見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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三〇

「お前にこれをやろう」

 まだ何かあるのか。

「秘密結社ジョルト謹製バックパックだ。ただのバックパックだが、この世界なら相当役に立つんじゃないか。ましてや冒険者なんて職業ならなおさらな」

 何のことはない。ただの背負い袋か。

「特殊樹脂製で特殊合金を混ぜた塗料でコーティングしてある。伸縮性に優れつつ丈夫で長持ち軽量ときた。完全防水、耐火性抜群、出血大サービスでアウトドアグッズも付けておいたぞ。この時代には破格の高性能な物ばかりだ。やったなコノヤロー」

 オオムカデンダルは嬉しそうにそう言って俺に背負い袋を手渡した。
言っている事の半分も理解できなかったが。

「……判った。とにかく行ってくる。彼女を頼む」

 俺がそれだけ言うとオオムカデンダルは頷いた。

 そしてその足ですぐに屋敷を出た。
依頼の結果を報告しなければならない。
予定を少し超過している。

 仕事自体は斡旋所からの物だが、以来主は領主だ。
つまり公的な仕事だ。

 依頼は調査と探索だった。
その意味では目的は辛うじて達成できたが、結果は最悪な物である。

 原因は化け物だったこと。
解決できたのはそいつを倒せたという事だけだ。
被害者は見つからなかったし……と言うよりも全員殺害されており、俺たちもまた俺以外は全滅した。

 プニーフタールの紋様からそれを崇める狂信者共の関与が疑われるが、その足取りや目的は不明。

 果たしてこれは解決できたと言えるのか。

 俺は町への道中そればかり考えていた。
報告が済んだら俺は独自に奴を追う。
だが、その為の宛は全くない。
雲をつかむような話だ。

 屋敷を出て四日目。
俺はようやく町へと帰ってこれた。
その足でそのまま斡旋所へ向かう。

 斡旋所の扉を開け中へ足を踏み入れると、その場にいた全員の視線が俺へと向けられた。
俺はそれには構わずカウンターへと向かう。

「トカナ地方周辺の行方不明者探索の依頼を受けたレオだ」

 俺はそう言って冒険者の証とも言うべきプレートを見せた。
これはいつも首から下げている金属製の小さなプレートだ。

 俺のはミラーナイトクラスを示す銀色のプレート。

 冒険者はその腕前と熟練度によって階級分けが存在する。
駆け出しのブルーナイト。
中級者までのレッドナイト。
上級者を表すミラーナイト。
上級者の中でも特に大きな功績を持ち、国家から賞を受けた実績のあるハイパーナイト。
そして冒険者の目指す頂点がブラックナイトだ。

 ブラックナイトは名声だけで言えば国の宰相クラスだ。
国家存亡の危機にはこれを救う任を負い、場合によっては国軍の指揮を任されることもある。

 この仕組みが導入されて以降、ブラックナイトは五〇人程度誕生している。
現在現役は三人だ。

 これより上は英雄と称される。
ほとんど伝説のような存在で現役はいないとされているが、誰も確認できないので真偽さえ定かではない。
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