召喚聖女は耐えられない〜おしっこが魔力ってマジで言ってんの〜

紫藤百零

文字の大きさ
5 / 6

薬の威力

しおりを挟む
 利尿剤基、魔力回復薬の効果は絶大だった。

 用意されていた聖女の部屋は離宮にあるため、儀式を行っていた迎賓館からは馬車での移動になる。

 馬車に乗り込んだ時にはもうトイレに行きたかったけれど、ここにあるのはあのおまるもどきだけ。
 それに、さっきそのおまるに世話になったばかりで、またしたいなんて初対面のお姉さんに言えるわけがない。

 でも、馬車は私が思ってる以上にずっと過酷だった。

 自動車とは比べるのも可哀想なほど揺れた。文明に感謝を捧げたくなるほど揺れた。
 その衝撃が容赦なく膀胱を揺らし、疲弊した括約筋を揺さぶった。

「ふっ……うぅ……」

 しわくちゃになるまで握りしめた制服のスカートの中は、すでに温く湿っている。
 気を逸らすようにすり合わせる膝も、もはや気休めにしかならない。

「サヤカさま、ご気分がすぐれませんか?」

 アネッサさんが心配そうに顔色をうかがっている。我慢してるなんて一つも気付いてない様子にカッと赤面した。

 この国の人たちは、「トイレ」という言葉が存在しないほど排泄をしないらしい。
 回復薬を飲んだとはいえ、まさかついさっきおまるひたひたのおしっこをしたばかりの私がまた我慢してるなんて選択肢にものぼらないのだ。

「あ、わた、私…………ああっ……」

 じゅっ……と新たなおちびりが内股を濡らし、言葉が止まる。
 咄嗟に背を丸めてお股を押さえる。はあはあと荒い息を吐き出して、その衝動を抑え込むことに全霊を捧げる。

 こんなにあからさまなのに、アネッサさんは本気で馬車酔いだと思っているようだった。

「もう間も無く離宮に到着しますわ。すぐにお休みになれるよう寝台を整えさせましょう」
「や、ち、ちがっ……!」
「無理なさらないでください。私はサヤカさまのお世話係です。体調不良を隠す必要などないのですよ」
「ほんとに違くて……! おしっこ! おしっこしたいの!!」
「え?」

 アネッサさんは取り繕いもなく目を丸くした。

「漏れちゃ、あ、……やぁあっ!」

 馬車が跳ねた衝撃でじゅじゅとおしっこが溢れ出た。スカートまで染みてきていて、もはや一刻の猶予もない。
 指で蓋をするようにぴっちり出口を押さえて、足をバタつかせる。恥も外聞もない全力の我慢。

「まあ、本当に素晴らしい魔力量ですわ。流石聖女さま」

 悠長に感心している場合じゃないのに! そもそもあなたが飲ませた薬のせいじゃない!
 八つ当たり気味な文句は次から次へと浮かんでくるけれど、それを口にする余裕はかけらもなかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?

九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。 で、パンツを持っていくのを忘れる。 というのはよくある笑い話。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

野球部の女の子

S.H.L
青春
中学に入り野球部に入ることを決意した美咲、それと同時に坊主になった。

自習室の机の下で。

カゲ
恋愛
とある自習室の机の下での話。

パンツを拾わされた男の子の災難?

ミクリ21
恋愛
パンツを拾わされた男の子の話。

熱のせい

yoyo
BL
体調不良で漏らしてしまう、サラリーマンカップルの話です。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

私の推し(兄)が私のパンツを盗んでました!?

ミクリ21
恋愛
お兄ちゃん! それ私のパンツだから!?

処理中です...