見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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七五九

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「少し離れていろ」

 少年を子供たちの元へ戻すと俺はそう言った。
少年は力強く頷いて皆の元へと駆けていく。

 さてと。
ゴミ掃除だ。
ゆっくりと男たちを見回す。
もう援軍は来なさそうだな。
最初の想定通り、倒した奴と合わせてだいたい三十人弱だ。

「ビビるな、奴は一人だ!」

 誰かが叫んだ。

 おおおおお!

 同時に奴らの気勢が上がる。

 ドドドドドドドドドド!

 武器を振りかざして男たちが迫る。
俺は手のひらを奴らに向けた。

「サフィリナックスサンダー」

 五本の指先から、五条の稲妻光線が奔る。

 ガガーン!

 爆発と共に男たちが吹き飛んだ。

「ぐおあっ!」

「ぎゃああ!」

 断末魔を上げながら、即死、瀕死を問わず地面に叩き付けられた。

「ひ、ひぃー!」

 直撃を免れた男が、腰を抜かした。
俺は男を捕まえる。

「た、助けてくれ!な、頼む!金か?やる!お前に全部やるから!」

「ここは何だ。どう言う場所なんだ」

「そ、それは……」

「言え」

 俺は男の首に手を掛ける。

「まっ、待って!殺さないで!」

「それはお前次第だ」

「言えば殺さないか?」

「ああ」

「こ、ここは麻薬を作っているんだ」

 麻薬だと。
あんなに沢山か。
何人掛かりで袋を運ばせているのか。
あれが全部麻薬だと。
とんでもない量だぞ。

「まだ、試行錯誤の段階なんだ。純度を上げるのに量が居るんだ」

「貴様らにそんな技術が有るとは思えんな」

「お、俺たちはただの雇われだ。ピークを過ぎたが辞め損なった、貧乏冒険者の成れの果てだ」

 それにしちゃ悪党が板に付いていたな。

「こんな生活が長けりゃ人間も変わっていくさ。俺たちだって最初からこんなだった訳じゃねえ。ガキを拐って、目撃者やガキの親や、捜索に来た冒険者を沢山殺していくうちに慣れていくんだ」

 男はやけ気味にそう言った。

「雇い主は誰だ?」

「そ、それだけは言えねえ。勘弁してくれ!」

 この期に及んで、それが聞き入れられるとでも思うのか。

「じゃあ今死ね」

 男の首を片手で締め上げた。

「ぐっ!ま、待て……殺すな……!」

「駄目だな」

「お、お前も仲間になれば良い思いをさせてやる!金はたんまりもらえる!かなり儲けがあるんだぞ!お!女だって、誘拐部隊に入れば抱き放題だ!」

 拐って犯してこき使うってのか。
クズめ。

「その女たちはどこに居る。ここにはガキしか居ないだろう」

「よ、用が済んだら売り飛ばすなり好きにしろよ。殺しても飼ってもお前の思うままだ、ひ……うひひひ」

「……」

 つまり、ここに大人が極端に少ないのはそう言う訳か。
女は犯して、売り飛ばすか殺すと。

「も、もう良いだろ、離してくれよ!」

「駄目だな」

「な、なんで!どう言う場所か言えば殺さないって……!」

「気が変わった。ゴミを生かしておくと被害者が増えるからな」

「ひ、酷いじゃねえか!騙したな!この化け物め!人殺し野郎が!」

 お前がそれを言うか。

「その化け物が貴様みたいなクズとの約束を守る義理は無い。なんせ化け物なんだからな。だから安心してくたばれ」

「ああー!嫌だあー!死にたく無いぃ!母ちゃああんっ!助けてえ!」

 男はそう叫んで涙を流した。

「お前が殺した奴らもそう言ってたろ」

 俺はそう言うと、男の首を捻った。

 ごきゃっ

「んぅぐ!」

 短く叫んで男は動かなくなった。
即死とはいくまいが、首が折れては指一本動かせない。
声も発せず暴れもできず、死までの間、少しは後悔しろ。
俺は男をその場に捨てた。
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