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第五話
⑭
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「デジャヴ?それのことですか?」
「そんなことじゃねぇかな、って思っただけだ。本当に記憶が戻ったのであれば直ぐに教えてくれよ」
「分かりました。ありがとうございます」
「あぁ、俺はお前達を守るからな、安心しろ」
「ねぇおじさん。これから何処に向かうの?」
「これから都内の警視庁に戻り報告や上の幹部の人と軽く話す。明日から取り調べだ。」
「そうなんですね……東京か……」
「東京、初めてなのか?」
「……。」
「すまん、何でもない。もし、空いた時間があればちょっと観光してみるか?」
「観光?でも私達、お金無いよ……」
「俺の奢りだ。気にすんな、施設入られてから初めての外出なんだから楽しくいこうぜ」
「じゃあ……何処に行きますか?」
「そうだな……銀座とか浅草行ってみるか……」
「夜の街って結構危ないんじゃないんですか?」
「そんなこと気にしていたらいつまで経っても独り立ち出来ないよ、俺と言う警察官も一緒に居るから心配すんなってよ」
「でも、私少し頭の方に耳が生えていて……」
「そんなの帽子被れれば問題ないだろ……余っているやつ貸すよ」
「あ、ありがとう……」
運転手は後ろを振り向いた。
「警部さん、まずは服を買ってやってくださいよ。この子達囚人服みたいで可哀想ですよ」
「なるほど、服か…運転手さんありがとよ」
「そこのお二人、まず服屋に行こうか」
「服屋!?好きな服買ってくれるの?」
「あぁ勿論だ。出所祝いとして買ってやるよ!」
「出所祝いって囚人じゃないんですよ、警部」
「あんな施設に囚われたんだから出所って事でいいだろ、さてお嬢ちゃんどんな服が欲しい?」
「えーとね……分からない」
「分からない?あ!そこのポケットにタブレットあるから調べてみてよ」
彼女は前の席の後ろに付いてあるポケットを探す。すると銀色のタブレットを見つけた。
「電源ボタンを押せば起動するから問題無いよ」
「ありがとう、おじさん!」
「おう!任せてくれよ」
警部は少し照れて頭をかいた。それにも動じず、主人公はただひたすら景色を見続ける。ボーとしているのか、真剣なのか分からない。
「そこの少年、彼女と一緒にタブレット見なくて良いのか?」
「大丈夫ですよ」
「これから服屋に行こうと思っているんだが、外には何かあるのか?」
「初めて地上に出ましたから、景色を楽しもうと思って……」
「そうか……じゃあ俺の話を聞いているんたんだな?」
「勿論です。服屋よってから警視庁、終わって時間あったら何処か東京観光ですよね」
「そうだな。聞いてるんだったら返事ぐらいしてくれ」
「すみません……」
主人公は彼女の持っているタブレットを覗き込む
「見せて」
「良いよ、最近はこんなのが流行りなんだって」
「へぇーなかなかお洒落だね」
「私もそう思ったなの、今寒いからコートやダウンとか良いんじゃない?」
「良いね!それこらマフラーとか付けてみたいね」
「確かにカッコ良そうね……」
会話は弾んで行く。運転手は隣に目をやると財布の残高を確認していた。
「警部さん……お金の方は大丈夫ですか?」
「うーん、ちょっと厳しいかもしれない」
「そうですか……ではあの少年の分は私が直々に払いましょうか?」
「え!?良いのか?」
「ええ、あの少年は合うと思ったからです」
「それじゃあ、お願いしてもいいか?」
「えぇ、それで行きましょう」
「だけどよ……あの嬢ちゃん、何かいっぱい言ってるぞ」
「貴方のほうが負担は大きくなるかもしれませんね」
「まぁ二人分よりかはましか……」
それからというもの、長い道を終えて都内の警視庁へと向かった。
「ここが都内何ですか?」
「そうだ、裏口から入るが君達はこれを被って入ってくれ」
渡されたのは白いパーカーだった。これをフードまで被ってくれと
「関係者以外はこのことを秘密にする為だ。ご協力頼む」
「分かった。私達を守るということでも大事なのね」
「あぁ、そうわかってくれると良いよ。君はなるべく耳を引っ込められると良いんだけど出来るかな?」
「出来ることは出来るよ」
