアスは相変わらず最小限の対応しかしていないが、それでも人の輪ができ始めていた。年配の貴族たちには、一応頷いたり、短い返事をしたりしている。
(男性貴族には返事をしてる……やっぱり女性が苦手なだけだったんだわ)
リリアナは、窓辺に立つレイアスの美しい横顔から目が離せなかった。
(それにしてもなんて美しい人……。こんな完璧な男性は見たことがないわ)
リリアナは扇子を握りしめた。
(あの人の特別になりたい……。大丈夫よ、この王都に私以上の女性なんていないもの。それにこの気持ちは、きっと運命なんだから!)
そんな期待を抱きながら、リリアナは明るい笑顔を浮かべる。
その時、会場がざわめき始めた。
アメリアが扇子を閉じて、首を傾げる。
「どうしたのでしょう?入り口の方が急に騒がしくなりましたわ」
人々が振り返り、視線を向ける先には――
「まあ……」
「どちらの令嬢かしら…?」
リリアナの隣で、アメリアが息を呑んだ。
リリアナも言葉を失う。
そこに立っていたのは、確かに姉のリゼナだった。
ソフィアは、うっとりとした声で呟く。
「し、信じられない……なんて美しい方なの。まるで物語から抜け出してきた姫君のようだわ……」
リゼナの金色の髪は、まるで月光を纏っているかのように輝いていた。紫の瞳は神秘的な光を宿し、肌は陶器のように滑らかだった。そして何より、その佇まい――堂々として、気品に満ちている。
しかし誰かが小声で指摘する。
「でも、ドレスが黒色よ」
「ええ、確かに黒だわ……普通なら絶対に選ばない色なのに」
「本当ね。黒なんて、かつての魔王を思い出させる色じゃない?だから忌み嫌われているというのに」
そんな困惑の声が上がる中、アメリアが不思議そうに首を傾げた。
「そう……ね。でも、どうしてかしら。黒なんて不吉な色のはずなのに……今まで見たどんなドレスより美しく見えるわ。まるで夜空を纏っているみたい」
アメリアの言葉にソフィアが興奮気味に同調した。
「分かるわっ!深い夜空に星を散りばめたような、神秘的な輝きを持つ黒。こんなに黒が高貴に見えるなんて!」
「ええ。アストレイア公爵に続いて、黒という色の概念が変わってしまいそうね」
アメリアとソフィアの言葉を聞いた令嬢たちも、改めてリゼナを見つめ直した。黒髪の公爵、黒いドレスの令嬢。忌み色とされていた黒が、今宵は特別な輝きを放っていた。
会場中がざわめく中、バトラーが慌てたように声を上げる。
「リゼナ・ルクレシア様のご到着です!」
その名前を聞いた瞬間、リリアナの周りにいた令嬢たちが一斉に振り返った。
「え?リゼナ様って……まさか、リリアナ様のお姉様のことですか!?」
「あの方が、いつも体調を崩されているという?お身体が弱くて社交界にも出られないと聞いていましたが……こんなにお美しい方だったのですね」
令嬢たちの驚愕の声が重なる。
(お姉様……どうして……!?)
リリアナは愕然としていた。あの古ぼけた黒いドレスが、まるで最高級の宝石のように輝いている。朝渡した時とは、まるで別物だった。
アメリアが困惑した様子でリリアナを見た。
「リリアナ様、本当にあの方がお姉様なのですか?さっきまでのお話とは、随分印象が違いますけれど……」
「体調が悪くて、あの……人前が苦手だと仰っていましたけど…とてもそうは見えませんわ……」
リリアナは答えられなかった。ただ、呆然と姉の姿を見つめるばかり。
そして気づいた。会場の誰もが、リゼナから目を離せずにいる。その中には――
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