65 / 826
六五
明日集合することを約束して、俺は今晩の宿を探しに斡旋所を出た。
だいたいどこの町でも斡旋所の近くには宿屋がある。
質にこだわらなければ、いくらでも安宿は見つかる。
特に金をケチる必要もない。
ここは普通の宿屋でたっぷり休息を取りたい。
斡旋所を出て最初に目についた宿屋にそのまま飛び込む。
理由は簡単、看板が大きくて目立っていたからだ。
宿を探すと言ったが少しも探さずに決まった。
まあ、そんなもんだ。
俺は受付を済ませると部屋ですぐに眠りについた。
とても疲れていたから横になった瞬間から記憶がなかった。
「……い。……おい!起きろレオ」
気持ちよく寝ているのに起こされる不快さはいくつになっても変わらない。
「おい!起きろ!」
俺は渋々眠りの淵から戻ってきた。
いったい何だと言うんだ。
朝飯には早いだろう。
俺は中々開かない目を無理に開いて窓を見た。
まだ暗い。
何時だか判らないがまだ夜だ。
東の空は少しも明るくない。
俺は体を起こして入り口に目をやる。
扉はキッチリと閉まっており猫の子一匹入れる隙間はなかった。
寝ぼけたか。
たまにはある事だが今の俺には睡眠が必要だ。
こういう時には勘弁してもらいたい。
いや、疲れている時ほど夜中に目が覚めるものだ。
俺はもう一度目を閉じた。
「おい、いい加減にしろよ。二度寝すんな」
今度は起きていた。
寝ぼけた訳ではない。
俺はハッキリと自分を呼ぶ声に起き上がった。
「誰だ!」
素早くベッド横の愛剣に手を伸ばす。
夜盗か?
しかし夜盗がわざわざ起こすだろうか。
部屋の中を見渡す。
真っ暗だったが今の俺は猫の目のように暗がりを見通せた。
これも例の強化手術のお陰か。
窓から差し込む月明かりだけが唯一の明かりだった。
窓際だけが明るい。
そう思いながら俺は窓を見て異変に気付いた。
窓が開いている。
侵入されている。
疲れていたとはいえ冒険者が自室に盗賊の侵入を許すとは物笑いの種だ。
「何者だ」
俺は剣を構えつつ、ゆっくりとベッドから降りた。
「落ち着けバーカ。俺だよ」
聞き覚えのある声だ。
と言うよりも聞き覚えのある口調だ。
「オオムカデンダル?」
俺は部屋の中を見渡したがオオムカデンダルの姿はない。
彼はかなり大柄だ。
暗闇とはいえ、部屋の中に突っ立ていれば見逃すはずはない。
「こっちだ」
俺は声のする方を見た。
だが誰も……
いた。
床の上に黒猫がちょこんと座り込んでいる。
これか。
「よう。やっと気付いたか」
黒猫が言った。
そう言えば夕べはミミズクが話していた。
動物を使って話すのは常套手段なのか。
「暗闇で黒猫はないだろう……」
俺は剣を収めてベッドに腰かけた。
だいたいどこの町でも斡旋所の近くには宿屋がある。
質にこだわらなければ、いくらでも安宿は見つかる。
特に金をケチる必要もない。
ここは普通の宿屋でたっぷり休息を取りたい。
斡旋所を出て最初に目についた宿屋にそのまま飛び込む。
理由は簡単、看板が大きくて目立っていたからだ。
宿を探すと言ったが少しも探さずに決まった。
まあ、そんなもんだ。
俺は受付を済ませると部屋ですぐに眠りについた。
とても疲れていたから横になった瞬間から記憶がなかった。
「……い。……おい!起きろレオ」
気持ちよく寝ているのに起こされる不快さはいくつになっても変わらない。
「おい!起きろ!」
俺は渋々眠りの淵から戻ってきた。
いったい何だと言うんだ。
朝飯には早いだろう。
俺は中々開かない目を無理に開いて窓を見た。
まだ暗い。
何時だか判らないがまだ夜だ。
東の空は少しも明るくない。
俺は体を起こして入り口に目をやる。
扉はキッチリと閉まっており猫の子一匹入れる隙間はなかった。
寝ぼけたか。
たまにはある事だが今の俺には睡眠が必要だ。
こういう時には勘弁してもらいたい。
いや、疲れている時ほど夜中に目が覚めるものだ。
俺はもう一度目を閉じた。
「おい、いい加減にしろよ。二度寝すんな」
今度は起きていた。
寝ぼけた訳ではない。
俺はハッキリと自分を呼ぶ声に起き上がった。
「誰だ!」
素早くベッド横の愛剣に手を伸ばす。
夜盗か?
