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1章 少年期
魔女との出会い3
しおりを挟む「私はあいつらと出会った時には既に魔女として1人で生きていたんだ。今から300年ほど前に国中から魔女として戦力に数えられるようになったんだが、道具みたいな扱われ方が嫌で逃げ出したんだ。そこで出会ったのがマルコとルカだ」
「マルコとルカは当時最強の魔女と言われていた私と同じくらい強かった。いや、私よりも断然強かったな。私は魔眼を持っていたからあいつらが神の加護ってやつを持っているのは知っていたが、あえてそれが何なのかは聞かなかった。お互い余計な詮索をしないで気ままに旅していたのが楽しかったんだ。けど2年の月日が流れて、初めて他の使者に出会った」
「私たちはそいつが使者だってことには気付いていたけど、そいつは何も気付かずに私たちに接触してきた。マルコとルカは気付いてないならいいかと、そいつも含めて4人で旅を始めたんだ」
「そして月日が流れてマルコとルカ、私ともう1人の使者は恋仲になっていた。でもそこで私は言ってしまったんだ『これで私も使者の仲間入りかな?』って冗談でな。そしたらな、始まってしまったんだよ殺し合いが」
「意味が分からなかったよ。私のその一言であいつが狂ったんだ。みんなで必死に無力化しようとした。けどマルコの一撃で死んじまった。私は涙も出なかった。意味が分からなくて呆然としてたんだ。最初はマルコを恨んで殺そうとも思った。けど、使者のことをちゃんと聞いて悪いのはあいつだったんだって分かった」
「けど納得できたわけじゃなかった。だから私は2人とそこで別れてそれぞれの人生を歩んだんだ。あいつらはその後国王となって国を治めた。私はもう誰とも関わりたくないし、もし関わりを持っても情を持ってはいけないと決心して現在もこんな所に住んでいるんだ」
ふむ、やはり使者同士の殺し合いは起きるのが普通だと思っていた方がいいな。
それにしてもこの魔女、思ってたよりもすごいやつだったな。
「過去の使者様とパーティを組むほどの魔女様だったんですね。すごいです」
「過去の話さ。さて、私の過去話はこれぐらいでいいだろう。他の使者がどういうスキルを持っていたのか、どうやって戦うのか、そういうのをクリシュは聞きたいんだろう? 次ここに来た時にでも話してやろう。今日はこれだけ持ってきな」
デイスはそう言って、俺に首飾り、アリスに杖を渡してきた。
「これは何だ?」
「私は魔眼で失敗したからね、あいつらの後継者には同じような殺し合いをできればして欲しくないのさ。とは言ってもお前が戦争に勝つには使者を殺して貢献ポイントを稼ぐのが1番手っ取り早いだろ? だからお前を応援してやるものとしてそれをやる。アリスにはついでだ」
隠蔽の首飾り
・レア度8
・他人からステータスを見られてもユニークスキルだけは隠蔽する
聖王の杖
・レア度9
・治癒魔法、付与魔法のMP消費半減
・魔力を30%上昇させる
「こんな高性能の装備品と武器なんて貰っていいのか? それに応援してるって俺をか?」
「いいんだよ。私には必要ないからな。お前の前任者達とは親友だったんだ。どうせ戦争するならお前を応援するのは当然だろ?」
「そうか、ありがたく貰っておく」
「ありがとうございます! でも恋仲だった相手の人の後継者じゃなくてクリシュ様なんですか?」
「使者ってのはね、自分さえ勝てれば相手がどうなろうと関係ないってやつばっかなのさ。けどあいつらは違った。一緒に行動してるのが使者だって分かっていても友達として振舞っていた。私はね、クリシュにそういう風になってもらいたいと思っている。それに私はここを出るつもりはないからあいつの後継者には出会えないだろうしね」
「俺は他の後継者に会って、勝てるようなら殺すぞ?」
「ふん、どうだかね。まぁいい、今日はここまでだ、話の続きが聞きたかったら転移ではなく、自分の足でここまで歩いてきな。そしたら教えてやる。転移でここまで飛んできたら魔物のエサにしてやるからな」
「なるほど、周囲にはSランク超えの魔物ばかり……知りたければ実力をつけてからってことだな?」
「そういうこった。今日はもう魔物狩りは十分だろう? 森の入り口まで送ってやろう」
こうして俺たちは魔女との邂逅を果たしたのだ。
「すごい人ですね長距離転移も使えるし、元使者パーティの一員だったなんて」
「話はちょっと重かったけどなー」
「私はどんなことがあってもクリシュ様をお守りしますからね!」
「あ、あぁ、頼むよアリス。それにしてもデイスはユニークスキル3つも持ってたな……ってことは俺やアリスも後天的にユニークスキルが付く可能性もあるのか?」
「だとしたら今度こそ戦闘系のスキルが欲しいです!! 戦闘で危険なのはいつもクリシュ様ですから……」
「アリスがいるから俺は思う存分戦えるんだけどな? まぁ今後の一応の目標はあいつの元へたどり着くこと。それと俺のレベル上げだな」
「そうですね、私のせいでクリシュ様のレベルはそこまで上がってないですし、私が付与魔法をクリシュ様につけて、クリシュ様が討伐する方向でいきましょう」
「あぁ、よろしくなアリス」
「はい!」
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