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第三章・フクロウのペン
魔王の城塞
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少女は黒い湖に聳え立つ魔王の城塞に連れて行かれ、結婚の儀が明日に迫っていたが、魔王が少女を罠にかけて屈服させたように、少女もこの闇の国の城塞に入り込み、ある者に接近する狙いがあった。
『この祭殿で式を執り行う』
魔王は無色の通路から、血色の真っ赤な室内と煌びやかに輝く金色の祭殿を案内し、闇の司祭を少女に紹介した。
『はじめまして』と少女は背の高い祭儀の服を纏った司祭に挨拶したが、実は初対面ではなかった。
少女はある国の王族の娘であったが、魔王に国を滅ぼされ、親族も皆殺しにされて流浪の民に育てられた。その時から名を捨て、ファンタジーの力で、国々を闇に塗り替えて侵略する魔王と戦っている。
『光の心を失わない限り道は開ける。悲しみにも色が有り、イマジネーションはカラフルな世界を創り出す』
少女を育てた族長の老婆は魔王は人間の憎悪や嫉妬心につけ込み、闇の信者を増やしていると教えた。
『魔王にとって、お前はゴーストのような存在。殺した筈なのに、光を宿して枯れた木や荒れ果てた地を蘇らせている』
『婆様のおかけだよ』
少女はそう言って微笑み、ランプの下で痩せ細って寝込んでいる老婆の手を握り、魔法の道具を与えて戦士として鍛え上げてくれた礼を言った。
『ありがとう。婆様との時間は永遠にこの胸の中に有るからね』
老婆も微笑み、死に際に少女の出世の秘密と魔王の弱点を教えた。流浪の民もテントの周辺に集まって見守っているが、闇との戦いで十数名しか生き残っていない。
『闇の司祭。ほんの僅かだが、光を失っていない筈じゃぞ』
その司祭こそが少女の父親である王に仕え、闇に寝返りながらも少女がまだ幼い頃に助けてくれた命の恩人であった。
「悲し過ぎる……」
連は老婆が少女に別れを告げて死ぬシーンでナイアガラの涙を頬に流し、キラキラと光る瞳に上弦の月を灯らせて応援した。
「ダークサイドに負けるな」
モモエが消えた夜空には時と雲が流れて星も瞬き始めている。連は物語に感情移入して、一気にページを読み進め『ミレフレ』のクライマックスシーンの戦いに希望を抱く。
魔王は司祭と少女を地下の城塞の中枢ともいえる暗黒のエネルギー源を見せ、少女は地の底まで続く巨大な穴に黒い球体が浮き、暗黒の光が体と心から生命を奪い取るのを感じ、恐怖で頬を引き攣らせて震えた。
『ブラックホール?』
『お前が王女になれば、黒い輝きは全世界を虚無で塗り潰すだろう』
死のエネルギーを感じた少女に魔王は笑みを浮かべ、司祭に洗脳を指示して去り、少女は教典の置かれた書物庫に連れて行かれた。
『暗黒の闇こそが完璧な存在であり、崇高なる根源なのです』
『司祭。貴方は誰よりも光を愛する者だった筈。このまま闇に屈して、魔王の為に働くつもりなのですか?』
少女が司祭と二人だけになり説得を始める。しかし司祭は闇の虜になり、少女の願いを嘲笑い、魔王との結婚の儀を進めようとした。
『ええ、私は禁断の書を世に広める司祭です。貴方が魔王さまの妻になれば、世界は劇的に変わりますよ』
『司祭は私を助けてくれた。覚えていませんか?』
司祭は『禁断の書』をデスクの上に置き、少女を洗脳しようとしたが、少女の顔を見つめて過去が蘇り、王と王女を裏切った苦しみから幼い娘だけは死者に偽装して、夜の海に流した事を思い出す。
『生きていたのか?』
