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二三八
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「どうだ、判るか?この姿が」
キメラが笑いながら言う。
「ブラックナイトクラスが束になっても倒せはしないぞ」
伝承通りならそうだろう。
誰もキメラと剣を交えた者など居ないのだ。
未知の相手である。
獅子の頭がスンスンと鼻を鳴らす。
「近くにいるな。そこか!」
キメラが素早く飛び掛かってきた。
俺はとっさに横っ跳びでかわした。
そのまま樹の幹を蹴ってキメラの反対側へと逃れる。
臭いを追跡しているのか。
今度は山羊の頭が耳を立てた。
「樹を蹴る音……こっちか」
そう言ってキメラは正確に俺の方へと体を向けた。
これは不味いぞ。
消えているアドバンテージが大幅に失われている。
ドラゴンの眼が、爬虫類特有の瞳孔を開いた。
「フフ、うっすらとだが見えるぞ。輪郭が揺らいでいるな」
まさか。
完全に消えているのに、わずかでも痕跡が見えるというのか。
キメラに死角はないのか。
強すぎるだろ。
ドラゴンの頭が口を開く。
見覚えがある。
オオムカデンダルがワイバーンと戦った時だ。
俺は地面を転がって樹の後ろへと隠れた。
ゴオッ!
それと同時に炎が辺りを包む。
あっという間に林に火が着いた。
これは瞬く間に広がる。
森林火災だ。
村まで広がりはしないと思うが、火の粉が風に乗れば話は別だ。
俺の隠れた樹もすぐに燃え出した。
いつまでも隠れてはいられない。
「ううあああぁぁぁ」
サイクロプスの唸り声が聞こえる。
炎に巻かれてはいるが、それでダメージを受けている様子もない。
バキイッ!
隠れていた樹が突然弾けた。
その向こうにキメラが居る。
「いつまで隠れている気だ。無駄ぞ」
キメラが不敵に笑う。
完全に居場所を読まれている。
サイクロプスがこちらに近付いてくるのも見える。
ヤツらには見えていないだろうが、騒ぎの中心に惹き付けられている。
同時に三体も相手に出来るか。
俺は焦っていた。
「うあああああううう!」
急にサイクロプスが悲鳴をあげた。
今まで聞いていた声とは明らかに違う。
何があった。
「うふふふ。一人でずいぶんお楽しみ中じゃない。ズルイわよ」
令子の声だ。
サイクロプスが一体、後ろを振り返った。
「もともと私が先に楽しんでいたのに……」
令子が平然と炎の中を歩いてくる。
さっきの悲鳴は令子の攻撃を受けたのか。
サイクロプスが足元の令子を踏み潰そうと、高く足を上げた。
ズズゥゥンッ!
勢いよく足を下ろす。
令子はサイクロプスの足によって、一瞬で踏み潰された。
「お、おい……令子さん!」
俺は令子の名前を呼んだ。
キメラが笑いながら言う。
「ブラックナイトクラスが束になっても倒せはしないぞ」
伝承通りならそうだろう。
誰もキメラと剣を交えた者など居ないのだ。
未知の相手である。
獅子の頭がスンスンと鼻を鳴らす。
「近くにいるな。そこか!」
キメラが素早く飛び掛かってきた。
俺はとっさに横っ跳びでかわした。
そのまま樹の幹を蹴ってキメラの反対側へと逃れる。
臭いを追跡しているのか。
今度は山羊の頭が耳を立てた。
「樹を蹴る音……こっちか」
そう言ってキメラは正確に俺の方へと体を向けた。
これは不味いぞ。
消えているアドバンテージが大幅に失われている。
ドラゴンの眼が、爬虫類特有の瞳孔を開いた。
「フフ、うっすらとだが見えるぞ。輪郭が揺らいでいるな」
まさか。
完全に消えているのに、わずかでも痕跡が見えるというのか。
キメラに死角はないのか。
強すぎるだろ。
ドラゴンの頭が口を開く。
見覚えがある。
オオムカデンダルがワイバーンと戦った時だ。
俺は地面を転がって樹の後ろへと隠れた。
ゴオッ!
それと同時に炎が辺りを包む。
あっという間に林に火が着いた。
これは瞬く間に広がる。
森林火災だ。
村まで広がりはしないと思うが、火の粉が風に乗れば話は別だ。
俺の隠れた樹もすぐに燃え出した。
いつまでも隠れてはいられない。
「ううあああぁぁぁ」
サイクロプスの唸り声が聞こえる。
炎に巻かれてはいるが、それでダメージを受けている様子もない。
バキイッ!
隠れていた樹が突然弾けた。
その向こうにキメラが居る。
「いつまで隠れている気だ。無駄ぞ」
キメラが不敵に笑う。
完全に居場所を読まれている。
サイクロプスがこちらに近付いてくるのも見える。
ヤツらには見えていないだろうが、騒ぎの中心に惹き付けられている。
同時に三体も相手に出来るか。
俺は焦っていた。
「うあああああううう!」
急にサイクロプスが悲鳴をあげた。
今まで聞いていた声とは明らかに違う。
何があった。
「うふふふ。一人でずいぶんお楽しみ中じゃない。ズルイわよ」
令子の声だ。
サイクロプスが一体、後ろを振り返った。
「もともと私が先に楽しんでいたのに……」
令子が平然と炎の中を歩いてくる。
さっきの悲鳴は令子の攻撃を受けたのか。
サイクロプスが足元の令子を踏み潰そうと、高く足を上げた。
ズズゥゥンッ!
勢いよく足を下ろす。
令子はサイクロプスの足によって、一瞬で踏み潰された。
「お、おい……令子さん!」
俺は令子の名前を呼んだ。
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