「じゃあ、それでお願いする」
「警部さん、もしかしてあの大きな建物?」
「そうだよ、着く前に早く着てくれ」
二人は急いでパーカーを着る。フードも閉めた。
「もう少しで降りるから準備してね」
とうとう、警視庁へやって来た。地下駐車場に車を停めると直ぐに警部は降りて着て、警備員さん二人がやって来た。
「お疲れ様です。これからどうしますか?」
「この子達を頼む、俺は幹部へ報告してくる」
「了解しました」
主人公と彼女に別れ、それぞれ別の所へ一人一人付き添った。裏口から潜入して安全な部屋があると言うのでそこへ入れられた。
「ここで少々待っていてくれ」
「はい……」
そこは高く、外の景色の見える部屋だった。警備員が外へ出ると鍵を掛けられた。
「嘘でしょ?閉じ込められたの?」
彼女はドアへ近付き、ドアノブを引いてもドアは開けなかった。
「どうゆうことなの?これは一体…なに?」
彼女のアングルから主人公に変わる。しかし、主人公の部屋は暗く、対談をするような部屋だった。しばらくしてから取り調べの人がやってきた。
「詳しい事を話させて貰おうか……」
「ちょっと待ってくださいよ、取り調べは明日とか警部さん言ってなかったですか?」
「明日に繋げるためにも知っていることを教えてくれ、ここにはカメラも何も無い。私と君だけの極秘だ。一般にも流さない、信じてくれ」
「……分かりました。でも俺、施設にやってくる前の記憶無くなっていてそのことは話せないで
す」
「構わない、それで質問を良いか?この施設はいつからだ?」
「施設にやって来た頃は、多分ざっと一年前です……」
「やはり、そうだったか……」
「何か知ってるんですか?」
「君らは元々生徒だったんだろ、それで……」
天井から眺めは突如彼女に変わる。ドアの前で待っていた彼女は鍵を空ける音がしてすぐさま、離れた。
「おや、君?あの少年と同じ施設を出た子は?」
「私ですが……何か?」
「君の取り調べに来ました。ご協力お願いしますね」
「わ、分かりました。」
彼女の担当は女性の方だった。とても話しやすく、接しやすかった。
「知ってることと覚えていることだけでいいからあの施設のこと教えて」
「私は施設に入ってから……」
話の内容は二人共施設での生活、何をされていたのか、どんな研究が行なわれていたのか、など詳しく詳しく事細かく聞かれていった。
「そうなのね……ありがとう。それじゃあもう一人の彼と何故かペアにされて……こんなことになってしまったのね」
「耳の事も、そうですし能力だって使えるようになってしまったんです」
「プライベートな話だけど……もう一人のペアの子どう思ってるの?」
「えぇ!?急にそんなこと言われても……」
「もしかして、彼の事、好きなの?」
「そ、そんなんじゃありません……!」
彼女は顔が赤くなり、照れた。
「へぇーそんな事するってことはそうゆうことなのね……」
「……。」
「大丈夫、彼にも皆にも知らせないから、私達だけの秘密よ」
「……分かりました。」
「彼は貴方の事どう思ってるのかしら?」
「分からない、そんな事気にしたことない……」
「彼には?」
「そんなこと!言わないでくださいよ、恥ずかしい……」
「ゴメンね、からかうつもりは無かった。でもねもう彼とは会えなくなるかもしれないのよ……」
「え!?どうゆうことですか?」
「この一件が終わって、二人の能力と貴方の獣の耳と尻尾が無くなったら、 二人は分かれて別々の所へ行くことになるの」
「そうなんですか?じゃあ……」
「そうよ、今しか無いのよ」
「でも、私……」
「頑張りなさいよ、あともう少しでお別れなんだから」
「……。」
「私も今の旦那からプロポーズされたんだけど、彼、とても緊張して言葉が出なくて私が代わりにしたのよ」
「そうなんですか……」
「勇気出して頑張りなよ!元気でいるのが一番よ」
「分かりました。」
「何かあったらこれに電話してね」
「あの!最近のお洒落なファッション教えてくれませんか?」
「良いよ!私の同僚にもお洒落な人居るから教えてあげるわ」
「ありがとうございます……」
「このあと何処か行くの?」
「あの警部さんが東京観光に連れてってくれるって言ってて、これが終わったら服買いに行くって言ってました。」
「あの警部が!こんな子を預けてはいけないわ、私も着いてく」
