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3章

第23話 因果

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王立騎士魔導学院ウェルウィッチア
剣術闘技場

実践剣術大会トーナメント
学年主席決定戦
コナーVSノア

コナー「フフフ、カーリンさんには珍妙な策で勝利したみたいだけど・・・・・・僕にその小手先の精霊魔法が通用するかな?」
ノアを完全に見下してニヤ付くコナー。

ノア「お前を地に足つけてやる、傲慢猫ごうまんねこ

ライル「これより学年主席決定総当たり戦『A組コナー』VS『C組ノア』を開始する!」「両者準備はいいな・・・・・・」

にらみ合う、ノアとコナー。

ライル「それでは・・・・・・」「・・・・・・」「はじめっ!!!!」

コナーに突進するノア。
右手を前に差し向けるコナー。

グレイン『あのポーズは・・・・・・!?』

ノアの剣がコナーに届く寸前
「バーーーーン!!!」
地面に叩きつけられるノア。

ノア「くっぅーー!!!」
伏せた状態から動けない。

グレイン「やっぱり・・・・・・」
テル「重力魔法・・・・・・厄介だね・・・・・・」
ミック「もう、神霊魔法は反則で~♪」

コナー「フハハハハハ!!!!」「無様だなぁ、ノア!!!」
ナイトソードを振りかぶるコナー。

グレイン「まずい・・・・・・!!!!」
ールール3:地面に手を着いた状態で相手の剣を受けると敗北となるー

ノアに迫るコナー。早々に決着がつきかねない状況。
コナー「簡単過ぎて笑いが止まらないよ!!!」「ハハハハッ!」

ノア「全開放・・・・・・」
ノアの身体を中心に衝撃波が発生する。
コナー「なんだ?」
重力魔法を維持しながら少し距離をとるコナー。

ノアの全身に黄色い光がまとう。
剣を突き、立ち上がるノア。

コナー『馬鹿な・・・・・・』

グレイン「・・・・・・立ち上がった!?」
ニコ「・・・・・・全魔力を放出して身体強化と筋力補強に振り向けたんだね」
ユーリ「だが、いくらノアでも長くは持たないはずだ・・・・・・」

ノア「フフフ、どうだ・・・・・・コナー」「重力魔法破れたり・・・・・・」
コナー「ッーーーー!」

「キィイーーン!!」
超重力圏ちょうじゅうりょくけんの中で高速接近し、コナーに切りかかるノア。
コナーと鍔迫り合う。
それと同時に重力魔法は消える。

ノア「やっぱりな・・・・・・お前」「その魔法、集中してないと使えないんだろ」
コナー「・・・・・・!」

ノア「複数掛け合わせるのも無理とみた!」
コナー「チッ!!」
ノア「多人数制圧には向いているかもしれないが、各個撃破には向かないなぁ」
コナー「くぅ・・・・・・」
顔が引きつるコナー。

コナー「ええぃ!」
ノアの剣を弾き、上空に舞い上がるコナー。

コナー「いいだろう!」「お前にはもっと恐ろしいものを見せてやるっ!!!」
右手を頭上にかざすコナー。
コナー「展開・・・・・・!」
一瞬まぶしく光り、闘技場の中空に巨大な魔法陣が出現する。

グレイン「な、なんだあれは!?」
ミック「はい、反則ぅ~♪」

魔法陣の下に、切っ先を地に向けた無数の光の剣が現れる。
ノア『・・・・・・?!』

コナー「串刺しになるがいいっ!!」
光の剣が雨の様に降り注ぐ。
ノア「ちっ!」

「カッカ、キン、カッカカキ、カッカカカカ・・・・・・」
剣を高速で動かし、迫る剣をひたすら打ち落とすノア。

コナー「ハハッ、いつまでもつかなぁ~!!?」
ノア「くそっ・・・・・・」『本人を攻撃しないと意味がない・・・・・・』

降り注ぐ光の剣を弾きながらコナーに向かって走るノア。
ノアのナイトソードが緑色に発光する。

ノア『木精光線もくせいこうせん!』
遠距離からコナーを狙い打つノア。

コナー「無駄、無駄ぁ~!」
緑の閃光をひらりとかわすコナー。
コナー『ふふ、ノアのやつ・・・・・・本来、木精魔法リーフラで発揮できる出力の1/3も出ていないぞ!』

上から降り注ぐ剣を防御し、その切れ目に木精光線もくせいこうせんを放つことを繰り返すノア。
しかし、コナーには当たらない。
コナー『どうだ!この機動力!!これぞ妖精キャットシーの真の姿!!』『見惚みほれるがいい!!!』
ノア『ちっ、ハエのようにちょこまかと・・・・・・』

