澪峯国後宮秘水譚〜乙女の秘密は漏洩禁止!〜

紫藤百零

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商人妃のお茶会戦線!

幕間〜撤退、その後〜

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 お茶会室を出たとしても、そこはまだ上級妃の宮の中。
 寧珠ねいじゅの住む中級妃の宮までは隣接しているといえど距離がある。
 そして、お茶会室を出てすぐの場所は、いつほかの上級妃と遭遇するかわからない。
 そんな場所ではあからさまに出口を抑えるようなことも、緊急退避もできはしない。

「ぅう……ふ、はっ…………」

 息を荒げて必死に決壊を留める寧珠を侍女が鼓舞する。

「寧珠さま、もう少しです。上級妃の宮を抜けたら庭園があります。そこなら身を隠せるところがありますわ」

 通常ならばありえない提案にすら、言葉を返す余裕はもはやない。
 内股で身を捩る様は誰が見ても秘水おしっこを我慢していることが明白だ。
 宴のときに無理に移動させようとして大決壊を引き起こさせてしまった侍女は、軽く促すことしかできないでいた。

 決壊を何度も留めた寧珠の内腿は痙攣し、留めた分生じているおちびりでぐっしょり濡れている。
 その跡はスカートにまで及んでいた。

 せめて庭園まで。上級妃の宮では不浄場トイレは借りられない。
 もう寧珠の頭には、秘水おしっこを解放することしか頭にない。

 ――中級妃の宮まで、きっと我慢できません。もう馬桶おまるにするしかありませんわ。はやく、庭園へ。秘水おしっこしたい。はやく。秘水おしっこ……。

 そんな状態で尿意の波に襲われたらひとたまりもない。

「ひぅっ……! んんんんっ」

 しょろろと出てしまったおちびりは今までで一番の量。
 寧珠は思わず両の手で出口を押さえつけた。
 それでも足りないとばかりに、両手ごと足を交差させ締めつけて、負荷のかかりやすい位置を探して身を捩る。
 そのかいあって波をやり過ごすことに成功し決壊だけは免れたものの、手の周りの変色は失敗を突きつけていた。

「はぁ……あと少し……もうすぐ…………うぅ……」

 宮の出口がようやく見えてきた。
 限界が近い寧寿の身体は理性に反してもはや上級妃の宮でなければよいと認識し始めていた。

 それゆえ起こりうるべくして起こったといえよう。

 上級妃の宮を出たその刹那、わずかに生じた気の緩み、されど限界を行き来する身には致命傷。
 緩んだ栓から溢れたおちびりに、再び栓を閉めることあたわず。
 決死の思いで決壊を止めんと括約筋に集中したとて、わずかばかり出力が抑えられるにすぎず、漏れ出す水流は止まらない。
 ついには立っていることさえできなくなり、あわれ足の力を失い水たまりの上にぺたりと座り込んでしまった。

「あ、いやぁ…………うぅぅ……ぁ…あぁ……」

 敗北。妃どころか正真正銘の淑女失格。
 不浄場トイレでもなく馬桶おまるですらない。上級妃の宮の入口正面。
 言い訳のしようもない「おもらし」だ。
 寧珠の下の恥ずかしい水たまりは、なお大きくなっている。
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