「貴方は他の仕事もあるんじゃないんですか?」
「私は貴方の担当よ、貴方を見守ることが私の仕事よ」
「そ、そうなんですか……」
「ちょっと待っててね……呼んで来るわ」
そう言い、部屋を出た。しかし鍵は閉めなかった。
「あの人、優しいし、信用出来るかも……」
心のなかで思いながら胸に手を当てる。
「お前さん、彼女の事はどう思っている?」
「え!?彼女?僕はベストフレンドだと思ってるよ」
「ベストフレンド?何故?」
「彼女は優しくて何より前向きで、手軽に話してくれるから施設の中で唯一の女友達だよ」
「そうなのか…で、博士にペアにされたと?」
「具体的に言えばそうだけど、友達あんま居なかったからさ」
「ほう…それで博士が決めたと?」
「そうゆうことだね…」
「君らの経由分かったろ?このことは彼女にも話すのか?」
「話そうと思うけど多分わかってるんじゃないかな、彼女は施設に来る前の記憶も持ってるから」
「だが、分かっていたとしても何故、君らは行動にうつさなかった?」
「あんな施設から脱出しようと考えたけど、逃げ出すのが厳重な警備で難しかったんだ。そう思っていたら今日みたいな事が起こったのさ」
「そうか、君は逃げようとしたんだな?ところで君、能力は?」
「能力?彼女と一緒に居れば自然と発動するけど基本的に能力は出ないよ」
「彼女と?不思議だねぇ…」
「で、おじさん!もう終わりで良いかな?」
「まだだ、あと一つ言っておく事があるんだ」
「何?」
「君の助手というのは……
実は○○○○かもしれないんだ」
「何だって、それじゃあ僕等を庇ってきたのは」
「奴も組織の一員だ。施設では助手として居たかもしれないが……」
「ってことは今日の出来事は全て……」
「そうだ、奴には気を付けろ!奴等は何をするか分からない。君達には見張りを着けるから」
「じゃあ、どうすればいい?彼女にも…」
「もし遭遇したとなったら見張りの警官に会って保護して貰うんだ」
「でもあの警部さん、助手に対してとても丁寧に接してたよ」
「その警部さんとやらも警察官、君達を守る為に居るから大丈夫だ」
「こんなこと教えてくれてありがとう!じゃあね!」
主人公は急いで部屋を出た。その様子に担当はささやく。
「早くこんな日々じゃなくて普通の人間になって暮らして欲しいよ……」
主人公は何故か廊下を走り出した。
「こんなパーカー着せられて、可哀想に……」
「貴方方は?」
「ファッション教えて欲しいって言ったでしょ、詳しい人達連れてきたよ」
数人の女性警察官が彼女の元へやって来た。
「なるほどね…歳はいくつぐらい?」
「えっと……十四です……」
「それじゃ、中学生ぐらいなんだー」
「まぁそうですけど……」
「色々大変だったと思うけど安心してね、綺麗にさせてあげるわ」
「買い物しやすいように色々測らせてね」
「え、ちょっと……」
「いいじゃないの、やらせてあげて」
「担当の人……!?」
数人の女性警察官の人は服の外からウエイトやサイズなど測りだした。
「大体はこんな感じね、はいこれ、メモにまとめといたから服買いに行くときの参考にしてね」
「は、はい」
「最近のファッションって色々あるよ例えば…」
スマホを取り出して画像を見せる。
「こんな感じで色気とか出したりとか、でも今冬だからダウンジャケットとか軽めでも少し重くなっちゃうんだよね……」
「ダウンジャケットとか良いんじゃない?」
「あんまものこの子に似合わないよ」
「じゃあ、何が似合うって言うのよ」
「私の勘だけどね、多分コートとか?」
「あぁ!確かに似合うかも」
「コートって色々種類あるはずですけど、どんな感じですか?」
「私の考えているのはこんな感じよ」
「これってカッコいい!」
「でしょ?私の勘は合ってたのよ」
「でもその中に何を着るの?」
「軽めで良いんじゃない?この子には似合うと思うよ」
「そうね、中にはかるい服装で行きましょう」
「お忙しい中、色々とありがとうございます」
「良いのよ、丁度暇だったから」
「彼と仲良くね」
「担当の人?」
「ゴメンゴメン、事情知りたいって言ったから秘密で言ったの…」
「もー!!」
「彼とはいつからなの?」
「そんなこと…言わせないでください!」
主人公は彼女を探しに署内を走り回る。
