見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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七七五

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 俺はセクトビートルに導かれ、どんどんと奥へと進む。
後ろからケンが続き、その後ろをアサシンが追う。

 突然セクトビートルが消えた。
外へ出たのか。
俺はセクトビートルの後に続いて走る。
突然明るくなった。
外に出たのか。

 俺は当たりを見渡す。
セクトビートルが頭上を旋回している。
どうやらここで正解らしい。

「なんだここは!」

 ケンも出て来た。

「来るぞ」

 俺は追ってくるであろうアサシンを待った。

「……?来ないな」

 ケンが首をかしげる。

「待ち伏せされていると知ってて、出て来るのを止めたのか」

 どちらにせよ、目的はヤツでは無い。
来ないなら放っておくべきだ。

「いくぞ」

「良いのか?後ろから挟み撃ちなんてご免だぞ」

「あんな雑魚挟み撃ちにもならん。放っておけ」

「……君は頼もしいな」

 ケンはそう言うと、俺と一緒に歩き出した。
セクトビートルがこの先だと言わんばかりに元気に飛び回る。

「しかしここは何処なんだ」

「判らん」

 レーダーでも自分の位置を特定出来なかった。
アニーからもこっちは探知できないらしい。
まったく別の場所と言う事か。

「うわあああん」

「ええん!うええん!」

 子供の泣き声が聞こえる。
どうやらここで間違いない。
俺は確信した。
何をしているかは知らないが、子供たちを誘拐した奴らがここに居る筈だ。

 俺とケンは気配を消して歩く。
特にケンの気配消去は見事だった。
勇者など辞めてシーフにでもなれば良いのにとさえ思う。

「ふふ。実は魔法も同時に使っているんだ。気配隠蔽は完璧だ」

 やはり魔法を使っていたか。
完璧すぎるなと思っていた。

「コンシール・セルフさ。スカウトの気配隠蔽技術と合わせれば、誰も僕を見付けられない」

 得意気に言うのは良いが、おしゃべりだなお前は。
見つかるぞ。

 子供たちの声が近付いてくる。
近いな。
俺は岩場から先を覗き見る。
岩壁に幾つも横穴が開いていて、そこに子供たちが押し込められているのが見えた。
鉄柵が施されていて牢のようになっている。

 いったい何名居るんだ。
とても王国内だけでこれだけ集められないだろう。

「予想外だ。こんなに居たのか」

 ケンがため息を吐く。
無理もない。
俺も予想していなかった。
これは全員連れて逃げるのは無理に等しい。

「どうしようか?」

「……こうなったら敵を全滅させてから堂々と出るしかあるまい」

 ケンが目を丸くした。

「本気かい!?どんな奴が、いったい何名いるかも判らないのに!」

「関係ない。ミノタウロスが番人でも、ケルベロスが番人でもやるしかあるまい」

「……ケルベロスは番犬だけどね」

「うるさい。つべこべ言うな」

 勇者のクセにこんなにおしゃべりなのはイメージと違いすぎる。
世が世なら頼もしい勇者って事になるんだろうか。

「でも君ならそう言うと思っていたよ」

 ケンが笑う。
一応、やる気はあるらしい。
だが、見張りらしき者は見当たらない。
ここは子供を閉じ込めておくだけの場所なのか。
さっきの女の子もここには居ないようだ。

 ピョン、ピョン

 足下にセクトホッパーがやって来た。
お前も来たのか。
頭上にはセクトパピヨンも居る。
三匹とも集合している。

 これなら地形の探査はグッと楽になる。

「頼む。ここのマッピングをしてくれ」

 俺がテクノセクトに頼むと、三匹は三方に散って地形の情報収集に向かった。

「それ便利だね」

「まあな」

「ふーん。君って本当に何者なんだ?」

「聞かない方が良い」

 俺がそう言うとケンは笑った。

「オーケー。今はそれで良いや」

 さて。
少しの間時間が出来た。
救出は後にするとして、女の子の居場所も特定したいが。

 背後にかすかな気配が現れた。
見なくても判る。
アサシンだ。

「……コイツは黙らせておく必要があるな」

 俺はゆっくりと立ち上がった。

「僕がやろう」

 ケンが同じく立ち上がる。

「いや、良い。騒ぎを大きくしたくない」

「なんだい。僕がうるさいとでも言うのかい?」

「実際うるさいだろうが」

「僕の方が気配は消せている。気付かれないなら僕が適任だ」

 ケンはそう言ってアサシンに向かった。
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