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六五七
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物流を完全に押さえられては、帝国も王国も黙ってはおれまい。
いずれこの脅威には遅かれ早かれ気付くだろう。
この繁華街が、大国も脅威を感じる存在になるのだ。
潰しにくるか、友好を結んで少しでも利益を獲ようとするか。
どちらかしかあるまいが、周囲の国の力関係から言えば、帝国内の一繁華街に対してへり下るとは到底考えられない。
となれば潰しに来るか。
規模で言えば巨象と蟻だ。
帝国と王国の二匹の巨象に挟まれた蟻に、頭を下げて友好を結んで欲しいなどと言い出す国は皆無だろう。
蟻は潰せば良い。
小さな商業エリアなど、政治的な圧力だけで潰せる。
軍事力を背景にするなら尚更だ。
そう考える筈だ。
だが果たしてそう上手く行くだろうか。
見た目はただの繁華街でも、中身は秘密結社ネオジョルトだ。
国軍本体を投入しても、恐らく返り討ちだろう。
つまり、この計画を阻止出来る者など居ない。
やれやれ。
やる前から勝利が約束されている戦いとは。
今回は俺の出番は無いな。
プニーフタールの件を追わせてもらおう。
「晃の『ベクターシード』は少し時間が掛かる。一週間ほど時間をもらおう」
オオムカデンダルが晃に言った。
「……判った」
「一週間で直せるのか」
ガイが呆れたように呟いた。
「ただの頑丈な鎧とは違うのにね」
ルガは感心したように目を輝かせる。
「九条晃」
俺は晃を呼び止めた。
「晃で良い」
「では晃。アンタはレイスやワイトと仲間だったのだろう?同じタイミングで帝国に召し抱えられていた筈だ」
「そうだな」
「プニーフタールについて聞きたい」
「……聞いてどうする?」
どうする?
しれた事だ。
あんな物を野放しに出来るか。
しかも、人類はあれと渡り合えるかどうかも怪しい状況だ。
かつての勇者や賢者たちは今は居ない。
失われた魔法や武器防具も多い。
言いたくは無いが、プニーフタールは今や伝説のおとぎ話となり、当時に比べて人類は退化している。
人間により他種族は追いやられ、自分たちだけが大きく繁栄してきた。
エルフさえもほとんど見かけない、稀少な存在である。
今のこの状況でプニーフタールが甦っては、人間などひとたまりも無い。
最大種族の人間が滅びたら、プニーフタールに対抗できる者はこの世界には皆無だ。
幸か不幸か、今この世界にはネオジョルトが居る。
そして俺も偶然にも力を得る事が出来た。
勝てるかは判らないが、蹴散らされるだけの存在では無くなったのだ。
「プニーフタールに与していた事は許せんが、今はそんな事を言っている場合じゃない。プニーフタールの情報が欲しい。何でも良いんだ」
晃は少し沈黙してから静かに言った。
「それは、今でなくてはならんのか?」
なに。
「どう言う事だ」
「プニーフタールは俺にとっても利用価値がある。今倒されるのは困る」
俺は衝撃を受けた。
いずれこの脅威には遅かれ早かれ気付くだろう。
この繁華街が、大国も脅威を感じる存在になるのだ。
潰しにくるか、友好を結んで少しでも利益を獲ようとするか。
どちらかしかあるまいが、周囲の国の力関係から言えば、帝国内の一繁華街に対してへり下るとは到底考えられない。
となれば潰しに来るか。
規模で言えば巨象と蟻だ。
帝国と王国の二匹の巨象に挟まれた蟻に、頭を下げて友好を結んで欲しいなどと言い出す国は皆無だろう。
蟻は潰せば良い。
小さな商業エリアなど、政治的な圧力だけで潰せる。
軍事力を背景にするなら尚更だ。
そう考える筈だ。
だが果たしてそう上手く行くだろうか。
見た目はただの繁華街でも、中身は秘密結社ネオジョルトだ。
国軍本体を投入しても、恐らく返り討ちだろう。
つまり、この計画を阻止出来る者など居ない。
やれやれ。
やる前から勝利が約束されている戦いとは。
今回は俺の出番は無いな。
プニーフタールの件を追わせてもらおう。
「晃の『ベクターシード』は少し時間が掛かる。一週間ほど時間をもらおう」
オオムカデンダルが晃に言った。
「……判った」
「一週間で直せるのか」
ガイが呆れたように呟いた。
「ただの頑丈な鎧とは違うのにね」
ルガは感心したように目を輝かせる。
「九条晃」
俺は晃を呼び止めた。
「晃で良い」
「では晃。アンタはレイスやワイトと仲間だったのだろう?同じタイミングで帝国に召し抱えられていた筈だ」
「そうだな」
「プニーフタールについて聞きたい」
「……聞いてどうする?」
どうする?
しれた事だ。
あんな物を野放しに出来るか。
しかも、人類はあれと渡り合えるかどうかも怪しい状況だ。
かつての勇者や賢者たちは今は居ない。
失われた魔法や武器防具も多い。
言いたくは無いが、プニーフタールは今や伝説のおとぎ話となり、当時に比べて人類は退化している。
人間により他種族は追いやられ、自分たちだけが大きく繁栄してきた。
エルフさえもほとんど見かけない、稀少な存在である。
今のこの状況でプニーフタールが甦っては、人間などひとたまりも無い。
最大種族の人間が滅びたら、プニーフタールに対抗できる者はこの世界には皆無だ。
幸か不幸か、今この世界にはネオジョルトが居る。
そして俺も偶然にも力を得る事が出来た。
勝てるかは判らないが、蹴散らされるだけの存在では無くなったのだ。
「プニーフタールに与していた事は許せんが、今はそんな事を言っている場合じゃない。プニーフタールの情報が欲しい。何でも良いんだ」
晃は少し沈黙してから静かに言った。
「それは、今でなくてはならんのか?」
なに。
「どう言う事だ」
「プニーフタールは俺にとっても利用価値がある。今倒されるのは困る」
俺は衝撃を受けた。
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