「何処だ?何処にいるんだ!」
「そんなことじゃねぇかな、って思っただけだ。本当に記憶が戻ったのであれば直ぐに教えてくれよ」
「分かりました。ありがとうございます」
「あぁ、俺はお前達を守るからな、安心しろ」
「ねぇおじさん。これから何処に向かうの?」
「これから都内の警視庁に戻り報告や上の幹部の人と軽く話す。明日から取り調べだ。」
「そうなんですね……東京か……」
「東京、初めてなのか?」
「……。」
「すまん、何でもない。もし、空いた時間があればちょっと観光してみるか?」
「観光?でも私達、お金無いよ……」
「俺の奢りだ。気にすんな、施設入られてから初めての外出なんだから楽しくいこうぜ」
「じゃあ……何処に行きますか?」
「そうだな……銀座とか浅草行ってみるか……」
「夜の街って結構危ないんじゃないんですか?」
「そんなこと気にしていたらいつまで経っても独り立ち出来ないよ、俺と言う警察官も一緒に居るから心配すんなってよ」
「でも、私少し頭の方に耳が生えていて……」
「そんなの帽子被れれば問題ないだろ……余っているやつ貸すよ」
「あ、ありがとう……」
運転手は後ろを振り向いた。
「警部さん、まずは服を買ってやってくださいよ。この子達囚人服みたいで可哀想ですよ」
「なるほど、服か…運転手さんありがとよ」
「そこのお二人、まず服屋に行こうか」
「服屋!?好きな服買ってくれるの?」
「あぁ勿論だ。出所祝いとして買ってやるよ!」
「出所祝いって囚人じゃないんですよ、警部」
「あんな施設に囚われたんだから出所って事でいいだろ、さてお嬢ちゃんどんな服が欲しい?」
「えーとね……分からない」
「分からない?あ!そこのポケットにタブレットあるから調べてみてよ」
彼女は前の席の後ろに付いてあるポケットを探す。すると銀色のタブレットを見つけた。
「電源ボタンを押せば起動するから問題無いよ」
「ありがとう、おじさん!」
「おう!任せてくれよ」
警部は少し照れて頭をかいた。それにも動じず、主人公はただひたすら景色を見続ける。ボーとしているのか、真剣なのか分からない。
「そこの少年、彼女と一緒にタブレット見なくて良いのか?」
「大丈夫ですよ」
「これから服屋に行こうと思っているんだが、外には何かあるのか?」
「初めて地上に出ましたから、景色を楽しもうと思って……」
「そうか……じゃあ俺の話を聞いているんたんだな?」
「勿論です。服屋よってから警視庁、終わって時間あったら何処か東京観光ですよね」
「そうだな。聞いてるんだったら返事ぐらいしてくれ」
「すみません……」
主人公は彼女の持っているタブレットを覗き込む
「見せて」
「良いよ、最近はこんなのが流行りなんだって」
「へぇーなかなかお洒落だね」
「私もそう思ったなの、今寒いからコートやダウンとか良いんじゃない?」
「良いね!それこらマフラーとか付けてみたいね」
「確かにカッコ良そうね……」
会話は弾んで行く。運転手は隣に目をやると財布の残高を確認していた。
「警部さん……お金の方は大丈夫ですか?」
「うーん、ちょっと厳しいかもしれない」
「そうですか……ではあの少年の分は私が直々に払いましょうか?」
「え!?良いのか?」
「ええ、あの少年は合うと思ったからです」
「それじゃあ、お願いしてもいいか?」
「えぇ、それで行きましょう」
「だけどよ……あの嬢ちゃん、何かいっぱい言ってるぞ」
「貴方のほうが負担は大きくなるかもしれませんね」
「まぁ二人分よりかはましか……」
それからというもの、長い道を終えて都内の警視庁へと向かった。
「ここが都内何ですか?」
「そうだ、裏口から入るが君達はこれを被って入ってくれ」
渡されたのは白いパーカーだった。これをフードまで被ってくれと
「関係者以外はこのことを秘密にする為だ。ご協力頼む」
「分かった。私達を守るということでも大事なのね」
「あぁ、そうわかってくれると良いよ。君はなるべく耳を引っ込められると良いんだけど出来るかな?」
「出来ることは出来るよ」
「じゃあ、それでお願いする」
「警部さん、もしかしてあの大きな建物?」
「そうだよ、着く前に早く着てくれ」
二人は急いでパーカーを着る。フードも閉めた。
「もう少しで降りるから準備してね」
