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第三章・フクロウのペン
ファンタジーのアイテム
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「まさか、魔王?」
連は窓を開けて黒い雲に覆われる夜空を眺め、ハッピータイムを塗り替えられる嫌な予感がした。MOMOEは白い部屋の少女と同じように闇の王に狙われているのかも?
机の上に倒れたiPhoneを手にし、椅子に座って『ミレフレ』のページを捲り、引き出しからA5ノートを取り出す。
【クリエイターのファンタジスタ】
連は中学二年生から物語を書き始め、アイデアが閃くとノートに書き込み、特にファンタジーのアイテムをメモして構想を練っている。
「まさかこのノートを見たのか?」
幼稚で汚い走り書きをモモエが読む姿を想像し、連はまたもや恥ずかしくて赤面した。しかも15ページの端に折り目があり、ゴーストが触れた形跡かとiPhoneの画面に視線を向ける。
少女はフクロウのペンで白い部屋に大きな窓を描き、その中にクレヨンで青い空と緑の森を塗って、王子と外の美しい風景を眺めてから手を取り合って見つめた。
「一緒に外へ出よう」
「ハイ、王子さま。でも、魔王に見つかったら殺される。見えないようにしないと。それにパジャマじゃね」
王子は貴族の服装でマントをして腰に剣を差していたが、少女はモノクロームのパジャマとジャージしか与えられてなかった。
「眠り姫ファッション&カモフラージュ盾」
少女がパジャマとジャージを重ね合わせてスカートとフリルのヒッピーファッションに作り替え、動物と花柄模様でカラフルにし、透明の壁紙を剥がしてフクロウのペンで盾に型取り、窓に向けると森の絵柄が転写された。
名称は違うが似たアイテムが連のノートに書いてあり、特にフクロウのペンは連が考えたバードペンシルと酷似している。
「だからMOMOEは僕と一緒に書いたと言ったのか?」
連が創作を始めた頃、モモエは真夜中に時々連の部屋に訪れて、席についてノートにアイデアを書く連の隣で、MOMOEも机に肘をついて頭を傾け、真面目に考え込む連を観察して楽しんだ。
『ユニークなレン。大好きだよ』
・バードペンシル
[ペンの両脇の翼で空を飛び、ペン先は鳥の目で偵察する。森の魔女が作った魔法のペンシルで、中に七人の小人が住んでいて、主人が描いた物を瞬時に作り出す。]
・クスノキの銃
[森の妖精の宿る木で作った銃で、空から降ってきたドングリが弾丸。人間が植物のモンスターになり、妖精の能力を与えられた子供たちが戦士となって戦う。]
この頃の連は創作の分厚い壁にぶつかり、モモエが部屋にいることも気付かず、マイナス思考に陥って嘆きを呟いていた。
「アイデアはあっても、文才と構成力がないなー。ゴーストライターに依頼するか?」
文子はいつもランキング上位。久美子と順也にも先を行かれ、連の作品は下位を低迷して自信をなくす。
『強がってるけど、ナイーブな面もあるんだ?』
窓から星空を眺める連の物悲しげな横顔を見つめて、MOMOEは二つの誓いを立てた。その一つが自分も小説の勉強をして、連とクリエイターフレンドになる。
そしてもう一つがフクロウのペンを作って闇の流出を防ぐ事だ。魔王はMOMOEの友人を闇の司祭に引き込み、この世界を暗黒に塗り潰そうと計画している。
『レン。この世界がモノクロームになってしまう。あなたの想像力が必要なんだよ』
MOMOEは連の笑顔に励まされ、ひとりぼっちの悲しみにも耐えられた。もし連と話せたら?もしレンに触れられたら?そう願って実際にフクロウのペンを作ったのだ。
連は窓を開けて黒い雲に覆われる夜空を眺め、ハッピータイムを塗り替えられる嫌な予感がした。MOMOEは白い部屋の少女と同じように闇の王に狙われているのかも?
机の上に倒れたiPhoneを手にし、椅子に座って『ミレフレ』のページを捲り、引き出しからA5ノートを取り出す。
【クリエイターのファンタジスタ】
連は中学二年生から物語を書き始め、アイデアが閃くとノートに書き込み、特にファンタジーのアイテムをメモして構想を練っている。
「まさかこのノートを見たのか?」
幼稚で汚い走り書きをモモエが読む姿を想像し、連はまたもや恥ずかしくて赤面した。しかも15ページの端に折り目があり、ゴーストが触れた形跡かとiPhoneの画面に視線を向ける。
少女はフクロウのペンで白い部屋に大きな窓を描き、その中にクレヨンで青い空と緑の森を塗って、王子と外の美しい風景を眺めてから手を取り合って見つめた。
「一緒に外へ出よう」
「ハイ、王子さま。でも、魔王に見つかったら殺される。見えないようにしないと。それにパジャマじゃね」
王子は貴族の服装でマントをして腰に剣を差していたが、少女はモノクロームのパジャマとジャージしか与えられてなかった。
「眠り姫ファッション&カモフラージュ盾」
少女がパジャマとジャージを重ね合わせてスカートとフリルのヒッピーファッションに作り替え、動物と花柄模様でカラフルにし、透明の壁紙を剥がしてフクロウのペンで盾に型取り、窓に向けると森の絵柄が転写された。
名称は違うが似たアイテムが連のノートに書いてあり、特にフクロウのペンは連が考えたバードペンシルと酷似している。
「だからMOMOEは僕と一緒に書いたと言ったのか?」
連が創作を始めた頃、モモエは真夜中に時々連の部屋に訪れて、席についてノートにアイデアを書く連の隣で、MOMOEも机に肘をついて頭を傾け、真面目に考え込む連を観察して楽しんだ。
『ユニークなレン。大好きだよ』
・バードペンシル
[ペンの両脇の翼で空を飛び、ペン先は鳥の目で偵察する。森の魔女が作った魔法のペンシルで、中に七人の小人が住んでいて、主人が描いた物を瞬時に作り出す。]
・クスノキの銃
[森の妖精の宿る木で作った銃で、空から降ってきたドングリが弾丸。人間が植物のモンスターになり、妖精の能力を与えられた子供たちが戦士となって戦う。]
この頃の連は創作の分厚い壁にぶつかり、モモエが部屋にいることも気付かず、マイナス思考に陥って嘆きを呟いていた。
「アイデアはあっても、文才と構成力がないなー。ゴーストライターに依頼するか?」
文子はいつもランキング上位。久美子と順也にも先を行かれ、連の作品は下位を低迷して自信をなくす。
『強がってるけど、ナイーブな面もあるんだ?』
窓から星空を眺める連の物悲しげな横顔を見つめて、MOMOEは二つの誓いを立てた。その一つが自分も小説の勉強をして、連とクリエイターフレンドになる。
そしてもう一つがフクロウのペンを作って闇の流出を防ぐ事だ。魔王はMOMOEの友人を闇の司祭に引き込み、この世界を暗黒に塗り潰そうと計画している。
『レン。この世界がモノクロームになってしまう。あなたの想像力が必要なんだよ』
MOMOEは連の笑顔に励まされ、ひとりぼっちの悲しみにも耐えられた。もし連と話せたら?もしレンに触れられたら?そう願って実際にフクロウのペンを作ったのだ。
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