コナーの真下に到着するノア。
コナー「あ?」
ノア「お前の真下に立てば光の剣は放てない!」
コナー「・・・・・・」
ノア「自分に当たるもんなぁ」

グレイン「まあ、単純な話だな・・・・・・」

コナー「ちっ、だからなんだ」「貴様が有利になる訳でもな・・・・・・」
コナーの目の前に飛び上がるノア。

コナー「!」
ノア「・・・・・・喰らえ!」
渾身こんしんの回し蹴りをコナーに叩き込む。
コナー「ぐはっ!!」

「ドーーーーン!!」
地面に叩き落とされるコナー。
土煙が上がる。

コナー「くそが!!」
直ちに復帰し、起き上がる。

「キィーーン!」
追い打ちをかけるノア。容赦なくコナーに切りかかる。

地上でノアとコナーの高速剣撃戦こうそくけんげきせんが始まる。

「カカカッカカ、キーーン、カキカカ、カカカ・・・・・・」
目にも止まらぬ速さで切り合う2人。
火花が散る。

強烈な膝蹴ひざげりをコナーにたたき込むノア。
コナー「ぅグッ!!」
体術と剣術を巧みに組合せコナーを追い込むノア。

グレイン「ノアの土俵どひょうに入ったな・・・・・・」
テル「うん、これなら勝てるかも」
ミック「いいぞ~ノア~!」「やっちまえ~!」

ノア「フンっ!」
コナー「ぅガッ!」
ノアの左手ストレートが顔面にヒットし、コナーが吹き飛び転がる。

震えながら手を着き、起き上がるコナー。
コナー「くそがっ・・・・・・」
唇から血がこぼれる。
ふと、何かを思い付きニヤリとするコナー。

コナー「ハッ、どうだ!」「これで手も足もでまい!!」
場外の側溝の上に舞い上がるコナー。

グレイン「逃げたな、あいつ」

コナー「ふふふ、僕は浮遊しているからルール1は一切関係ない!!!」
ールール1:場外の側溝に落ちると敗北となるー

コナー「さあ、どうするかなノア君?」
ノア「・・・・・・」

生徒A「ずるいぞ、コナー!」
生徒B「ブー、ブウー!」
生徒C「堂々と戦えー!」
A組とC組の男子生徒を中心にブーイングが飛ぶ。

グレイン「A組の生徒からもブーイングがとんでるぞ・・・・・・」
ミック「あいつ、自分のクラスの奴らからも嫌われてるのか~」
テル「まぁ、容易に想像つくけどね・・・・・・」

コナー「黙れ!下民ども!!」「ルール違反ではないっ!!!」

ノア「フフ、フフフフ・・・・・・」
不気味に笑い出すノア。
コナー「・・・・・・な、何がおかしい!!」

その場で飛び上がり、両手で剣を持ったまま縦方向に高速回転し始めるノア。
コナー『な、何をする気だ・・・・・・』

すると、ノアの剣先から長い光の板が一瞬で形成される。
コナー「なっ!?」
それが高速回転でコナーの頭上に迫る。

「バッコーーン!!!!」
闘技場の側溝に虫のように叩き落とされるコナー。

「ドオォーン!!!」
側溝の床に激突するコナー

キャロル『うわぁ・・・・・・』

ミック「ナイスショット~!」
握った手で腕を振るミック。
テル『・・・・・・ハエたたき』

コナー「かっー・・・・・・」
側溝の床でピクピクと痙攣けいれんするコナー。

ライル「そこまでっーー!」「勝者、C組ノアァーーー!!!」
どっと歓声と拍手が起こる。

喜びに沸くC組。

カーリン「当然よっ!」
ミック「いいぞ~!ノア!!」
グレイン「流石だ、ノア!!!」

A組の生徒も歓喜を上げる。

生徒A「よくやったーノア!!」
生徒B「スカッとしたぜ~!」

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王立騎士魔導学院ウェルウィッチア
副学院長室

水晶通信機でニャータ学院長と話すマーガレット副学長。

ニャータ「すまん、おさえきれんかった・・・・・・」「魔導審問官まどうしんもんかんが1人派遣された」
マーガレット「いつ来るんですか?」

ニャータ「今日じゃ・・・・・・」
マーガレット「キョーう!?」「今はトーナメント期間中ですよ!」「どう対応すれば!?」
窓の外に航空機が見える。
マーガレット『・・・・・・あれか?!』

ニャータ「いや、今回、審問官は審問対象を絞っているらしい」
マーガレット「だ、誰なんですか対象は?」

ニャータ「マーク先生じゃ・・・・・・」
マーガレット「よりにもよって・・・・・・見る目がないとしか・・・・・・」
ニャータ「じゃが、これで学院運営への影響は限定的で済む」「マーク先生には受けて立ってもらうほかない・・・・・・」

マーガレット「分かりました・・・・・・ああ、マーク先生に更なるご負担が・・・・・・」
ニャータ「謝っておいてチョ」
マーガレット「フンッ!」「役立たずじじい!」
憤慨し通信を切るマーガレット。

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王立騎士魔導学院ウェルウィッチア
マークの研究室

?????「魔導審問官まどうしんもんかんのグレイセルだ!」
灰色髪オールバックの体格のいい中年魔導士がマークの前に突然現れる。
先端に巨大な魔晶石ましょうせきが付いた杖を所持している。
背後に2人。部下と思える人物が控える。

マーク「・・・・・・」

グレイセル「マーク・グリフィン・マクマーシェン!」「貴様に一連の事件の嫌疑がかかっている!」
指を指し、堂々と宣言する審問官グレイセル。

マーク「それはそれは・・・・・・冤罪えんざいですね」
グレイセル「この学院でお前が最もあやしい人物だ!」
マーク「全く心当たりがない」
笑顔で答えるマーク。

グレイセル「問答無用!」
そう言うとグレイセルは杖で床を突く。
一気に異空間に誘われるマーク。

マーク「ここは?」「と言っても私は・・・・・・目が見えないので感覚の違和感ですが」
グレイセル「ここは審堂宮しんどうきゅう
「私の亜空間魔法あくうかんまほうで創られた外部から隔絶された空間」
豪華な建築物の大広間のような空間が、2人を中心に天地関係なく、ゆっくりと回転している。

グレイセル「ここで全て吐いてもらううぞ!!」
マーク「吐くものなんて有りませんが・・・・・・そちらがその気なら応戦するほかないでしょう」
普段、安全確認に使用しているL字型のマークの杖が発光する。
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