とうとう、警視庁へやって来た。地下駐車場に車を停めると直ぐに警部は降りて着て、警備員さん二人がやって来た。
「お疲れ様です。これからどうしますか?」
「この子達を頼む、俺は幹部へ報告してくる」
「了解しました」
主人公と彼女に別れ、それぞれ別の所へ一人一人付き添った。裏口から潜入して安全な部屋があると言うのでそこへ入れられた。
「ここで少々待っていてくれ」
「はい……」
そこは高く、外の景色の見える部屋だった。警備員が外へ出ると鍵を掛けられた。
「嘘でしょ?閉じ込められたの?」
彼女はドアへ近付き、ドアノブを引いてもドアは開けなかった。
「どうゆうことなの?これは一体…なに?」
彼女のアングルから主人公に変わる。しかし、主人公の部屋は暗く、対談をするような部屋だった。しばらくしてから取り調べの人がやってきた。
「詳しい事を話させて貰おうか……」
「ちょっと待ってくださいよ、取り調べは明日とか警部さん言ってなかったですか?」
「明日に繋げるためにも知っていることを教えてくれ、ここにはカメラも何も無い。私と君だけの極秘だ。一般にも流さない、信じてくれ」
「……分かりました。でも俺、施設にやってくる前の記憶無くなっていてそのことは話せないで
す」
「構わない、それで質問を良いか?この施設はいつからだ?」
「施設にやって来た頃は、多分ざっと一年前です……」
「やはり、そうだったか……」
「何か知ってるんですか?」
「君らは元々生徒だったんだろ、それで……」
天井から眺めは突如彼女に変わる。ドアの前で待っていた彼女は鍵を空ける音がしてすぐさま、離れた。
「おや、君?あの少年と同じ施設を出た子は?」
「私ですが……何か?」
「君の取り調べに来ました。ご協力お願いしますね」
「わ、分かりました。」
彼女の担当は女性の方だった。とても話しやすく、接しやすかった。
「知ってることと覚えていることだけでいいからあの施設のこと教えて」
「私は施設に入ってから……」
話の内容は二人共施設での生活、何をされていたのか、どんな研究が行なわれていたのか、など詳しく詳しく事細かく聞かれていった。
「そうなのね……ありがとう。それじゃあもう一人の彼と何故かペアにされて……こんなことになってしまったのね」
「耳の事も、そうですし能力だって使えるようになってしまったんです」
「プライベートな話だけど……もう一人のペアの子どう思ってるの?」
「えぇ!?急にそんなこと言われても……」
「もしかして、彼の事、好きなの?」
「そ、そんなんじゃありません……!」
彼女は顔が赤くなり、照れた。
「へぇーそんな事するってことはそうゆうことなのね……」
「……。」
「大丈夫、彼にも皆にも知らせないから、私達だけの秘密よ」
「……分かりました。」
「彼は貴方の事どう思ってるのかしら?」
「分からない、そんな事気にしたことない……」
「彼には?」
「そんなこと!言わないでくださいよ、恥ずかしい……」
「ゴメンね、からかうつもりは無かった。でもねもう彼とは会えなくなるかもしれないのよ……」
「え!?どうゆうことですか?」
「この一件が終わって、二人の能力と貴方の獣の耳と尻尾が無くなったら、 二人は分かれて別々の所へ行くことになるの」
「そうなんですか?じゃあ……」
「そうよ、今しか無いのよ」
「でも、私……」
「頑張りなさいよ、あともう少しでお別れなんだから」
「……。」
「私も今の旦那からプロポーズされたんだけど、彼、とても緊張して言葉が出なくて私が代わりにしたのよ」
「そうなんですか……」
「勇気出して頑張りなよ!元気でいるのが一番よ」
「分かりました。」
「何かあったらこれに電話してね」
「あの!最近のお洒落なファッション教えてくれませんか?」
「良いよ!私の同僚にもお洒落な人居るから教えてあげるわ」
「ありがとうございます……」
「このあと何処か行くの?」
「あの警部さんが東京観光に連れてってくれるって言ってて、これが終わったら服買いに行くって言ってました。」
「あの警部が!こんな子を預けてはいけないわ、私も着いてく」
「貴方は他の仕事もあるんじゃないんですか?」
「私は貴方の担当よ、貴方を見守ることが私の仕事よ」
「そ、そうなんですか……」
「ちょっと待っててね……呼んで来るわ」
そう言い、部屋を出た。しかし鍵は閉めなかった。