しかし夜盗がわざわざ起こすだろうか。
部屋の中を見渡す。
真っ暗だったが今の俺は猫の目のように暗がりを見通せた。
これも例の強化手術のお陰か。
窓から差し込む月明かりだけが唯一の明かりだった。
窓際だけが明るい。
そう思いながら俺は窓を見て異変に気付いた。
窓が開いている。
侵入されている。
疲れていたとはいえ冒険者が自室に盗賊の侵入を許すとは物笑いの種だ。
「何者だ」
俺は剣を構えつつ、ゆっくりとベッドから降りた。
「落ち着けバーカ。俺だよ」
聞き覚えのある声だ。
と言うよりも聞き覚えのある口調だ。
「オオムカデンダル?」
俺は部屋の中を見渡したがオオムカデンダルの姿はない。
彼はかなり大柄だ。
暗闇とはいえ、部屋の中に突っ立ていれば見逃すはずはない。
「こっちだ」
俺は声のする方を見た。
だが誰も……
いた。
床の上に黒猫がちょこんと座り込んでいる。
これか。
「よう。やっと気付いたか」
黒猫が言った。
そう言えば夕べはミミズクが話していた。
動物を使って話すのは常套手段なのか。
「暗闇で黒猫はないだろう……」
俺は剣を収めてベッドに腰かけた。
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
一夜の過ちで懐妊したら、幼なじみの冷酷皇帝に溺愛されました
由香
恋愛
没落貴族の娘・柳月鈴は、宮廷で医官見習いとして働いていた。
ある夜、皇帝即位の宴で酒に酔い、幼なじみだった皇帝・李景珩と再会する。
遠い存在になったはずの彼。
けれど、その夜をきっかけに月鈴の運命は大きく動き出す。
冷酷と恐れられる皇帝が、なぜか彼女だけには甘すぎて――。
【完結】瑠璃色の薬草師
シマセイ
恋愛
瑠璃色の瞳を持つ公爵夫人アリアドネは、信じていた夫と親友の裏切りによって全てを奪われ、雨の夜に屋敷を追放される。
絶望の淵で彼女が見出したのは、忘れかけていた薬草への深い知識と、薬師としての秘めたる才能だった。
持ち前の気丈さと聡明さで困難を乗り越え、新たな街で薬草師として人々の信頼を得ていくアリアドネ。
しかし、胸に刻まれた裏切りの傷と復讐の誓いは消えない。
これは、偽りの愛に裁きを下し、真実の幸福と自らの手で築き上げる未来を掴むため、一人の女性が力強く再生していく物語。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】
佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。
新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。
「せめて回復魔法とかが良かった……」
戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。
「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」
家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。
「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」
そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。
絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。
これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。
居酒屋の看板娘でしたが、歌の治癒魔法が覚醒して王女に戻されました〜幼い頃に出会った側近様と紡ぐ恋〜
丸顔ちゃん。
恋愛
生まれてすぐに誘拐され、死んだとされた王女──
その赤子は、実は平民街にひっそりと置き去りにされていた。
病弱な父に拾われ、居酒屋の看板娘として育ったミリア。
白い小花を髪に挿し、歌うことが大好きな少女。
自分の歌に“治癒の力”が宿っていることなど知らずに、
父と平民仲間に囲まれ、穏やかな日々を送っていた。
ある日、市場にお忍びで来ていた皇太子とその側近が、ミリアの歌声を耳にする。
皇太子は“王族にしかない魔力の波動”を感じ、
側近は幼い頃の祭りで出会った白い小花の少女を思い出し、胸がざわつく。
その直後、父が危篤に。
泣きながら歌ったミリアの声は奇跡を起こし、治癒魔法が覚醒する。
「どうして平民の私に魔力が……?」
やがて明かされる真実──
ミリアこそ、行方不明になっていた王女その人だった。
王宮に迎えられ、王女としての生活が始まる。
不安と戸惑いの中、そばにいてくれるのは、
幼い頃に一目惚れし、今も変わらず彼女を見つめる皇太子の側近。
「今度こそ、君を見失わない」
歌姫王女として成長していくミリアと、
彼女を支え続ける側近の、優しくて温かい恋の物語。
龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜
クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。
生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。
母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。
そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。
それから〜18年後
約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。
アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。
いざ〜龍国へ出発した。
あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね??
確か双子だったよね?
もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜!
物語に登場する人物達の視点です。
やっかいな幼なじみは御免です!
ゆきな
恋愛
有名な3人組がいた。
アリス・マイヤーズ子爵令嬢に、マーティ・エドウィン男爵令息、それからシェイマス・パウエル伯爵令息である。
整った顔立ちに、豊かな金髪の彼らは幼なじみ。
いつも皆の注目の的だった。
ネリー・ディアス伯爵令嬢ももちろん、遠巻きに彼らを見ていた側だったのだが、ある日突然マーティとの婚約が決まってしまう。
それからアリスとシェイマスの婚約も。
家の為の政略結婚だと割り切って、適度に仲良くなればいい、と思っていたネリーだったが……
「ねえねえ、マーティ!聞いてるー?」
マーティといると必ず割り込んでくるアリスのせいで、積もり積もっていくイライラ。
「そんなにイチャイチャしたいなら、あなた達が婚約すれば良かったじゃない!」
なんて、口には出さないけど……はあ……。