見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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六二六

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 相変わらず簡単に物事を決めてしまう。
大丈夫なのか。

「大丈夫だ。お前は正真正銘の不死身だからな。何度でも挑戦できる」

 オオムカデンダルが笑いながら言った。
それでも死ぬ時は痛いんだがな。

「そのくらいは我慢しろ」

 今、そのくらいって言いやがったぞコイツ。
が、文句を言っても仕方が無い。
とっとと出発しよう。

「で、場所はどこへ行けば良いんだ?」

 俺はオオムカデンダルに尋ねた。

「それもメタルシェルにデータを転送させてある。自動で着くから心配するな」

 転送させてある?
管理人に準備させてあるのか。
相変わらず段取りが早い。

 俺は四人とカルタスたちの七人を連れて格納庫に向かった。

「……お前ら、何か凄えな」

 ガイが呟く。

「俺もそう思う」

 俺は素直な感想を答えた。

「何でも出来そうだな」

「何でも出来るだろうな。世界征服は冗談で言っている訳では無い」

 四人は改めてネオジョルトの強大さを思い知った。
正直、帝国でさえも本気になればいつでも潰せるだろう。
ソル皇子が居てくれて助かっている事を、帝国はもっと感謝した方が良い。

 全員が乗り込むと、俺はメタルシェルを発進させた。
格納庫から垂直に飛び立つと、そのまま北に向かって速度を上げる。

「目標地点は……緑の谷だ」

 俺は目標地点を確認して呆気にとられた。

 緑の谷。

 ネオジョルトの本拠とも呼べる、あの屋敷の近くだ。
そんな所にマンモンとやらが居ると言うのか。
良くも今までぶつからなかったな。

「まあ、俺たちもずっと隠居してたからな」

 突然モニターにオオムカデンダルが映し出される。

「おおっ!?何だよこれ!」

 ガイが腰を抜かす。

「と言っても屋敷からは三十キロほど離れてはいるが。実はそこにも屋敷がある。ウチの屋敷と同じくらいだが敷地が広い。母家と数棟の別館から成っているようだ。確認しろ」

 あんな森の中に巨大な屋敷があると言うのか。
俺はモニターに映し出された映像を確認する。

「これ、どうやって調べたんだ?」

「この前、小型衛星を打ち上げてな。この世界のどこでも覗き見られるようになった」

 コガタエイセイが何かは判らんが、これは凄いな。
世界中の状況を上から覗けるのか。
魔法でもこんな魔法は存在しないだろう。

「それでだ、ここの所だ。拡大しよう」

 オオムカデンダルが言うと、映像が大写しになる。
全員が、おおっとどよめく。

「崖を背にして建てられている。正面から行くしかないな。一番奥がたぶん母家だ。マンモンもそこだろう」

 どうでも良いが、どうやってマンモンの居所を突き止めたのか。

「じいちゃんに探させた。強力なモンスターを探知する魔法ってのが有るらしくてな。晃の心臓に相応しい強力なモンスターを頼んだ」

「それがマンモンだとどうして判る?」

「テクノセクトを送り込んだ。それを管理人に分析させた。それだけだ」

 それだけか。
それが凄いんだがな。
この世に二人と居ない大賢者を擁し、管理人と組み合わせる。
出来ない事など無さそうな気がしてきた。

「戦闘は無理だからな。その為の行動隊長だろ?」

 オオムカデンダルがそう言った時、メタルシェルは目的地に到着した。
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