澪峯国後宮秘水譚〜乙女の秘密は漏洩禁止!〜

紫藤百零

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側付きたる者毒味は必須!

招かれざる客

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 なんと間の悪い。やっと開放できると一度は思ったばかりに秘水おしっこが暴れている。音を立てないように、みっともなくバタつきそうになる足を固定して、代わりに外聞もなく思い切り手で秘所を押さえた。
 側付きは主の顔でもある。相手が誰であろうと弱みを晒すことはできない。

「星羅様、ご在室ですか? 春英貴妃付きの鳴莉めいりでございます」

 扉の向こうには貴妃の使い。失態は貴妃まで伝わり噂千里を走ることになるだろう。
 星羅は着乱れた衣を整え、名残惜しくも馬桶おまるを隠し、大きく深呼吸してから震えを抑えてなんでもない顔で扉を開けた。

「鳴莉様、どうなさったのですか? 生憎、どなたかを招けるような部屋ではないのですけれど」
「急に押しかけたのは私ですから、お気になさらないでください。すぐ済みますわ。
実は、四貴妃で亜琉皇后の歓迎茶会を開こうと計画しているんです」

 鳴莉はおっとり微笑んだ。表情とは裏腹に、案件の重要性は高い。
 四貴妃合同の茶会なんてそうそう開かれるものではない。非公式なものではあるけれど、下手な行事よりも重大な意味がある。
 全然すぐ済むような話ではないし、暴れ狂う秘水おしっこを制御しながら聞けるような話でもない。
 キュウキュウ収縮する膀胱を括約筋でねじ伏せながら、星羅は内心冷や汗をかいていた。どうにか別に日に持ちこさないと、今度こそ人前で決壊してしまう!

「まあ、それはありがたいことですわ。けれど、そんなにすぐ済む話かしら?」
「ふふふ。だから、今日は四貴妃の間で取り決めた資料を持ってきただけなの。これを頭に入れてから、側付き同士で話し合いましょう」

 そう言って紙の束が差し出された。宴ほどではないにしろ四貴妃が揃う茶会ともなれば、事前の取り決めは多岐にわたる。それに相応しい分厚さだった。
 びくびく震える内腿を無視して、星羅は資料を受け取る。動いた衝撃で少し出てしまったけれど、まだ足をつたっているからセーフということにしておく。スカートで隠せているはずだ。資料の受け渡しだけで終わるなら、耐えられるはず……! たぶん、きっと。

 そんな星羅の有り様を気づいているのかいないのか、鳴莉は人好きのする笑みをたたえたまま続けた。

「私も少しだけシトーレン人の血を引いているんです。わからないことがあれば聞いてくださいね。きっと力になりますから」
「異国の地で、同朋の血を引く方に出会えるなんて……。お気遣い、ありがとう存じます。春英貴妃にもよろしくお伝えください」
「ええ、もちろん。よい茶会にしましょうね」

 鳴莉が去るのを見送ると、星羅は外面をかなぐり捨てて全力の我慢にかかった。
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