日本育ちの異世界人、里帰りする

若葉 なる

文字の大きさ
12 / 12
多種族都市 ヘイムダル

火薬と受け皿

しおりを挟む
「えっ、いや、ちょ、えぇ~……?」

もんのすごい渋い顔で言葉に出来ない状態なのはアルさん。
まぁ、うん、そうよなぁ…、俺だってそうなる。ただ当事者だけにお顔だけは平然としておく。龍希さんは偉いのです、オサなので……いやオサじゃねぇわ。

「…この剣、膨大な魔力を纏ってるようですね。刀身が見えませんが…どういう風な刀身をしているのか気になりますね…、見せてもらえませんか?」
『おいやめろ』

アルさんとシンクロしたけど、これ確か刀身見せる為に纏ってる魔力ぶっ飛ばさなきゃならんのじゃなかったっけか? そんな武器に異世界の人間が『膨大』っていうレベルで纏われてる魔力がここで解放される?

建物大丈夫ですかね?

「とりあえず武器庫に片付けて! というかなんでそんな地球の二次創作の産物がこっちで出てくるのかなぁ…?」
「トリガー的にはアルさんがエクスカリバーとか言ったのが原因だと思うんだけど。それまでビックリするぐらい無反応だったのに、おっしゃ出番や任せんかーいと言わんばかりにピカッと光ったからな」

武器庫かーブロードソードとかシミターとかキラーピアスとかあんのかなーって思っててもなんっにも反応しやがらなかったのになぁ…伝説の剣の名前が出たらこのザマですよ。これ以外トリガー要素がどこにあったのか。
てかこれがトリガーなら後が怖えぇなぁ真面目に。…いやだって、誰かがぽっと何か口走ったら武器庫さんウッキウキで暴走しやがりますよ間違いなく。とはいえ正常に生きてきた男子なら誰もが一度は憧れるんだよなぁ、実在した武器とか想像上の武器とか…



「…いやちょっと待て。既にヤバさの一端が垣間見えてるのに、これ熟練度でもっと扱える武器増える…?」



よし使用禁止。熟練度? そんな子は知りませんね、えぇ。認知しません。

何が武器庫だ火薬庫じゃねぇかオラァン!!

「俺はこの有り余るらしい魔力を炎とか雷とか氷に変えて素手で戦うわ、うん。喰らいやがれぇ!とか言って敵燃やすわ俺」
「…何をアホな事をと思ったけど、やれない事は無いというか想像上の武器使うよりは数倍現実的なのがなんとも言えないのが困るよね」
「風の魔力を腕に纏わせて解放しつつパンチで敵をぶっ飛ばしてみせる。あと紫電腕しでんかいなしたい」

…なーんて武器庫の存在から現実逃避してマンガの話をしてたのがいけなかったんだろうと思うんだぁ…



――スキル『無限の可能性』が発動しました――

「は?」

――特殊エピックスキル『古武術の継承者』『風纏う童子』『紫電の刀狩』を習得しました――

「は?」



こっちもやっべぇ、ってかこっちの方がやっべぇ☆



これ俺がそういうの使いてぇって思ったのを拾ったんか? だとすると無限の可能性さんの懐広過ぎやしませんかね?
おぉ…もう…俺火薬庫と惑星規模の受け皿とかいうとんでもねぇものしか持ってねぇじゃねぇか…!



「ねぇお母さんお姉ちゃん、お兄ちゃんはなんであんなマンガとかアニメでよく見る『頭抱えて床を転げまわる』なんてやってるの…?」
「多分またなんかとんでもない事やらかしちゃったんじゃない? 一歩も動いてないけど」
「あらあら~、お洋服が埃まみれになっちゃうからやめてほしいわぁ。お洗濯も大変なのよぉ?」



わりぃ、やっぱつれぇわ。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

ペット(老猫)と異世界転生

童貞騎士
ファンタジー
老いた飼猫と暮らす独りの会社員が神の手違いで…なんて事はなく災害に巻き込まれてこの世を去る。そして天界で神様と会い、世知辛い神様事情を聞かされて、なんとなく飼猫と共に異世界転生。使命もなく、ノルマの無い異世界転生に平凡を望む彼はほのぼののんびりと異世界を飼猫と共に楽しんでいく。なお、ペットの猫が龍とタメ張れる程のバケモノになっていることは知らない模様。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

女神様、もっと早く祝福が欲しかった。

しゃーりん
ファンタジー
アルーサル王国には、女神様からの祝福を授かる者がいる。…ごくたまに。 今回、授かったのは6歳の王女であり、血縁の判定ができる魔力だった。 女神様は国に役立つ魔力を授けてくれる。ということは、血縁が乱れてるってことか? 一人の倫理観が異常な男によって、国中の貴族が混乱するお話です。ご注意下さい。

義弟の婚約者が私の婚約者の番でした

五珠 izumi
ファンタジー
「ー…姉さん…ごめん…」 金の髪に碧瞳の美しい私の義弟が、一筋の涙を流しながら言った。 自分も辛いだろうに、この優しい義弟は、こんな時にも私を気遣ってくれているのだ。 視界の先には 私の婚約者と義弟の婚約者が見つめ合っている姿があった。

死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜

のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、 偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。 水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは―― 古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。 村を立て直し、仲間と絆を築きながら、 やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。 辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、 静かに進む策略と復讐の物語。

コンバット

サクラ近衛将監
ファンタジー
 藤堂 忍は、10歳の頃に難病に指定されているALS(amyotrophic lateral sclerosis:筋萎縮性側索硬化症)を発症した。  ALSは発症してから平均3年半で死に至るが、遅いケースでは10年以上にわたり闘病する場合もある。  忍は、不屈の闘志で最後まで運命に抗った。  担当医師の見立てでは、精々5年以内という余命期間を大幅に延長し、12年間の壮絶な闘病生活の果てについに力尽きて亡くなった。  その陰で家族の献身的な助力があったことは間違いないが、何よりも忍自身の生きようとする意志の力が大いに働いていたのである。  その超人的な精神の強靭さゆえに忍の生き様は、天上界の神々の心も揺り動かしていた。  かくして天上界でも類稀な神々の総意に依り、忍の魂は異なる世界への転生という形で蘇ることが許されたのである。  この物語は、地球世界に生を受けながらも、その生を満喫できないまま死に至った一人の若い女性の魂が、神々の助力により異世界で新たな生を受け、神々の加護を受けつつ新たな人生を歩む姿を描いたものである。  しかしながら、神々の意向とは裏腹に、転生した魂は、新たな闘いの場に身を投じることになった。  この物語は「カクヨム様」にも同時投稿します。  一応不定期なのですが、土曜の午後8時に投稿するよう努力いたします。

神は激怒した

まる
ファンタジー
おのれえええぇえぇぇぇ……人間どもめぇ。 めっちゃ面倒な事ばっかりして余計な仕事を増やしてくる人間に神様がキレました。 ふわっとした設定ですのでご了承下さいm(_ _)m 世界の設定やら背景はふわふわですので、ん?と思う部分が出てくるかもしれませんがいい感じに個人で補完していただけると幸いです。

処理中です...