ゴーストに恋して

田丸哲二

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最終章・MOMOEとの別れ

ゴーストの参戦

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 MOMOEは「司が戻った?」と期待したが、表情に憎しみが浮かぶのを感じて、唇を噛み締め涙を堪えて立ち上がり、観衆にアピールするダーク司祭を睨む。

「ウォーー」と魔王の剣を掲げた司祭は左眼を赤黒い炎で燃やし、熱狂して手を突き上げて呼応する観衆を魔眼で眺め、誇らしげに血の王冠を見せ付けた。

 文子と順也と久美子は洗脳者を刺激しないようにこそこそと生徒たちを体育館の隅へ誘導し、景子は松田と湊家族と数名の教師を連れて文子たちに合流した。

「夏目先生、しっかりしてください」
「が、学園長は……?」

 夏目は江国学園長がブラックホールに吸い込まれたのを見て恐怖で震え上がり、矢島教頭に至ってはまだ司祭を応援している。

 湊香奈江が孫の健吾の手を握り、祖父母と息子夫婦に見守られて、「私が……学園長です」と小声で呟き、景子が涙目になって頷いた。

 連は壇上へ上がり、フクロウのペンを肩に乗せてMOMOEに駆け寄り、四人のゴーストも立ち上がって剣と盾を拾うがフラついている。

「MOMOE、大丈夫か?」
「うん。でも、危険だからレンたちは逃げて。クルミが救出に来るから」

 しかし連は首を横に振り、腕を負傷したゴーストから剣と盾を借りてMOMOEに微笑み、ダーク司祭の方へ向き直ってフクロウのペンに質問した。

「司祭の心は残っていますか?」

 希望的観測だが連はまだ一縷の望みを持ち、MOMOEも当然同じ気持ちではあるが断言はできない。

「少年の声が……微かに聴こえますね」
「helpって?」

 フクロウのペンの答えに連が軽くツッコミを入れ、ダーク司祭が魔剣をこっちに向けて歪んだ笑み浮かべて迫って来た。

「かなりヤバい」
「司祭は魔王に屈したのでは?」
「うん、両眼ともほぼ魔眼」
「もう、戦うなんてムチャだよ」

 空中潜水艦エアサブマリンの修理を終えたゴースト職人がモニターに映るダーク司祭を見て騒ぎ立て、不安な表情で体育館へ向きを変え救出の準備を始めた。

「感じないですか?」

 連の声がスピーカーから聴こえ、機器を操作する手を止めてふと耳を澄まし、クルミが鴉と蝙蝠が体育館の屋根から飛び去るのを丸窓から眺めて仲間を手招く。

「ゴーストだ。しかも凄い数だよ」

 日本各地の病院や学校に棲む若いゴーストたちが風の流れに乗って空を飛び、空中潜水艦エアサブマリンの周辺に集まっている。

「金髪のイケメンもいるよ」
「世界中のゴーストが、ネットワークの波に乗って来た」

 サーフィンやスケボーで飛ぶゴーストの中には北アイルランドの朽ち果てた中世の城に棲む青い眼のゴーストが混じり、米国のスクールに通うティーンエイジャーのヴァンパイア。アラスカの狼に憑依した狼男。ピラミッドの地下に眠る少女のミイラ。スペインバルセロナのスタジアム・カンプノウに宿るサッカーユニの少年。イギリスの墓地で蘇った傷だらけの死霊。中国の子供のキョンシーまでが隊をなしている。

「暗黒の扉を閉じる為に、僕らも参戦する」

 ゴーグルをした短髪の少年が代表して丸窓に近寄り、クルミたちにそう告げてゴースト隊に手で合図すると一斉に体育館へ向かって下降した。
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