「あの人、優しいし、信用出来るかも……」
心のなかで思いながら胸に手を当てる。
「お前さん、彼女の事はどう思っている?」
「え!?彼女?僕はベストフレンドだと思ってるよ」
「ベストフレンド?何故?」
「彼女は優しくて何より前向きで、手軽に話してくれるから施設の中で唯一の女友達だよ」
「そうなのか…で、博士にペアにされたと?」
「具体的に言えばそうだけど、友達あんま居なかったからさ」
「ほう…それで博士が決めたと?」
「そうゆうことだね…」
「君らの経由分かったろ?このことは彼女にも話すのか?」
「話そうと思うけど多分わかってるんじゃないかな、彼女は施設に来る前の記憶も持ってるから」
「だが、分かっていたとしても何故、君らは行動にうつさなかった?」
「あんな施設から脱出しようと考えたけど、逃げ出すのが厳重な警備で難しかったんだ。そう思っていたら今日みたいな事が起こったのさ」
「そうか、君は逃げようとしたんだな?ところで君、能力は?」
「能力?彼女と一緒に居れば自然と発動するけど基本的に能力は出ないよ」
「彼女と?不思議だねぇ…」
「で、おじさん!もう終わりで良いかな?」
「まだだ、あと一つ言っておく事があるんだ」
「何?」
「君の助手というのは……
実は○○○○かもしれないんだ」
「何だって、それじゃあ僕等を庇ってきたのは」
「奴も組織の一員だ。施設では助手として居たかもしれないが……」
「ってことは今日の出来事は全て……」
「そうだ、奴には気を付けろ!奴等は何をするか分からない。君達には見張りを着けるから」
「じゃあ、どうすればいい?彼女にも…」
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「でもあの警部さん、助手に対してとても丁寧に接してたよ」
「その警部さんとやらも警察官、君達を守る為に居るから大丈夫だ」
「こんなこと教えてくれてありがとう!じゃあね!」
主人公は急いで部屋を出た。その様子に担当はささやく。
「早くこんな日々じゃなくて普通の人間になって暮らして欲しいよ……」
主人公は何故か廊下を走り出した。
「こんなパーカー着せられて、可哀想に……」
「貴方方は?」
「ファッション教えて欲しいって言ったでしょ、詳しい人達連れてきたよ」
数人の女性警察官が彼女の元へやって来た。
「なるほどね…歳はいくつぐらい?」
「えっと……十四です……」
「それじゃ、中学生ぐらいなんだー」
「まぁそうですけど……」
「色々大変だったと思うけど安心してね、綺麗にさせてあげるわ」
「買い物しやすいように色々測らせてね」
「え、ちょっと……」
「いいじゃないの、やらせてあげて」
「担当の人……!?」
数人の女性警察官の人は服の外からウエイトやサイズなど測りだした。
「大体はこんな感じね、はいこれ、メモにまとめといたから服買いに行くときの参考にしてね」
「は、はい」
「最近のファッションって色々あるよ例えば…」
スマホを取り出して画像を見せる。
「こんな感じで色気とか出したりとか、でも今冬だからダウンジャケットとか軽めでも少し重くなっちゃうんだよね……」
「ダウンジャケットとか良いんじゃない?」
「あんまものこの子に似合わないよ」
「じゃあ、何が似合うって言うのよ」
「私の勘だけどね、多分コートとか?」
「あぁ!確かに似合うかも」
「コートって色々種類あるはずですけど、どんな感じですか?」
「私の考えているのはこんな感じよ」
「これってカッコいい!」
「でしょ?私の勘は合ってたのよ」
「でもその中に何を着るの?」
「軽めで良いんじゃない?この子には似合うと思うよ」
「そうね、中にはかるい服装で行きましょう」
「お忙しい中、色々とありがとうございます」
「良いのよ、丁度暇だったから」
「彼と仲良くね」
「担当の人?」
「ゴメンゴメン、事情知りたいって言ったから秘密で言ったの…」
「もー!!」
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「そんなこと…言わせないでください!」
主人公は彼女を探しに署内を走り回る。
「何処だ?何処にいるんだ!」
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