214 / 826
二一四
俺は封を切ると手紙を取り出した。
『拝啓、レオ兄さん。お元気ですか。今どこにいますか?全然連絡もくれなくて心配しています。早くこの手紙を読んでくれていると良いんだけど。』
そう言えば、ここ一年以上連絡はしていなかったな。
帰ったのはいつ以来か。
『ここ半年くらい村では良くない事が起こっています。風車小屋のハンスさんが病気になったのだけど様子が変で、日に日に乱暴になっていきます。村のみんなにも危害を加えるようになったので、みんなで家に閉じ込めています。可哀想だけど他に方法がなくて。優しかったハンスさんの見る影もありません。』
俺はピクリと反応した。
何でもプニーフタールに結び付けるのは良くないとは思うが。
病人が凶暴化する。
そんな事は、まれにだがある。
野犬に噛まれたりするとそうなる事例がある。
その場合、大体は時間がたつと死んでしまう。
しかし、死なずに生き永らえるとライカンスロープになると言われている。
つまり、狼男などはこの類いだ。
これは伝染する。
『村では他にも出るんじゃないかって、みんな怯えています。夜は何か怪しい者が村をうろついているって話だし、それを悪魔だと言い出す人も居て、誰も外に出ようとしません。私もとても不安です。出来たらレオ兄さんに帰ってきて欲しいです。』
以前の俺なら一笑に付しただろう。
だが、今の俺は嫌な予感しか感じなかった。
どんな事でも起こりうる。
俺はカッパー王国よりも先に故郷の村へ戻ることにした。
俺の足なら一晩で着くが……
少し考えてから小声で管理人を呼んでみた。
「管理人聞こえるかい?」
「はい、聞こえています」
「実は早急に長距離移動がしたいんだが、何か方法はないか」
「そうですね。単身ならボードがありますが」
「ボード?」
「はい。宙に浮いて滑る板です。高度はある程度自由なので建造物を越えて進む事も可能です。さすがに空を飛ぶと言う程の高度は出せませんがスピードはそれなりに出るので、走るよりは早く目的地に着けると思います」
「乗るのは簡単かな」
「今のレオさんなら問題ないと思います。送りましょうか?」
そんな事も出来るのか。
是非もない。
「助かるよ。頼む」
「了解しました。直ぐに出しますので、少し広めの屋外で待っていて下さい。現着まで五分です」
五分。
俺が全力で走っても二十分は掛かる。
確かに速い。
俺は斡旋所から表に出て、少し道幅の大きな場所に移動した。
この辺ではここが一番広い。
そろそろ五分か。
本当にそんな時間ピッタリに来るのか。
『拝啓、レオ兄さん。お元気ですか。今どこにいますか?全然連絡もくれなくて心配しています。早くこの手紙を読んでくれていると良いんだけど。』
そう言えば、ここ一年以上連絡はしていなかったな。
帰ったのはいつ以来か。
『ここ半年くらい村では良くない事が起こっています。風車小屋のハンスさんが病気になったのだけど様子が変で、日に日に乱暴になっていきます。村のみんなにも危害を加えるようになったので、みんなで家に閉じ込めています。可哀想だけど他に方法がなくて。優しかったハンスさんの見る影もありません。』
俺はピクリと反応した。
何でもプニーフタールに結び付けるのは良くないとは思うが。
病人が凶暴化する。
そんな事は、まれにだがある。
野犬に噛まれたりするとそうなる事例がある。
その場合、大体は時間がたつと死んでしまう。
しかし、死なずに生き永らえるとライカンスロープになると言われている。
つまり、狼男などはこの類いだ。
これは伝染する。
『村では他にも出るんじゃないかって、みんな怯えています。夜は何か怪しい者が村をうろついているって話だし、それを悪魔だと言い出す人も居て、誰も外に出ようとしません。私もとても不安です。出来たらレオ兄さんに帰ってきて欲しいです。』
以前の俺なら一笑に付しただろう。
だが、今の俺は嫌な予感しか感じなかった。
どんな事でも起こりうる。
俺はカッパー王国よりも先に故郷の村へ戻ることにした。
俺の足なら一晩で着くが……
少し考えてから小声で管理人を呼んでみた。
「管理人聞こえるかい?」
「はい、聞こえています」
「実は早急に長距離移動がしたいんだが、何か方法はないか」
「そうですね。単身ならボードがありますが」
「ボード?」
「はい。宙に浮いて滑る板です。高度はある程度自由なので建造物を越えて進む事も可能です。さすがに空を飛ぶと言う程の高度は出せませんがスピードはそれなりに出るので、走るよりは早く目的地に着けると思います」
「乗るのは簡単かな」
「今のレオさんなら問題ないと思います。送りましょうか?」
そんな事も出来るのか。
是非もない。
「助かるよ。頼む」
「了解しました。直ぐに出しますので、少し広めの屋外で待っていて下さい。現着まで五分です」
五分。
俺が全力で走っても二十分は掛かる。
確かに速い。
俺は斡旋所から表に出て、少し道幅の大きな場所に移動した。
この辺ではここが一番広い。
そろそろ五分か。
本当にそんな時間ピッタリに来るのか。
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
一度目で黒狼公に討たれた私ですが、二度目の夜はお父様のそばでしか眠れません
師走
恋愛
八歳の冬、リリア・ヴァルグレイは父に殺された。
王国最強の討魔貴族――黒狼公レオンハルト・ヴァルグレイ。
人にも魔にも容赦のないその男は、黒花の災厄に呑まれかけた実の娘を、自らの手で討ったのだ。
けれど次に目を覚ました時、リリアは赤ん坊に戻っていた。
もう二度と、お父様に剣を向けられたくない。
そう願うのに、夜になるとまた黒花の囁きが忍び寄る。甘くやさしいその声は、孤独な心に触れて、静かに破滅へと導こうとする。
そして、その囁きがぴたりと止むのは――世界でいちばん怖いお父様のそばだけだった。
