ゴーストに恋して

田丸哲二

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第九章・ダーク司祭との戦い

ゴーストにはゴースト

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 その夜、司祭は死体安置所に黒い蛾を放ち、死者の眼を抉り出して右眼に移植した。心臓から魂を搾り出した魂を口いっぱいに吸い込み、硬い寝台に仰向けになる。

 図書館の戦いで油断して右眼に怪我を負い、MOMOEを捕らえたがフクロウのペンを逃したのは残念だったと悔やみ眠りについた。


 江国は司祭が戻って来ないのを不思議に思ったが、役割を終えて自分の家に戻り、暗黒のマスクを床に脱ぎ捨て、お風呂に入ってこの数日間の働きを思い起こし、自分でも良くやったと満足した。

「夢のような日々だったわね」

 バスタオルを胸に巻いて台所の小さな冷蔵庫から缶ビールを出し、居間のデスクの椅子に腰掛けてゆっくりとビールを味わう。

「ぶっふぁ~、美味しい。最高だって、死んだお母さんに言ってやりたいわよ。だって、学園長に命令する立場になったんですからね」

 江国は今日の失敗で、田代が本当に適任者なのか不安を抱き、次回までに体力をつけるようお金を渡してステーキでも食べろと告げて帰宅させた。

 その際、湊香奈江と祖父母に魔文字を移植させ、暗黒のマスクを脱がせて元の姿に戻してやり、「命令通りの働きをしないと祖父母も貴方も死ぬ」と脅した。

「私の方が、適任者だと思うのよね。三日後に再度儀式を行うと言われてるけど、大丈夫かしら?」

 缶ビールを飲み終えた江国が髪を手で掻き分けると、額に魔文字が四文字蠢いて、湊香奈江と祖父母、それに田代の行動や思考までもが理解できた。

「田代の奴、パチンコやってるじゃないか?ムカつくわね」

 初代信者として伝道者に選ばれ、魔文字を扱う能力を得て更なる高みを目指し、司祭の為ならこの身を捧げても良いと微笑んだ。

 夕食後、連の家に文子が行くと佳子と両親に歓迎され、連の部屋に入るとお菓子と飲み物の差し入れがあり、窓側の机の上にフクロウのペンと一緒に並べる。

「佳子、大事な話があるから邪魔すんなよ」
「ええ~?まっ二人っきりで楽しめば」

 妹の佳子に連が注意きて部屋のドアを閉めると、文子と並んで椅子に座り、スマホを手に取ってフクロウのペンからの報告を聴き、作戦会議が始まった。

 久美子と順也と景子先生とはリモートで参加し、MOMOEが助けたゴーストの話しを聴く。

「あの少年と少女は難病センターでのMOMOEの友だちで、藤堂司の事も知り合いった。MOMOEが追われた時に守ろうとして、書物に閉じ込められたんだよ」

「藤堂司がダーク司祭なんだよね?」

 久美子の質問にフクロウのペンが答え、全員が不治の病に苦しむ子供たちを想像した。

「生まれた時から両眼を患い、苦痛に耐え切れずに世間を恨むようになった。あと二人のゴーストが工房に彼らを訪ねて来て、一緒に戦うと約束してくれたよ」

「不安だったけど、いい情報もあって少し安心したわ」

 景子先生がそう言うと久美子と順也も頷き、戦いはこれからだと画面の中でガッツポーズをした。

「MOMOEさんを助けましょう」
「うん。頑張るぞ」

 そして司祭の境遇を憐れみ、文子の小説の中で少女に暴力を与える父親とタブって見えた。

「死者になっても、怨恨は消えなかったのか?」
「苦しみを想像すると、なんとも言えない」

「でも囚われていたゴーストは、書物の牢獄の崖下は宇宙の奈落の底だと証言してます」

「そうね。同情は禁物だわ」

 その時、考え込んでいた文子が何か閃いて連を見て微笑み、フクロウのペンに提案した。

「もっとゴーストを集められない?司祭は生者を恨み、復讐しようとしている。しかもゴーストの世界まで侵略するつもりだ。仲間が増えれば勝てるかもしれない」

『ゴーストにはゴースト』文子が書いた小説の魔女先生が言ったセリフを思い出して、全員が微笑んで賛成した。
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