血と肉とあばら骨のキーボード

田丸哲二

文字の大きさ
14 / 35
第四現象・皮膚に刻まれた血の呪い

1

しおりを挟む
 三十分程するとパトカーと救急車のサイレンの音が聴こえ、細い獣道を警察官と救急隊員が登って来て、土の中から遺体を掘り起こし、ビニールシートの上に首と肋骨の欠損した遺体を寝かさせた。

 霧雨が泥を流し、首の傷口を露わにし、胸部の窪みに泥水が溜まっている。

 美加が子猫を抱いて宇佐美と大塚と一緒に先に車へ戻り、立ち入り禁止のロープが張られる中、圭介は安堂刑事と並んで胸部がへこみ、左右の肋骨ろっこつが欠損している事を確認した。

「何故、肋骨が無い?犯人はパズルゲームでもしているのか?」

 圭介はマンションの部屋で妄想の映像を蘇らせた時、地下室で男が裸の女性の肋骨を触り、こっちを振り返って睨んているシーンを思い出す。

「ヴァイキングに血のワシと云われる儀式がある。刃物で肋骨を脊椎から切り離し、肺を体外に引きずりだして翼のように広げる悪魔のような処刑法です。それを真似たのかは不明ですが、犯人はあばら骨が必要だったのかもしれない」

「とにかく、恐ろしい奴だな」


 そして二日後の朝、身内だけの葬儀を終えると遂に呪いが始まり、圭介は安堂刑事に呼び出された。

 歌姫のメンバーはその事件に関係し、圭介よりも先に安堂刑事と一緒にパソコンスクールにいると言われる。

「まるで安堂さんも、メンバー入りしたみたいですね?」

 冗談のつもりでそう言ったが、真面目な声で返答され、圭介は深刻な状況を理解した。

「そうだな。霊能の力を借りれるならそうするよ」

 黒いジャケットに黒いネクタイをしたまま、祖母に軽トラックを借りて町の中心地にあるパソコンスクールへ向かう。

 ガガミラノの腕時計をして、助手席にはバンドのマスコットガールの子猫が乗っている。

 圭介は降り続けている霧雨に溜息を漏らし、濡れたフロントガラスの風景に回想シーンを映し出しながら子猫に話しかけた。

「この町へ帰る前に、横浜で同じような現象が起こった……」

 子猫は時折、圭介の顔を見上げたが、話しが通じているかは不明である。

「大学の生徒の皮膚に四角い傷線が刻まれ、その痣は翌日には消えた。今回、パソコンスクールで不思議な事件が発生したそうだが、これからどうなるかは俺たちの働き次第って事になるぜ」

 軽トラックを駐車場に入れ、子猫を抱いてパソコンスクールの玄関前でインターホンを押すと、ドアのロックが解除されて安堂刑事に教室に案内された。

「やっ、圭介」

 美加が圭介を手招き、宇佐美と大塚と一緒に前の席のデスクの周辺に集まって、液晶モニターとデスクトップ型のパソコンを調べている。

「美加も生徒なんだぜ」

「俺らは臨時の講師をやってます」

「圭介さん。これ、見てくださいよ」

 美加はパソコンスクールに通い、講師の宇佐美と大塚と仲良くなったらしい。事故の原因はモニター?

「スクールの液晶モニターが突然ひび割れ、鮮血が滲み出したと生徒が騒ぎ出した」

 安堂刑事が改めて圭介に説明した。その際に腕に傷ができた生徒が病院に行ったが、大した傷ではないと聞いている。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...