ゴーストに恋して

田丸哲二

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第一章・幻の小説

異変

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 その日の午後の授業は終わり、不思議なアクシデントに見舞われた連は乾涸びた旅人の有り様で、フラフラと教室を出て砂漠の廊下を彷徨う。

 iPhoneのスパークを脳に受けた影響なのか?連はチューナーのズレた雑音に悩まされ、瞳はソフトフォーカス、窓ガラスはハレーション、エアーはスパイシーな香りがした。

『ノイズが消えない』

 シャツの裾がズボンからはみ出し、ネクタイは緩み背中へ。ブレザーは肩までずれ落ちて、髪はボサボサでツンツン。

 壊れかけのラジオから流れるハスキー犬。
 脳が洗濯されて、物干し竿で風に揺れ。
 オーソン・ウェルズ、宇宙戦争。
 ブレイン&ボディー・スナッチャー。

 キャッチーでクレイジーな字幕が頭の中に流れ、いつもの校舎の風景が古い映写機で上映されたようにコマがズレたり、スローモーションになったりした。

 その宙を見つめてゾンビみたいに歩く連の後ろ姿を順也と久美子が教室の出入り口に立って心配そうに眺めている。

「連くん。いつよもり酷いですね」

「授業中、ずっと髪の毛掻きむしってたよ」

(指で摘んだ髪の毛をフーッと息で吹き飛ばす連を思い出す。)

「ついに壊れたかも。どうする?」

「うん。見に行こ」

 そこへ文子も参加して、呆れた顔で教員室へ向かう連を見て首を傾げる。順也と久美子は同好会っぽいバトミン部で休んでも平気だが、文子は剣道部で練習も厳しかった。

「悪いけど、頼むね」

「うん。何かあったら連絡するよ」
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