見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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六四

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 俺たちはそうやって町まで歩いた。
疲れはてた体に足取りは重かったが、それでも朝までにはたどり着けた。

 斡旋所に着くとすぐに報告書を作成した。
これで後は小切手を待つだけだ。

「ふう」

 俺は一息ついてラウンジのテーブルに突っ伏した。

「おつかれさま」

ディーレが声を掛けてきた。

「つかれた……」

 俺は顔も上げずに言った。

「ね、レオは次どうするの?」

 ルガが尋ねる。

「あんた今それを言う?」

 ディーレが苦笑いで言った。
俺は今、座ったばかりだというのに。

 だが、それでもやることは決まっていた。

「休息したらまたプニーフタールを追う。次の場所を決めてから、そこでまた情報収集だ」

 目的は変わらない。
ならばやることも変わらない。
問題は当たりを引いた時だ。

 その時どうするか。
それはまだ明確には決まっていなかった。
とりあえず野放しには出来まい。
壊滅させる事は当然として、そのような邪神を一体どうすればいいのか。

 俺はテーブルに伏せたまま、そんなことを考えた。

「だったらさ、しばらくアタシたちも一緒に行くのはどうかな?」

 ルガが皆に提案した。
俺は起き上がり皆の顔を見た。
みんなそれぞれに考え込んでいる。

「確かに予定は未定だが」

 ガイが腕組みをする。

 「拙僧は構わん。どうせ宛があるでなし、強いて言えば修行が目的だからな。レオと行けば自ずと艱難辛苦が待ち受けているだろう。望むところだ」

 バルバはそう言うとあっさり同行を決めた。
いいのか?俺自身ビビるくらいの困難が待ち受けていそうなのに。

 まさか初っぱなから魔王ヴァンパイアに遭遇すると誰が予想できただろう。
オオムカデンダルと縁がなければ、夕べで俺の人生は幕を下ろしている。

 いや、そもそも緑の谷で野垂れ死にしているところだ。

「私は良いわよ。ハイパーナイト級とは言いながら、そうそう大きな案件に巡り会える訳でもないしね。まさか魔王とやりあうとは思わなかったけど」

 同感だ。

「アタシはあのムカデみたいな戦士にもう一回会ってみたいな。レオと知り合いみたいだし一緒に行けばまた会えるよね」

 ルガはそう言ってニコニコしている。
とても数十歳には見えないが……いや、数十歳かどうかも判らないが、とにかく年上には見えないあどけなさだ。
ダークエルフもエルフもほとんど歳をとらないのはうらやましい。

「ムカデ人間か……あれに会いたいのか」

 ガイが珍しいものを見るような目でルガを見た。

 「ムカデ人間じゃない!ムカデ戦士!」

 どっちでも印象悪いだろ。

「判った。小切手を受け取ったら今日は休もう。明日またここで集合して、その時どうするか聞かせてもらう」

 俺はそう言って立ち上がった。
これから今晩の宿も探さねばならない。
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