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七八九
例のエリアを出て、奥へと進む。
テクノセクトの作ったマップにも通路のような物がある。
階段から更に地下階へ。
降りきると唐突に辺りが開ける。
外かと思ったが違った。
地下洞窟か。
結構広い。
目の前に小さな川が流れている。
地下水路だな。
「なんだ。真っ暗じゃないか」
ケンは文句を言う。
「ライト」
だが魔法で明かりを確保するくらいは造作も無い。
たちまち辺りは照らされる事となる。
「この先かな。確か王城の地下に当たる奴隷用居住地区とか言ってたな」
俺とケンは川に沿って歩いた。
特にモンスターが出る事も無い。
トラップらしき物も無い。
「さすがにここまで侵入者があるとは想定していなかったみたいだね」
ケンが天井を見上げながら言った。
だが、俺は別の事を考えていた。
この先の子供たちを助けたら、それで終わりかと言う事を。
その後どうする。
帰る場所の無い子供たちも居る筈だ。
それを放り出せば、結局野垂れ死ぬ者も居るだろう。
あるいは別の悪党に食い物にされるかもしれない。
助けるのは容易いが、その先は難しい。
王国騎士団のケンに丸投げしても大丈夫なのだろうか。
あれこれと思案を巡らせる。
「おい。レオ」
突然我に返った。
「なんだ」
「何だじゃないだろ。ほら」
ケンに言われて先を見る。
人だ。
見張りか。
俺は立ち止まってその場でしゃがむ。
兵士じゃないな。
格好が王国兵士のモノでは無い。
また冒険者崩れのチンピラか。
まあ、こう言う仕事を王国兵士に命ずる訳にもいくまい。
使い捨てに出来るチンピラどもが適任だ。
その先には檻が並んでいる。
良く見ると中に子供たちがぎゅうぎゅうに押し込められていた。
「痛いよぉ」
「お父さぁん、お母さぁん」
「お家に帰してぇ」
子供たちの声が聞こえる。
野郎、ぶっ飛ばしてやる。
俺が立ち上がろうとしたその時。
がちゃ
巨大な手が現れ、檻を軽々と持ち上げる。
「うわあああん」
「きゃあああ」
子供たちが口々に泣け叫ぶ。
あれは。
トロール。
巨人族の血をひく巨躯、ザラザラで土色の肌。
長く垂れ下がった鼻、鈍く光る眼差し。
間違いない。
トロールだ。
なぜトロールが王国の地下に。
そんな俺の考えをよそに、トロールは檻を担いで停めてある船へと積み込んだ。
「結構な人数だね。思ったよりも大掛かりだ」
ケンが小声で言う。
確かに、この数は尋常では無い。
王国以外からも拐ってきているな。
相当な人数だ。
トロールは二つ、三つと檻を船へと積んだ。
「よし!この程度で良い。これ以上は船が沈んでしまう」
チンピラがそう言うと、トロールはピタリと動きを止める。
しつけてあるのか。
あのトロールを?
信じられなかった。
巨人族をしつけるなど聞いた事も無い。
俺は立ち上がるとゆっくりと近付いた。
ケンは黙って俺に付いて来る。
船がゆっくりと岸を離れる。
どこへ行く気だ。
「き、貴様ら!どこから入ってきた!」
男が同時に俺たちに気が付いた。
くそ、船が動き出す前に抑えたかった。
俺は小走りになると、チンピラに一撃繰り出した。
ばきっ!
「ぐあっ!」
軽く男をぶっ飛ばすと、俺は船を追った。
仕方が無い。
俺は船へと飛び乗ろうと、助走を付けて併走した。
ビュ!
