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七九九
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「ウオオオッ!」
ドカッ!
背後から強烈な体当たりを食らう。
ぶうん!
耳飾りの男目掛けて放ったパンチが、わずかにズレて飲み水の入った大きな樽を破壊する。
バコオンッ!
ざばざばざばざばーっ
水が辺りにぶちまけられる。
突然自分の頭が冷えるのを感じた。
モヤが晴れたように思考がクリアになる。
プラヴァケーションの効果が切れたか。
耳飾りの男は、慌てて俺の前からはうように逃げ出した。
ここは船上だ。
逃げ場は無い。
今、追いつめられているのはこいつらの方なのだ。
「なんだこいつ!?全然効いてないぞ!」
船員たちは段々と恐怖を感じて後ずさる。
こうなってしまった以上仕方が無い。
誰でも良いから捕まえて片っ端から吐かせるか。
「この船はどこへ行く」
俺はとりあえず男たちに問い掛けた。
男たちは顔を見合わせる。
「い、行き先の事か……?」
「そうだ」
「この船は……」
「待てよ!」
男が行き先を告げようとした瞬間に、別の男がそれを制した。
「口外したら俺たちは消されるぞ。黙ってろ」
なるほど。
念入りに口止めもしてある訳か。
「だったら今ここで俺に消される事になる」
俺は男たちにズイッと迫る。
「俺たちが全員消されたら、お前は行き先を知る事は出来ねえよ。船も一人じゃ動かせまい」
耳飾りの男の影響か。
少しは知恵が回る奴も居るな。
だが。
「残念だな。俺に船は必要が無い。どこまでも泳げるからな」
「!」
男の顔に動揺が表れる。
さすがに予想外の答えだったろう。
「だ、だが行き先は知れまい!」
「それはお前たちの体に聞く事にしよう。見せしめに何人か死んでもらおうか。幸いここにはたくさん居るからな」
我ながら悪党然としたセリフだ。
まあ、怪人なんだし別に良いが。
ひぃ、と言う声が後ろの方から上がる。
誰でも良いと言われれば、自分は餌食になりたくないと誰もが思う。
男たちは少しでも選ばれまいと、お互いに他人の後ろへと隠れようとする。
「な、なな、何なんだお前はっ!何が目的だ!」
誰かが声を上げた。
「この悪事の黒幕を知りたいだけさ」
「し、知ってどうする?」
「さあ、どうしょうか。一つ言いたいのは勝手に我々の国民をこき使ってくれた事に対するケジメを取ってもらおうか」
男たちの頭にクエスチョンマークが浮かんでいるのが判る。
なんの事かと互いに顔を見合わせている。
「我々の国民?」
先頭の男が聞き返す。
「お前たちが拐って勝手に労働力にしている人間だ。しかも麻薬を捌いて資金を得ている。我々の縄張りでだ」
男たちはポカーンと口を開けて俺を見詰める。
「は?アンタたちの国民?アンタたちの縄張り?何を言っているんだ」
やはり理解出来んか。
そりゃ、そうだろうな。
だが理解を求めるつもりも無い。
我々がそう決めたからそうなのだ。
帝国も王国もそこは同じだ。
皇帝が決めたからそうなのだ。
国王が決めたからそうなのだ。
何も違わない。
やれ法律だなんだとご託をこねても、結局は決めた事に合わせて後付けで法律を作っている。
オオムカデンダルが決めたからそうなのだ。
駄目だと言うなら止めてみれば良い。
所詮は力が決定する。
そしてその力を俺たちは持っている。
「お前らの同意など求めていない。さあ、どいつだ。見せしめになってくれる奴は」
俺は更に前へと出る。
「う、うわああああっ!」
追いつめられて先頭の男が一人、剣を振り上げて向かって来た。
ヤケになったか。
どかっ!
俺は片手で男を払い飛ばす。
「うわああああっ!」
男は絶叫と共に夜の海へと落ちていく。
「さあ、次は」
俺の問い掛けに、男たちは生唾を飲み込んだ。
ドカッ!