その司祭の驚きの声と共に、少女はフクロウが背中に王子を乗せてグレーの空を飛び、少女が発信する光に導かれて黒い霧に覆われた城塞を発見し、上空に迫っているのを感じた。
『この祭殿で式を執り行う』
魔王は無色の通路から、血色の真っ赤な室内と煌びやかに輝く金色の祭殿を案内し、闇の司祭を少女に紹介した。
『はじめまして』と少女は背の高い祭儀の服を纏った司祭に挨拶したが、実は初対面ではなかった。
少女はある国の王族の娘であったが、魔王に国を滅ぼされ、親族も皆殺しにされて流浪の民に育てられた。その時から名を捨て、ファンタジーの力で、国々を闇に塗り替えて侵略する魔王と戦っている。
『光の心を失わない限り道は開ける。悲しみにも色が有り、イマジネーションはカラフルな世界を創り出す』
少女を育てた族長の老婆は魔王は人間の憎悪や嫉妬心につけ込み、闇の信者を増やしていると教えた。
『魔王にとって、お前はゴーストのような存在。殺した筈なのに、光を宿して枯れた木や荒れ果てた地を蘇らせている』
『婆様のおかけだよ』
少女はそう言って微笑み、ランプの下で痩せ細って寝込んでいる老婆の手を握り、魔法の道具を与えて戦士として鍛え上げてくれた礼を言った。
『ありがとう。婆様との時間は永遠にこの胸の中に有るからね』
老婆も微笑み、死に際に少女の出世の秘密と魔王の弱点を教えた。流浪の民もテントの周辺に集まって見守っているが、闇との戦いで十数名しか生き残っていない。
『闇の司祭。ほんの僅かだが、光を失っていない筈じゃぞ』
その司祭こそが少女の父親である王に仕え、闇に寝返りながらも少女がまだ幼い頃に助けてくれた命の恩人であった。
「悲し過ぎる……」
連は老婆が少女に別れを告げて死ぬシーンでナイアガラの涙を頬に流し、キラキラと光る瞳に上弦の月を灯らせて応援した。
「ダークサイドに負けるな」
モモエが消えた夜空には時と雲が流れて星も瞬き始めている。連は物語に感情移入して、一気にページを読み進め『ミレフレ』のクライマックスシーンの戦いに希望を抱く。
魔王は司祭と少女を地下の城塞の中枢ともいえる暗黒のエネルギー源を見せ、少女は地の底まで続く巨大な穴に黒い球体が浮き、暗黒の光が体と心から生命を奪い取るのを感じ、恐怖で頬を引き攣らせて震えた。
『ブラックホール?』
『お前が王女になれば、黒い輝きは全世界を虚無で塗り潰すだろう』
死のエネルギーを感じた少女に魔王は笑みを浮かべ、司祭に洗脳を指示して去り、少女は教典の置かれた書物庫に連れて行かれた。
『暗黒の闇こそが完璧な存在であり、崇高なる根源なのです』
『司祭。貴方は誰よりも光を愛する者だった筈。このまま闇に屈して、魔王の為に働くつもりなのですか?』
少女が司祭と二人だけになり説得を始める。しかし司祭は闇の虜になり、少女の願いを嘲笑い、魔王との結婚の儀を進めようとした。
『ええ、私は禁断の書を世に広める司祭です。貴方が魔王さまの妻になれば、世界は劇的に変わりますよ』
『司祭は私を助けてくれた。覚えていませんか?』
司祭は『禁断の書』をデスクの上に置き、少女を洗脳しようとしたが、少女の顔を見つめて過去が蘇り、王と王女を裏切った苦しみから幼い娘だけは死者に偽装して、夜の海に流した事を思い出す。
『生きていたのか?』
その司祭の驚きの声と共に、少女はフクロウが背中に王子を乗せてグレーの空を飛び、少女が発信する光に導かれて黒い霧に覆われた城塞を発見し、上空に迫っているのを感じた。
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