ゴーストに恋して

田丸哲二

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第十章・学園での決戦

ファンタジーで行こう

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 暗黒の儀式は予定より二日間遅れ、金曜日に霧笛学園で行われる事になった。司祭の傷が癒えるのと、信者の洗脳に時間がかかった事が要因であるが、連たちにとっても準備期間が取れて幸運に思われた。


「明日に間違いないわね」
「ああ、フクロウのペンから暗黒のエネルギーがアップしていると連絡があった」

 連がLINEグループにコメントし、景子先生の国語の授業中であるが、文子と順也と久美子が机の下にスマホを隠して確認している。通常なら先生に注意されて没収だが、景子先生は連の席まで来てチラッとiPhoneの画面を見て通り過ぎた。

 連は文子と順也と久美子が上の空で授業を受けているのを見て、月曜日から普段通り学園が始まっている事を不思議に思った。

 景子先生からは学園長と江国先生に変わった様子はないと聞いている。

「学園長も江国先生も本物みたいだけど、何か隠しているのは間違いないわ」

 四人のゴーストが交代で校舎の隅々を偵察し、司祭の気配はないが、洗脳された教師と生徒がいると教えられた。

 そして日増しに学園に不穏な雰囲気が流れ、景子先生と連たちが無視される事が増え始め、文子と順也と久美子は部活動を休み、帰宅部になってみんなで『Bi-hún』に集まった。

「禁断の書を開かないと、MOMOEは助け出せない」
「司祭は何処へ消えた?」
「レン、フクロウのペンは使えるようになったの?」
「ミラフレみたいに簡単ではないよ」
「あっ、ハッチの扉だね。あれ便利」
「連くん、珍しく弱気じゃない?」
「いや、シリアスと言って」
「だめ、ファンタジーで行こう」

 木曜日の午後13時、景子先生は学園長室に直談判しに行き「明日、休校にしませんか?」と、デスクで顔を上げた湊香奈江に進言したが、すぐに教頭と江国先生が入って来てつまみ出され、廊下の物陰で待つ連たちとこそこそ話す。

「そっちはどう?」
「こっちも同じです」
「生徒全員に無視されました」
「しかも、誰が洗脳されているのやら?」
「明日、はっきりすると思うが」
「箱を開ける、恐怖……だ」

 連たちはメモとSNSを使って生徒に危険を知らせたが、各クラスの委員長に囲まれて「変な噂を流すな」と注意された。


 景子は教員室の雰囲気に耐えきれず早退し、連たちも説得は諦めて途中で帰り、今日は明日の決戦に備えて『Bi-hún』には寄らずに、自宅の部屋から全メンバーとリモートで最後の打ち合わせをする。

「松田さん。そっちはどうですか?」
「はい。いいお知らせがあります。今、アップしたのでトップページをご覧ください」

 午後三時、エディバーの小説サイトの広告欄にゴーストへのメッセージが載せられた。

【世界のモノクローム化を防ぎ、鮮やかな世界を守る為にゴーストの参戦を求める。】

「遅くなったけど、やっとOKが出ました」
「凄い。トップページだよ」
「間に合ったわね」
「これで、仲間が増えるかも」
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