見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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三六九

 バラバラ

 壁の破片が崩れ落ちる。
ポッカリ開いた穴からは外の景色が見えた。
路上に仰向けになってファズが横たわっているのが見える。

「またですか。困りますよ」

 背後からバッケスの声がした。
相変わらず気配がしない。
コイツの正体はなんなんだ。
ただの店のオーナーとは思われなかった。

「済まんな。降り掛かる火の粉は払わんとな」

「仕方がありませんね。向こうから絡んできたのでしょう?」

「ああ」

 俺は答えながら変身を解いた。

「ところで……」

 バッケスが続ける。

「今のお姿は?」

「別に。ただの仮装だ、気にするな」

「……そうですか。変わったご趣味ばかりお持ちですね」

 まだ言うか。
俺は別に少女に興味などない。
だが、バッケスの目は何かを探ろうとする目だった。
少しも納得していない。
そのくらいは俺にも判る。

「申し上げにくいのですが、さすがにこの状況で営業を続けるのは無理です。申し訳ありませんが今日は閉店とさせて頂きます」

 バッケスが感情のこもらない声でそう言った。
俺がやったのだから断ることなど出来ない。
断る理由も無かった。

「ああ、そうだな。キロは連れ出しても構わんな?」

「ええ、それはもう」

 俺は懐から羊皮袋を取り出すと、バッケスに手渡した。

「足りるだろ」

 バッケスは袋を開きもせずに重さだけで、ええ、と答えた。
銅貨かもしれんのに、良く了解したな。
一応、信用はされているようだ。

「キロ、来い。食事の続きだ」

 俺が呼ぶと、キロと弟たちは走ってくっついてきた。

「レオさま!すごい!」

「すごい!」

 弟たちは興奮気味にそう言った。

「了解はもらった。心配せずに付いてこい」

 俺はキロにそう言うと、店を出た。
ファズの姿はもうない。
逃げたか。

「この辺に旨い店はあるか?あるなら案内しろ」

「あります!この先に人気のお店があるんです!」

 キロが元気良く答えた。
なんと言うかキロを見ていると、見ているだけでこっちまで元気になりそうだった。
キロは先頭に立って、小走りに道を案内する。

 俺は歩きながらも、周りに怪しい動きをする者が居る事に気が付いていた。
視界の端っこに注意勧告が表示されている。

 周りの人の流れと比べて、明らかに不自然に付いてくる光点が点在していた。
囲まれている?
距離は、付かず離れず五十メートル前後を保って、俺たちの周囲を囲みながら付いてきていた。

 今度は誰だ。
結局またキロたちを巻き込む事になりそうだ。
だが、離れればかえってキロたちだけが狙われる可能性もある。
ここは、我慢してもらうしか無い。

「ここです!」

 キロは振り向いて前方の建物を指差した。
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