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十七話 悪夢から目覚め

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先日、保護したリーフィ種が極度のストレス状態となり、瀕死状態。同じ種のリーフィ(ファミリー)の保護を緊急要請。

【依頼主】
魔物保護協会局長 メーデル

【報酬】
親クラスを一体保護してくださった冒険者様には特殊スキル用スロットルコインを1枚贈呈。

【終了条件】
ファミリーが5組教会に引き渡した時点で終了。


この緊急依頼(イベント)はプレイヤーのみに発行され、進行された。
このイベントに即座に参加し、業績を上げたのは悪魔種族のケージだった。


「メーデルさん!連れてきた!!リーフィちゃんは?!」
『君が第1号よ!!保護したリーフィ達に事情説明して、すぐに医務施設に向かわせて、ジェット!』
『分かっている!!』

アルトがまず保護されたリーフィファミリーの親格に説明を行い助けを求める。

『ーというわけで、助けて欲しいのだ!』
『勿論です。我々を助けてくださった人種様にお聞きしました。ハンターのせいでその子は1人で辛い思いをしたのですね。今は不安で苦しんでいるはずです。私がお力になれることが嬉しい。すぐに合わせてください!』


~~悪夢の冥丘~~

暗闇です。目が覚めても暗闇です。
炎に追いかけられる夢です。
イベントなんだろうなってわかるんですが、この悪夢イベはいつ終わるんでしょう。きっかけがわかりません。
炎は寝る前のアレなのはわかりますが…。
長いです。ひたすらに長いです……

しかし、ようやくそのイベントも終わってくれるようです。

長い長い暗闇空間から離脱できたのは、何がきっかけなのか、私が何か条件を満たしたからなのか定かではありません。ですが、ようやく解放され、眩しい世界に目覚めた事は現実味がありました。

そして、目が覚めると…とっても不思議なことに私がいました。
「フィー…?」
『初めまして、私はあなたと同じ種のリーフィ種です。あなたを助けにきました。』

同じ種というのはわかりましたけど、まだ体が重いです。もう少し眠らせてください。夢の中という設定とかそういう状況下だったのかもしれませんけど二度寝したくなるような状況と似てます。

「フィ……」
『疲れているのですね。でも起きて、あなたのことを心配している人たちがたくさんいます。あなたの親御さんのことは聞きました。もう、大丈夫ですよ。』

見た目少し大きなリーフィは私をツルで覆い始めます。なんでしょう。とても暖かくて落ち着きます。体が軋んでいるような痛みもあったのにそれも無くなります。治癒魔法の一種でしょうか。太陽のように暖かい光です。

『さ、次は声を出す練習ですよ。あなたの意思を皆さんにお伝えしてください。貴方は生まれる前に名前を授かっているはずです。教えてください。』

ツルには枝分かれした大きな葉があり、それが手のように頰を優しく撫でます。

名前を強く念じる。
それだけでいいと言われて自分のプレイヤーネームを絞り出すように思い込むと久しぶりに口笛ではない私の声が小さく響いた。

『……リ、リア』
『…っ!とても可愛らしいお名前です。よく頑張りましたね…もう大丈夫ですよ。』
『ねむ…』
『そうですね、眠って良いですよ。ゆっくりお休みなさい。』

二度寝の誘惑というのには負けてしまい、そのまま眠りに落ちる。

(プレイヤーを起点としたイベントって初めてしたけど結構いいわね。またやろうと提案しましょっ。)

急遽発行されたイベントの対応に当たっていたのは運営の人間であった。不遇に見舞われたプレイヤーに対するイベントは発生する予定ではあったものの先にAIが判断して依頼を上げようとした事に対応するためのNPCの準備だったりが間に合わず運営の人間が動くことになったのである。

念話を覚え、疲労回復のための眠りについたことを心配そうに
『…念話を覚えたのか?』
『えぇ、これで意思疎通の問題もありません。疲労回復のための魔法も使いました。この子の家となる場所はどこなのでしょう?』
『……リーフィの普通を我々は知らんのだが、普段はどうなのだろうか。』
『住処ですか?まあ、地面があればどこでも…日当たりがよければ良いですね。緑の多い場所で擬態して眠るのが普通ですが…』
『そいつは地中で眠っていてな…』
『え?地中で?……どこか案内をお願いしても?そこに私のファミリーも移動します。』
『わかった』

中庭に案内されて、緑も少しはあることを確認。緑を増やしてもらえそうかお願いしておく。
ジェットが離れていくのを見守った後どこにあるのかと探してみるも入口らしき場所は見当たらない。辛うじて地中に空間があることが察知スキルで分かったくらいであった。


『ここの地中…』
『マザー、地中に空間あるよ』
『マザーて呼ぶのやめてキモい』
『お母ちゃま』
「NPCは居ないんだから、普通にしてクビにするわよ」
「ラジャ」
「班長、俺ら掘るスキル持ってませんけど。」
「サーチでなんとなくわかるくらい。」
「この子が特殊スキル持ってるのはわかったけど、あまり深く関わるのダメて言われてますし…」
「……バレなきゃいいのよ」
「録音しました。」
「班長のせいにします」
「……連帯責任よ」
「「「えー」」」

にしても、地中にお邪魔させてもらいたいわね。気になるわ。
ちょっと裏技使いましょう。ログは後で消せばいいわ。

『念話に戻して、プレイヤーを起こすわ』
『何する気…』

すぐ耳元で1番うるさいと言われるアラーム音が響く。その音に誰でも目覚めるだろう。
運営特権をフルで使用する彼らはこうして二度寝姫のリリアを叩き起こした。

『ふぇ?!』
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