とっさにかわして足下を見る。
ハンドアックスだ。
小型の投擲用斧が足下に突き刺さっている。
俺は頭を上げた。
「侵入者だ!侵入者が居るぞ!」
他にも居たのか。
だが、たいした事では無い。
二、三人ぶっ飛ばして船を追うだけだ。
「トロール!その男は侵入者だ!捕まえろ!」
チンピラの命令を受けて、トロールがこっちを見た。
トロールはマズい。
トロールは巨人族の血をひく。
いわば巨人族の眷族だ。
巨人は神々に匹敵する力を持つと言われる。
トロールはそれからだいぶ離れているとは言え、その力はかなりの物がある。
「レオ、気を付けろ!」
ケンが叫んで剣を鞘から抜き放った。
テクノセクトの作ったマップにも通路のような物がある。
階段から更に地下階へ。
降りきると唐突に辺りが開ける。
外かと思ったが違った。
地下洞窟か。
結構広い。
目の前に小さな川が流れている。
地下水路だな。
「なんだ。真っ暗じゃないか」
ケンは文句を言う。
「ライト」
だが魔法で明かりを確保するくらいは造作も無い。
たちまち辺りは照らされる事となる。
「この先かな。確か王城の地下に当たる奴隷用居住地区とか言ってたな」
俺とケンは川に沿って歩いた。
特にモンスターが出る事も無い。
トラップらしき物も無い。
「さすがにここまで侵入者があるとは想定していなかったみたいだね」
ケンが天井を見上げながら言った。
だが、俺は別の事を考えていた。
この先の子供たちを助けたら、それで終わりかと言う事を。
その後どうする。
帰る場所の無い子供たちも居る筈だ。
それを放り出せば、結局野垂れ死ぬ者も居るだろう。
あるいは別の悪党に食い物にされるかもしれない。
助けるのは容易いが、その先は難しい。
王国騎士団のケンに丸投げしても大丈夫なのだろうか。
あれこれと思案を巡らせる。
「おい。レオ」
突然我に返った。
「なんだ」
「何だじゃないだろ。ほら」
ケンに言われて先を見る。
人だ。
見張りか。
俺は立ち止まってその場でしゃがむ。
兵士じゃないな。
格好が王国兵士のモノでは無い。
また冒険者崩れのチンピラか。
まあ、こう言う仕事を王国兵士に命ずる訳にもいくまい。
使い捨てに出来るチンピラどもが適任だ。
その先には檻が並んでいる。
良く見ると中に子供たちがぎゅうぎゅうに押し込められていた。
「痛いよぉ」
「お父さぁん、お母さぁん」
「お家に帰してぇ」
子供たちの声が聞こえる。
野郎、ぶっ飛ばしてやる。
俺が立ち上がろうとしたその時。
がちゃ
巨大な手が現れ、檻を軽々と持ち上げる。
「うわあああん」
「きゃあああ」
子供たちが口々に泣け叫ぶ。
あれは。
トロール。
巨人族の血をひく巨躯、ザラザラで土色の肌。
長く垂れ下がった鼻、鈍く光る眼差し。
間違いない。
トロールだ。
なぜトロールが王国の地下に。
そんな俺の考えをよそに、トロールは檻を担いで停めてある船へと積み込んだ。
「結構な人数だね。思ったよりも大掛かりだ」
ケンが小声で言う。
確かに、この数は尋常では無い。
王国以外からも拐ってきているな。
相当な人数だ。
トロールは二つ、三つと檻を船へと積んだ。
「よし!この程度で良い。これ以上は船が沈んでしまう」
チンピラがそう言うと、トロールはピタリと動きを止める。
しつけてあるのか。
あのトロールを?
信じられなかった。
巨人族をしつけるなど聞いた事も無い。
俺は立ち上がるとゆっくりと近付いた。
ケンは黙って俺に付いて来る。
船がゆっくりと岸を離れる。
どこへ行く気だ。
「き、貴様ら!どこから入ってきた!」
男が同時に俺たちに気が付いた。
くそ、船が動き出す前に抑えたかった。
俺は小走りになると、チンピラに一撃繰り出した。
ばきっ!
「ぐあっ!」
軽く男をぶっ飛ばすと、俺は船を追った。
仕方が無い。
俺は船へと飛び乗ろうと、助走を付けて併走した。
ビュ!
とっさにかわして足下を見る。
ハンドアックスだ。
小型の投擲用斧が足下に突き刺さっている。
俺は頭を上げた。
「侵入者だ!侵入者が居るぞ!」
他にも居たのか。
だが、たいした事では無い。
二、三人ぶっ飛ばして船を追うだけだ。
「トロール!その男は侵入者だ!捕まえろ!」
チンピラの命令を受けて、トロールがこっちを見た。
トロールはマズい。
トロールは巨人族の血をひく。
いわば巨人族の眷族だ。
巨人は神々に匹敵する力を持つと言われる。
トロールはそれからだいぶ離れているとは言え、その力はかなりの物がある。
「レオ、気を付けろ!」
ケンが叫んで剣を鞘から抜き放った。
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