背後から強烈な体当たりを食らう。
ぶうん!
耳飾りの男目掛けて放ったパンチが、わずかにズレて飲み水の入った大きな樽を破壊する。
バコオンッ!
ざばざばざばざばーっ
水が辺りにぶちまけられる。
突然自分の頭が冷えるのを感じた。
モヤが晴れたように思考がクリアになる。
プラヴァケーションの効果が切れたか。
耳飾りの男は、慌てて俺の前からはうように逃げ出した。
ここは船上だ。
逃げ場は無い。
今、追いつめられているのはこいつらの方なのだ。
「なんだこいつ!?全然効いてないぞ!」
船員たちは段々と恐怖を感じて後ずさる。
こうなってしまった以上仕方が無い。
誰でも良いから捕まえて片っ端から吐かせるか。
「この船はどこへ行く」
俺はとりあえず男たちに問い掛けた。
男たちは顔を見合わせる。
「い、行き先の事か……?」
「そうだ」
「この船は……」
「待てよ!」
男が行き先を告げようとした瞬間に、別の男がそれを制した。
「口外したら俺たちは消されるぞ。黙ってろ」
なるほど。
念入りに口止めもしてある訳か。
「だったら今ここで俺に消される事になる」
俺は男たちにズイッと迫る。
「俺たちが全員消されたら、お前は行き先を知る事は出来ねえよ。船も一人じゃ動かせまい」
耳飾りの男の影響か。
少しは知恵が回る奴も居るな。
だが。
「残念だな。俺に船は必要が無い。どこまでも泳げるからな」
「!」
男の顔に動揺が表れる。
さすがに予想外の答えだったろう。
「だ、だが行き先は知れまい!」
「それはお前たちの体に聞く事にしよう。見せしめに何人か死んでもらおうか。幸いここにはたくさん居るからな」
我ながら悪党然としたセリフだ。
まあ、怪人なんだし別に良いが。
ひぃ、と言う声が後ろの方から上がる。
誰でも良いと言われれば、自分は餌食になりたくないと誰もが思う。
男たちは少しでも選ばれまいと、お互いに他人の後ろへと隠れようとする。
「な、なな、何なんだお前はっ!何が目的だ!」
誰かが声を上げた。
「この悪事の黒幕を知りたいだけさ」
「し、知ってどうする?」
「さあ、どうしょうか。一つ言いたいのは勝手に我々の国民をこき使ってくれた事に対するケジメを取ってもらおうか」
男たちの頭にクエスチョンマークが浮かんでいるのが判る。
なんの事かと互いに顔を見合わせている。
「我々の国民?」
先頭の男が聞き返す。
「お前たちが拐って勝手に労働力にしている人間だ。しかも麻薬を捌いて資金を得ている。我々の縄張りでだ」
男たちはポカーンと口を開けて俺を見詰める。
「は?アンタたちの国民?アンタたちの縄張り?何を言っているんだ」
やはり理解出来んか。
そりゃ、そうだろうな。
だが理解を求めるつもりも無い。
我々がそう決めたからそうなのだ。
帝国も王国もそこは同じだ。
皇帝が決めたからそうなのだ。
国王が決めたからそうなのだ。
何も違わない。
やれ法律だなんだとご託をこねても、結局は決めた事に合わせて後付けで法律を作っている。
オオムカデンダルが決めたからそうなのだ。
駄目だと言うなら止めてみれば良い。
所詮は力が決定する。
そしてその力を俺たちは持っている。
「お前らの同意など求めていない。さあ、どいつだ。見せしめになってくれる奴は」
俺は更に前へと出る。
「う、うわああああっ!」
追いつめられて先頭の男が一人、剣を振り上げて向かって来た。
ヤケになったか。
どかっ!
俺は片手で男を払い飛ばす。
「うわああああっ!」
男は絶叫と共に夜の海へと落ちていく。
「さあ、次は」
俺の問い掛けに、男たちは生唾を飲み込んだ。
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