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第三章・フクロウのペン
小説と夢の中で
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マスクをした王子とフクロウは黒い霧に眠り薬を噴射し、護衛兵を眠らせてから城塞の塔に降り立った。王子は光の爆弾を胸のベルトに数十個装着し、少女を救出して城塞を破壊する計画である。
『着いたよ』
少女とフクロウは遠く離れていても、霊的な波長でコミュニケーションが可能だった。司祭の薬で一度死んで蘇った時、心に光りの衝撃を受け不思議な力を得ている。
『了解。こっちは司祭と対決』
フクロウはペンになって王子に少女の位置を教え、王子はペンで石畳にハッチを描き、次々と床や壁を抜けながら、少女の声のする部屋を目指す。
『目を覚まして、もう一度私に力を貸してください。貴方は光の痛みを感じ、虚無の中に逃げ出しているだけだ』
司祭は夢や希望こそが人間を奈落の底へ突き落とし、虚無こそが平穏であると魔王に『禁断の書』を見せられて崇拝した。
『心が死ねば痛みは感じない』
司祭が少女の髪を掴んで引き寄せ、テーブルの上の書物を開いて読ませようとする。唯一の光は少女を想う心であったが、それを消せばもっと楽になると暗黒の書物は誘っている。
『やめろ!』
寸前で壁のハッチから王子が現れ、黒いエネルギーが漂う書物に少女の顔を押し付ける司祭を突き飛ばし、少女の前に立って剣を構えた。
『ファンタジーは僕が守る』
王子には少女そのものが光り輝く存在であり、自分が生きる世界であった。
連はその言葉に感動し、夜が耽るまで長編ファンタジー小説を読み眠りについた。机の上にiPhoneが置かれ、ラストページの画面が暗くなって消える。
『ノナン・モモエ……』
ベッドで毛布を抱き締め、夢の中で少女はモモエになり、自分は王子になって司祭を倒し、コウモリに気付かれて護衛と魔王に追われながら、城塞の地下に光の爆弾をセットするシーンを思い浮かべた。
眩い光りが飛び散り、轟音が鳴り響く。均衡を保っていた地下のシールドが破壊され、光のエネルギーと暗黒エネルギーが衝突し、黒い球体が暴れ始め城塞が崩れ、地の底へ続く巨大な穴に吸い込まれてゆく。
レンとMOMOEはフクロウに掴まり、崩れ落ちる外壁を避けながら空へ飛び立つが、魔王もコウモリの大群の絨毯に乗って追って来た。
『MOMOE』
レンはMOMOEの手を取ってフクロウの背中に乗せ、自分は剣を抜いてコウモリの絨毯へ飛び移る。
『レン、無理しないで』
連は魔王に立ち向かうが、逆に魔王の剣に弾き返され、コウモリの絨毯から足を踏み外し、魔王の足に掴まって宙吊りになった。
『お願い……』
フクロウの背中でモモエが手を握り合わせて祈り、魔王はレンを見下ろして嘲笑ったが、モモエの声が司祭に届く。
『司祭。光を信じて』
『何故だ?裏切った私にまだ愛を捧ぐというのか?』
司祭はレンに殴られて書物庫で気絶し、爆発音と城塞が崩れる音で目を覚ましたが、光のシールドに包まれて宙に浮いていた。
書物庫の本も数冊浮遊し、暗黒の書物がすぐ目の前に黒い巨大な蛾のように羽ばたいて飛んでいる。
『禁断の書……』
司祭はそれを見てフッと笑みを零し、光のシールドから手を伸ばして黒い書物を掴み、暴れる本を渾身の力で引き千切り、黒い霧が噴出して光のシールドは溶け、司祭の眼は一瞬で消失して眼窩が露わになり、苦痛で顔を押さえて落下した。
宙吊りになった連を見下ろす魔王は書物のエネルギーが失われ、頭部から透明になり、完全に消え去る前に一言発し、連はその声を聴きながら落下した。
『終わりではないぞ』
『グッバイ~』