一度目の父は、同じ城で暮らしていても遠い人だった。
リリアを見ない。抱かない。呼びもしない。
そのくせ二度目の父は、相変わらず冷たいまま、なぜか夜ごとリリアを放っておいてくれない。侍女を替え、部屋を守らせ、怯えて眠れない娘を黙って自分の近くへ置いてしまう。
人にはあれほど容赦がないのに、リリアにだけ少しずつおかしくなっていく。
怖い。近づきたくない。
それでも、その腕の中でしか眠れない。
またあの冬が来る。
また同じように、黒花はリリアを呑み込もうとするかもしれない。
今度こそ囁きに負けないために。今度こそ父に剣を抜かせないために。
一度目で父に討たれた娘は、二度目の人生でもっとも恐ろしいその人のそばへ、自分の意志で手を伸ばしていく。
小説家になろう様でも掲載中
【完結】1王妃は、幸せになれる?
華蓮
恋愛
サウジランド王国のルーセント王太子とクレスタ王太子妃が政略結婚だった。
側妃は、学生の頃の付き合いのマリーン。
ルーセントとマリーンは、仲が良い。ひとりぼっちのクレスタ。
そこへ、隣国の皇太子が、視察にきた。
王太子妃の進み道は、王妃?それとも、、、、?
【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】
佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。
新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。
「せめて回復魔法とかが良かった……」
戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。
「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」
家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。
「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」
そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。
絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。
これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜
クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。
生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。
母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。
そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。
それから〜18年後
約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。
アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。
いざ〜龍国へ出発した。
あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね??
確か双子だったよね?
もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜!
物語に登場する人物達の視点です。
居酒屋の看板娘でしたが、歌の治癒魔法が覚醒して王女に戻されました〜幼い頃に出会った側近様と紡ぐ恋〜
丸顔ちゃん。
恋愛
生まれてすぐに誘拐され、死んだとされた王女──
その赤子は、実は平民街にひっそりと置き去りにされていた。
病弱な父に拾われ、居酒屋の看板娘として育ったミリア。
白い小花を髪に挿し、歌うことが大好きな少女。
自分の歌に“治癒の力”が宿っていることなど知らずに、
父と平民仲間に囲まれ、穏やかな日々を送っていた。
ある日、市場にお忍びで来ていた皇太子とその側近が、ミリアの歌声を耳にする。
皇太子は“王族にしかない魔力の波動”を感じ、
側近は幼い頃の祭りで出会った白い小花の少女を思い出し、胸がざわつく。
その直後、父が危篤に。
泣きながら歌ったミリアの声は奇跡を起こし、治癒魔法が覚醒する。
「どうして平民の私に魔力が……?」
やがて明かされる真実──
ミリアこそ、行方不明になっていた王女その人だった。
王宮に迎えられ、王女としての生活が始まる。
不安と戸惑いの中、そばにいてくれるのは、
幼い頃に一目惚れし、今も変わらず彼女を見つめる皇太子の側近。
「今度こそ、君を見失わない」
歌姫王女として成長していくミリアと、
彼女を支え続ける側近の、優しくて温かい恋の物語。
やっかいな幼なじみは御免です!
ゆきな
恋愛
有名な3人組がいた。
アリス・マイヤーズ子爵令嬢に、マーティ・エドウィン男爵令息、それからシェイマス・パウエル伯爵令息である。
整った顔立ちに、豊かな金髪の彼らは幼なじみ。
いつも皆の注目の的だった。
ネリー・ディアス伯爵令嬢ももちろん、遠巻きに彼らを見ていた側だったのだが、ある日突然マーティとの婚約が決まってしまう。
それからアリスとシェイマスの婚約も。
家の為の政略結婚だと割り切って、適度に仲良くなればいい、と思っていたネリーだったが……
「ねえねえ、マーティ!聞いてるー?」
マーティといると必ず割り込んでくるアリスのせいで、積もり積もっていくイライラ。
「そんなにイチャイチャしたいなら、あなた達が婚約すれば良かったじゃない!」
なんて、口には出さないけど……はあ……。