またマオウ、なんてね?と、ベッドで寝言を言っている連であるが、MOMOEはフクロウを下降させてレンの手を空中で掴まえ、崩れる城塞から離れたが、魔王の言葉に不安を感じて振り返る。
『書物を修復するつもり……?』
『着いたよ』
少女とフクロウは遠く離れていても、霊的な波長でコミュニケーションが可能だった。司祭の薬で一度死んで蘇った時、心に光りの衝撃を受け不思議な力を得ている。
『了解。こっちは司祭と対決』
フクロウはペンになって王子に少女の位置を教え、王子はペンで石畳にハッチを描き、次々と床や壁を抜けながら、少女の声のする部屋を目指す。
『目を覚まして、もう一度私に力を貸してください。貴方は光の痛みを感じ、虚無の中に逃げ出しているだけだ』
司祭は夢や希望こそが人間を奈落の底へ突き落とし、虚無こそが平穏であると魔王に『禁断の書』を見せられて崇拝した。
『心が死ねば痛みは感じない』
司祭が少女の髪を掴んで引き寄せ、テーブルの上の書物を開いて読ませようとする。唯一の光は少女を想う心であったが、それを消せばもっと楽になると暗黒の書物は誘っている。
『やめろ!』
寸前で壁のハッチから王子が現れ、黒いエネルギーが漂う書物に少女の顔を押し付ける司祭を突き飛ばし、少女の前に立って剣を構えた。
『ファンタジーは僕が守る』
王子には少女そのものが光り輝く存在であり、自分が生きる世界であった。
連はその言葉に感動し、夜が耽るまで長編ファンタジー小説を読み眠りについた。机の上にiPhoneが置かれ、ラストページの画面が暗くなって消える。
『ノナン・モモエ……』
ベッドで毛布を抱き締め、夢の中で少女はモモエになり、自分は王子になって司祭を倒し、コウモリに気付かれて護衛と魔王に追われながら、城塞の地下に光の爆弾をセットするシーンを思い浮かべた。
眩い光りが飛び散り、轟音が鳴り響く。均衡を保っていた地下のシールドが破壊され、光のエネルギーと暗黒エネルギーが衝突し、黒い球体が暴れ始め城塞が崩れ、地の底へ続く巨大な穴に吸い込まれてゆく。
レンとMOMOEはフクロウに掴まり、崩れ落ちる外壁を避けながら空へ飛び立つが、魔王もコウモリの大群の絨毯に乗って追って来た。
『MOMOE』
レンはMOMOEの手を取ってフクロウの背中に乗せ、自分は剣を抜いてコウモリの絨毯へ飛び移る。
『レン、無理しないで』
連は魔王に立ち向かうが、逆に魔王の剣に弾き返され、コウモリの絨毯から足を踏み外し、魔王の足に掴まって宙吊りになった。
『お願い……』
フクロウの背中でモモエが手を握り合わせて祈り、魔王はレンを見下ろして嘲笑ったが、モモエの声が司祭に届く。
『司祭。光を信じて』
『何故だ?裏切った私にまだ愛を捧ぐというのか?』
司祭はレンに殴られて書物庫で気絶し、爆発音と城塞が崩れる音で目を覚ましたが、光のシールドに包まれて宙に浮いていた。
書物庫の本も数冊浮遊し、暗黒の書物がすぐ目の前に黒い巨大な蛾のように羽ばたいて飛んでいる。
『禁断の書……』
司祭はそれを見てフッと笑みを零し、光のシールドから手を伸ばして黒い書物を掴み、暴れる本を渾身の力で引き千切り、黒い霧が噴出して光のシールドは溶け、司祭の眼は一瞬で消失して眼窩が露わになり、苦痛で顔を押さえて落下した。
宙吊りになった連を見下ろす魔王は書物のエネルギーが失われ、頭部から透明になり、完全に消え去る前に一言発し、連はその声を聴きながら落下した。
『終わりではないぞ』
『グッバイ~』
またマオウ、なんてね?と、ベッドで寝言を言っている連であるが、MOMOEはフクロウを下降させてレンの手を空中で掴まえ、崩れる城塞から離れたが、魔王の言葉に不安を感じて振り返る。
『書物を修復するつもり……?』
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